百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

文字の大きさ
上 下
211 / 498

解決方法

しおりを挟む
 冨岡は苦笑しながら、ダルクが自分の方に向き直るのを眺めていた。
 ダルクはミルコに対してキュルケース家の意向を伝え、互いの立場をはっきりさせた上で話を続ける。

「さて、話を戻しましょうか。ミルコさん・・・・・・でしたね? 私としてはトミオカ様から二つの依頼を受けたと認識しています。まずはミルコさんの新しい仕事を紹介すること。そしてもう一つは貴方の家族に危害が及ばないよう、キュルケース家が目を光らせておくこと。間違いはないですか?」

 その問いかけは冨岡に向けられていた。

「そうです。話が早くて助かりますよ」
「ふむ、バルメディ子爵側が手出しできないようにすればいい・・・・・・でしたかな? 一番手っ取り早い方法としては、ミルコさんをキュルケース家で雇うことですが、今は人手が足りておりますね。それに仕事の適性を聞かなければ決められません。ゴルザード」

 ダルクはそう言いながらゴルザードに手を伸ばす。
 自分に向けて開かれた手のひらでダルクの指示を察したゴルザードは、どこに持っていたのかわからない羊皮紙を一枚手渡した。
 そこには冨岡には読めない文字で何かが書かれている。

「ふむふむ、前職は大工・・・・・・それもご自分で工房を持たれていたのですか。なるほどなるほど」

 どうやらそこには、ミルコの経歴などが書かれているらしい。
 一体どのタイミングで調べたのか、どのように用意したのか、おそらく考えてもわからないので冨岡は黙って話を聞いていた。

「工房を持っていた、と言うのは語弊がありますな。職業組合に廃業届を出さない限り、工房がなくなることはありません。今もまだ、ミルコさんの工房は存在しているということです」

 ダルクが細かく確認するとミルコは納得したように頷く。

「あ、ああ、確かに。仕事がなくなり立ちいかなくなってしまったが、廃業届けは出してない・・・・・・正確にはまだ俺の工房は残ってる。ただ徒弟もいないし、資材も工場もない状態だよ。紙切れ一枚の工房さ」

 ミルコの話を聞いたダルクは何度か頷き考えた上で、改めて冨岡に話しかけた。

「トミオカ様、どうでしょう。ミルコさんを丸々キュルケース家が買い取るという形では」

 その解決案を聞いた冨岡は先ほどの発言と食い違っていることに気づく。

「あれ、人手は足りてるって言ってませんでしたか?」
「キュルケース家の中では足りておりますよ。使用人として雇うつもりはございません。それにせっかくの工房を眠らせておくのも、ミルコさんの能力を活かさないのも勿体無いじゃないですか。ですので、キュルケース家が新規事業として工房を持つ、という形ではどうでしょう。キュルケース家の名前を冠するだけで、今まで通りの工房として営んでいただきます。そうすればバルメディ家から危害を加えられることも、仕事がないということもありません」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...