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話の綻びを
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金目的の自作自演でなければ説明がつかない程の速度で男は金を要求してきた。
また、虫を食べたと主張しているが、見る限り虫自体に噛まれた形跡はない。男の態度も虫を食べさせられ怒っている、というよりは集りのために声を荒げているように見える。
これはあくまでも商人として、客のクレームに対応するべきだと冨岡が考えた時の推察だ。
しかし、今更そんな冷静な話はどうでもいい。
フィーネに対して脅しをかけてきた時点で、客として対応するという選択は消えている。
冨岡は冷静な表情を保ちながら、男にこう答えた。
「金を出せ、ということですか?」
「そうだ、当然だろうが。こっちは虫を食わされてんだよ! いいからありったけの金を出せ」
男の言葉の直後、冨岡の背後でアメリアが声量を抑えて口を開く。
「ト、トミオカさん、あの私が代わりにお話ししましょうか」
金銭面やアイデアでは頼りになる冨岡だが、肉体的な強さでは成人男性の平均よりも少し下だ。アメリアにそんなことを言わせてしまったことを情けなく思いながらも、冨岡は首を横に振る。
「いえ、大丈夫です。ここは俺が」
小声で話しているため二人の会話は聞こえていない男。しかし、話していること自体は見えており、眉間に皺を寄せた。
「何コソコソ話してやがんだ! さっさと金を出せよ」
「・・・・・・わかりました。けれど一つ確認させてください」
大声を出し続ける男に対し、冨岡はそう述べる。
すると男は、不機嫌そうな表情のまま聞き返した。
「ああ? 何だってんだ」
「このハンバーガーはお客様が購入されたものですか?」
「そうに決まってんだろ、今日、俺がここで買ったものだよ」
男は答えてから一瞬停止して再び口を開く。
「おっと、そういうことか。俺が買ったかどうか、接客をしていた女に確認しようって魂胆だな? だが、女の記憶くらいで俺の発言を疑われるのは心外だぜ」
そんなことをわざわざ言う時点で、自分が買ったわけではないと白状しているようなものだろう。
男の言葉で何かがある、と確信した冨岡は一度息を吸い込んでからカウンターの上を指差した。
「それでは確認させていただきます」
「ああ? だから、女の記憶で確認したところでそれが正しいとも限らねぇだろ」
「いえ、違います。ここに監視カメラ・・・・・・見たものをそのまま保存しておく魔法を設置しておきました。つい先日、店前でトラブルに巻き込まれたもので、自衛のために用意していたんですよ」
そう、冨岡は店の前で一度刺され死にかかっている。その時に自分の防犯意識の甘さに気づいていた。
そこで冨岡は何かに巻き込まれた時のために、カウンターの上部に監視カメラを設置していたのである。当然、こちらの世界に監視カメラなどあるはずもなく、見ただけでは何かわからない。
冨岡は即座にカウンターの下からモニターを取り出し、男に見せる。
「では確認しましょうか。お客様本人がご購入していたのか」
男は初めて見る『映像』という概念に驚きを隠せない。
「な、何だ、こりゃ・・・・・・この場所をそのまま見ているような・・・・・・」
もちろん、男が自分でハンバーガーを買っていないからと言って、虫に混入が自作自演であると証明できるわけではない。そんなことは冨岡にもわかっている。
だが、嘘は綻びを辿っていけば崩れるものだ。まずは一つ、男の嘘を暴こうと冨岡はモニターを操作する。
また、虫を食べたと主張しているが、見る限り虫自体に噛まれた形跡はない。男の態度も虫を食べさせられ怒っている、というよりは集りのために声を荒げているように見える。
これはあくまでも商人として、客のクレームに対応するべきだと冨岡が考えた時の推察だ。
しかし、今更そんな冷静な話はどうでもいい。
フィーネに対して脅しをかけてきた時点で、客として対応するという選択は消えている。
冨岡は冷静な表情を保ちながら、男にこう答えた。
「金を出せ、ということですか?」
「そうだ、当然だろうが。こっちは虫を食わされてんだよ! いいからありったけの金を出せ」
男の言葉の直後、冨岡の背後でアメリアが声量を抑えて口を開く。
「ト、トミオカさん、あの私が代わりにお話ししましょうか」
金銭面やアイデアでは頼りになる冨岡だが、肉体的な強さでは成人男性の平均よりも少し下だ。アメリアにそんなことを言わせてしまったことを情けなく思いながらも、冨岡は首を横に振る。
「いえ、大丈夫です。ここは俺が」
小声で話しているため二人の会話は聞こえていない男。しかし、話していること自体は見えており、眉間に皺を寄せた。
「何コソコソ話してやがんだ! さっさと金を出せよ」
「・・・・・・わかりました。けれど一つ確認させてください」
大声を出し続ける男に対し、冨岡はそう述べる。
すると男は、不機嫌そうな表情のまま聞き返した。
「ああ? 何だってんだ」
「このハンバーガーはお客様が購入されたものですか?」
「そうに決まってんだろ、今日、俺がここで買ったものだよ」
男は答えてから一瞬停止して再び口を開く。
「おっと、そういうことか。俺が買ったかどうか、接客をしていた女に確認しようって魂胆だな? だが、女の記憶くらいで俺の発言を疑われるのは心外だぜ」
そんなことをわざわざ言う時点で、自分が買ったわけではないと白状しているようなものだろう。
男の言葉で何かがある、と確信した冨岡は一度息を吸い込んでからカウンターの上を指差した。
「それでは確認させていただきます」
「ああ? だから、女の記憶で確認したところでそれが正しいとも限らねぇだろ」
「いえ、違います。ここに監視カメラ・・・・・・見たものをそのまま保存しておく魔法を設置しておきました。つい先日、店前でトラブルに巻き込まれたもので、自衛のために用意していたんですよ」
そう、冨岡は店の前で一度刺され死にかかっている。その時に自分の防犯意識の甘さに気づいていた。
そこで冨岡は何かに巻き込まれた時のために、カウンターの上部に監視カメラを設置していたのである。当然、こちらの世界に監視カメラなどあるはずもなく、見ただけでは何かわからない。
冨岡は即座にカウンターの下からモニターを取り出し、男に見せる。
「では確認しましょうか。お客様本人がご購入していたのか」
男は初めて見る『映像』という概念に驚きを隠せない。
「な、何だ、こりゃ・・・・・・この場所をそのまま見ているような・・・・・・」
もちろん、男が自分でハンバーガーを買っていないからと言って、虫に混入が自作自演であると証明できるわけではない。そんなことは冨岡にもわかっている。
だが、嘘は綻びを辿っていけば崩れるものだ。まずは一つ、男の嘘を暴こうと冨岡はモニターを操作する。
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