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何でも屋
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「なぁ、アンタ」
車の外から声をかけられ、冨岡は心臓が跳ねるのを感じた。
軽快な音楽でも胸の中で掻き鳴らされているのか、と錯覚する。
冨岡が何も答えずにいると、外の人影は言葉を続けた。
「聞こえてないのか? なぁ」
そう言いながら運転席の窓に近づき、軽く拳をぶつける。
ようやく顔が見え、その人影が自分と同じくらいの二十代男性なのだとわかった。
「き、聞こえてます。あの、ど、どうしたんですか」
冨岡は恐怖から言葉が上手く出てこない。
男は窓の外でため息をついてから、指で窓を開けるように指示する。
「このまま話すのか? 窓開けた方が話しやすいだろ」
「いや、ちょっとこのままの方が話しやすいですね」
「絶対に声がこもって聞こえるだろ」
「めちゃくちゃ鮮明に聞こえてます。全然大丈夫です」
窓一枚隔てていないと恐怖でまともに会話などできない。
冨岡が二度断ったのにも関わらず、男は折れずに言葉を続ける。
「なんだ、窓が開けられないってのか? アンタ、怪しいな。こんな夜中に山奥で何をしてた」
誰が言っているんだ。絶対、そっちの方が怪しいだろう。
冨岡は心の中で呟きながら苦笑した。
夜中に山奥でシャベルを持って、一体何をしていたのか考えたくもない。
「この山は俺の祖父が持っていたんです。もう売ってしまいましたけど、山頂近くに実家があるんですよ。今から買い出しに出ようとしていたところで」
冨岡がそう答えると、男は顎に触れながら何かを考える。
その間も冨岡は、すぐにでもこの場を去りたいと願い続けた。
「あ、あの・・・・・・」
「なぁ、アンタ」
「はい?」
「俺に協力してくれないか?」
「はい?」
言葉の意味がわからず、冨岡は素っ頓狂な声を漏らす。その直後、脳が働き始め『協力』の内容が何かと考えた。
シャベルは土を掘ったり、何かを埋めたりするもの。こんな山奥で土を掘って埋める。それが何であれ絶対にお断りだ。
「え、埋めるのを・・・・・・ですか?」
冨岡がそう問いかけると、男は不思議そうに首を傾げる。
「埋める? 何をだ?」
「こっちが聞きたいです。こんな山奥で何を・・・・・・いや、全然聞きたくないです。共犯になっちゃうじゃないですか」
「共犯? アンタ何か勘違いしてないか。ああ、そうか。こんな夜中に山奥でシャベル持ってたら、そりゃ何かを埋めてるように見えるよな。違う違う。つーか、アンタの発想の方が怖いっつーの」
男は否定してから自分の胸ポケットを探り、名刺を取り出した。
その名刺を窓に貼り付け、口角を上げる。
「俺は何でも屋の美作 傑だ」
「何でも屋?」
車の外から声をかけられ、冨岡は心臓が跳ねるのを感じた。
軽快な音楽でも胸の中で掻き鳴らされているのか、と錯覚する。
冨岡が何も答えずにいると、外の人影は言葉を続けた。
「聞こえてないのか? なぁ」
そう言いながら運転席の窓に近づき、軽く拳をぶつける。
ようやく顔が見え、その人影が自分と同じくらいの二十代男性なのだとわかった。
「き、聞こえてます。あの、ど、どうしたんですか」
冨岡は恐怖から言葉が上手く出てこない。
男は窓の外でため息をついてから、指で窓を開けるように指示する。
「このまま話すのか? 窓開けた方が話しやすいだろ」
「いや、ちょっとこのままの方が話しやすいですね」
「絶対に声がこもって聞こえるだろ」
「めちゃくちゃ鮮明に聞こえてます。全然大丈夫です」
窓一枚隔てていないと恐怖でまともに会話などできない。
冨岡が二度断ったのにも関わらず、男は折れずに言葉を続ける。
「なんだ、窓が開けられないってのか? アンタ、怪しいな。こんな夜中に山奥で何をしてた」
誰が言っているんだ。絶対、そっちの方が怪しいだろう。
冨岡は心の中で呟きながら苦笑した。
夜中に山奥でシャベルを持って、一体何をしていたのか考えたくもない。
「この山は俺の祖父が持っていたんです。もう売ってしまいましたけど、山頂近くに実家があるんですよ。今から買い出しに出ようとしていたところで」
冨岡がそう答えると、男は顎に触れながら何かを考える。
その間も冨岡は、すぐにでもこの場を去りたいと願い続けた。
「あ、あの・・・・・・」
「なぁ、アンタ」
「はい?」
「俺に協力してくれないか?」
「はい?」
言葉の意味がわからず、冨岡は素っ頓狂な声を漏らす。その直後、脳が働き始め『協力』の内容が何かと考えた。
シャベルは土を掘ったり、何かを埋めたりするもの。こんな山奥で土を掘って埋める。それが何であれ絶対にお断りだ。
「え、埋めるのを・・・・・・ですか?」
冨岡がそう問いかけると、男は不思議そうに首を傾げる。
「埋める? 何をだ?」
「こっちが聞きたいです。こんな山奥で何を・・・・・・いや、全然聞きたくないです。共犯になっちゃうじゃないですか」
「共犯? アンタ何か勘違いしてないか。ああ、そうか。こんな夜中に山奥でシャベル持ってたら、そりゃ何かを埋めてるように見えるよな。違う違う。つーか、アンタの発想の方が怖いっつーの」
男は否定してから自分の胸ポケットを探り、名刺を取り出した。
その名刺を窓に貼り付け、口角を上げる。
「俺は何でも屋の美作 傑だ」
「何でも屋?」
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