百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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展望

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 つまり、ルネッサはフィーネが『聖女の奇跡』を受け継いだ子であると知っていた。だがそれは『白の創世』にとって不都合な事実であり、揉み消されたということらしい。
 残念ながらフィーネの血筋などはわからなかったが、どこかで聖女と繋がっているのかもしれないと冨岡は予想する。
 
「そっか、フィーネちゃんは・・・・・・」

 隠蔽されていた事実は一度置いておくとして、アメリアがフィーネの能力にある程度の納得を得ていた理由は理解した。
 おそらくアメリアも聖女との繋がりを想像しているだろう。
 全ての話を聞いたところで冨岡はハッとした。

「あ、フィーネちゃんが聞いている時にこの話をして大丈夫ですか?」

 自分の話とはいえ、幼い子が嵐の夜に放置されていた事実を受け止め切れるだろうか。もしかすると心に大きな傷を負うかもしれない。
 しかし、アメリアは優しい表情でフィーネの頭を撫でる。

「フィーネにどんな過去があろうと、この子は私の家族です。それにフィーネにも自分の過去を知る権利があると思うんです。突然、特異な力に目覚めて不安だったでしょうからね」

 アメリアの言葉からは、たとえフィーネが過去を知り、傷ついたとしても家族として癒すという気持ちを感じた。
 どれだけ過去を隠そうとも、いずれ知りたくなるはず。ならば、今のうちに教えることで一緒に乗り越えることができる。何年もフィーネを育ててきたアメリアの決断を誰が否定できるだろうか。
 当然ながら冨岡も頷き、フィーネの表情を伺う。
 壮絶な自分の過去を知った少女は明るい笑みを浮かべていた。

「どうしたの、トミオカさん」
「ううん、なんでもないよ。フィーネちゃんが嬉しそうにしてると俺まで嬉しくなるってだけさ」
「ふふっ、変なの」
「変かな?」
「うーん、でもフィーネも先生やトミオカさんが笑ってると嬉しい気持ちになるよ」

 純粋で混じり気のないフィーネの言葉は、それこそ『聖女の奇跡』のように癒される。いや、これを特異な能力と呼ぶのは彼女に失礼かもしれない。
 ただ可愛らしい女の子の笑顔に癒されているだけだ。
 夕食と片付けを終えたところで冨岡は屋台でハンバーグの仕込み。アメリアはフィーネを寝かしつけるため教会に戻る。
 一人になった冨岡は玉ねぎを刻みながらこれからのことを考え始めた。

「とりあえずキュルケース家との繋がりは何とか確保できたから、学園作りの方法を一緒に模索してもらえそうかな。あとはさっきアメリアさんが言っていた新しい子の話か。こうなってくると俺やアメリアさんが、ある程度動けるように従業員を雇うことも考えないとな。そのためには収益の見込みがないと・・・・・・うーん、移動販売『ピース』の売り上げでとりあえず一人くらい雇えるか? 何にせよ、アメリアさんに相談かな」
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