百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

文字の大きさ
上 下
120 / 498

薔薇姫

しおりを挟む
 ダルクと話しながらやけに豪華な廊下を歩いていく。さすがは公爵の屋敷だと感心するばかりだ。
 等間隔に置かれている花瓶や絵画が冨岡の目を奪う。
 手の込んだ模様が描かれている壁紙に挟まれた廊下を進むと、真っ白で綺麗な両開きの扉が現れた。

「こちらです。少々お待ちください」

 ダルクはそう言ってから扉の前に立ち、コホンと咳払いをして扉を叩く。コンコンコンコンと小気味のいい音を立てると扉の向こうに話しかけた。

「ローズお嬢様、ダルクでございます。新しい講師の方がお越しになられました」

 その言葉の数秒後、扉の向こうからバタバタと軽い足音が響いてくる。何をしているのか、と思えば扉に何か柔らかいものがぶつかりバフンと音を立てた。
 ダルクは軽く揺れる扉に向かってため息をつくと、再び呼びかける。

「お嬢様、これは旦那様たっての希望でございます。どうか、扉をお開けください」

 すると扉の向こうから幼く高い声が聞こえてきた。

「嫌よ!」

 その声からは断固拒否という意思が感じられる。たった三音でどうしても扉を開けたくない、誰にも会いたくないと伝えられるのは立派な才能だ。
 そんなローズに対してダルクは優しく話しかける。

「そうはおっしゃられても、旦那様から命じられておりますので。どうか、お開けください。私としてもこのまま引くわけにはまいりません」
「お断りよ! どうせその講師はダルクの隣にいるんでしょう? いつもみたいに逃げ出したとお父様には報告すればいいじゃない。どうせそうなるんだから」
「そうはいきません。こちらの方は旦那様が選ばれたのですから『いつもみたいに』では通用致しませんよ」

 ダルクが言うと扉の向こうから床を踏みつける音が聞こえた。

「何よ、私の言うことが聞けないっていうの? 口答えしないで、さっさと追い出しなさい!」
「そうだ、お嬢様。こちらにおられるのは昨日召し上がられたハンバーガーを作った方ですよ」

 情報をダルクが追加すると再びバタバタと足音が響いて勢いよく扉が開く。
 あまりにも突然だったため、ダルクも予測できず額を扉にぶつけた。そのまま尻餅をつくダルク。その正面には腕組みをした幼い金髪の少女が立っていた。フィーネよりも少し歳上。八歳くらいだろうか。
 白いワンピースを見に纏い、薔薇をモチーフにした豪華な髪留めをつけており一目で『ローズお嬢様』だとわかる。
 
「あなたがハンバーガーを作った人なの? なんてもの作ってくれたのよ!」

 どうやら彼女は文句を言うために姿を現したらしい。冨岡の頭に浮かんだのは薔薇の棘だった。

「えっと・・・・・・初めまして?」

 突然の文句に戸惑いながら冨岡が挨拶をすると、ローズは鼻息を荒くして睨んでくる。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる

まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。 そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...