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とっかかり
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ハンバーガー用のパンを受け取った冨岡は専用の容器を抱えて教会に帰る。
すると、既に起きてきていたアメリアが屋台の前でキョロキョロと周囲を見渡しているのが見えた。
「アメリアさん、おはようございます」
「あ、トミオカさん。そっか、パンを受け取りに行ってたんですね。お部屋まで呼びに伺ったのですが、居ないようだったので探してたんです」
「すみません、お疲れかと思って起こさないように黙って行っちゃいました」
冨岡がパンを屋台のカウンターに置きながら答えると、アメリアは下唇を噛んでから言い返す。
「そんな、トミオカさんの方がお疲れじゃないですか。あれだけの大荷物を何度も運んでくださったんですから。それにこのお仕事はトミオカさんだけのものじゃないですからね。ちゃんと私にも役割をください。一人で抱えちゃダメですよ」
そう言われた冨岡は、これがアメリアなりの気遣いだと気づき素直に頷く。
「は、はい。これからは交代で取りに行きましょう」
「ふふっ、そうしてくれると嬉しいです。さぁ、朝食を食べて準備しましょうね。私、フィーネを起こしてきます」
アメリアがフィーネを起こすために屋台を離れると、冨岡は朝食の用意を始めた。
昨夜買い込んできた食材の中からメニューを考える。
「ハンバーガーばかり食べてて、昨日の夜はカップ麺を食べたからそろそろ米を食べたいよな。電子レンジで温めるご飯があるから三人分チンして、顆粒だしで味噌汁を作る・・・・・・あとは納豆・・・・・・いや、流石に食べたことないだろうし好き嫌いもあるかもしれない。鮭の切り身を買ってきてたはずだからグリルで焼いて、その間に卵焼きでも作っておこうかな」
あくまで素人レベルだが、最低限の料理くらいできる。冨岡は手早く朝食の準備をして調理台の上に並べた。
香ばしい味噌と鮭の香りが食欲をそそる。そういえば祖父、源次郎も卵焼きと鮭を合わせた朝食をよく作ってくれていた。お袋の味というわけではないが、冨岡にとっては馴染み深い。
準備を終え、冨岡が待っていると教会の方からアメリアの声が聞こえてきた。
「ダメですよ、フィーネ。しっかり顔を洗ってください。今日もお店に出るんですから、可愛くしなきゃですよ」
どうやら寝起きのフィーネに手間取っているらしい。
朝食の匂いと生活感のある声。冨岡の想像する理想の家庭がそこにあった。
「ははっフィーネちゃん、朝弱いんだな」
冨岡は椅子に座って二人が来るのを待つ。
穏やかに始まった今日。必ずこの世界でアメリアとフィーネを幸せにする、と冨岡は再び心に誓った。いや、二人だけではない。源次郎の遺言通り、困っている人を可能な限り救うんだ。
源次郎から受け継いだ優しさと百億円。今はまだ小さな屋台だけ、しかしいつかは子どもたちの未来を作る居場所に。
そのためには一歩ずつなんて言っていられない。地固めをしつつ、一気に進めなければならないのだ。今も苦しんでいる人がいる以上、悠長にはしていられない。
「さて、どうするかな。本来なら実店舗が欲しいところだけど、この教会は印象が悪い。少しずつ印象を良くしようと考えていたけど、さっさとお金を稼いで傭兵を雇わないとアメリアさんたちを守ることもできないしな。何かとっかかりが欲しいところか」
すると、既に起きてきていたアメリアが屋台の前でキョロキョロと周囲を見渡しているのが見えた。
「アメリアさん、おはようございます」
「あ、トミオカさん。そっか、パンを受け取りに行ってたんですね。お部屋まで呼びに伺ったのですが、居ないようだったので探してたんです」
「すみません、お疲れかと思って起こさないように黙って行っちゃいました」
冨岡がパンを屋台のカウンターに置きながら答えると、アメリアは下唇を噛んでから言い返す。
「そんな、トミオカさんの方がお疲れじゃないですか。あれだけの大荷物を何度も運んでくださったんですから。それにこのお仕事はトミオカさんだけのものじゃないですからね。ちゃんと私にも役割をください。一人で抱えちゃダメですよ」
そう言われた冨岡は、これがアメリアなりの気遣いだと気づき素直に頷く。
「は、はい。これからは交代で取りに行きましょう」
「ふふっ、そうしてくれると嬉しいです。さぁ、朝食を食べて準備しましょうね。私、フィーネを起こしてきます」
アメリアがフィーネを起こすために屋台を離れると、冨岡は朝食の用意を始めた。
昨夜買い込んできた食材の中からメニューを考える。
「ハンバーガーばかり食べてて、昨日の夜はカップ麺を食べたからそろそろ米を食べたいよな。電子レンジで温めるご飯があるから三人分チンして、顆粒だしで味噌汁を作る・・・・・・あとは納豆・・・・・・いや、流石に食べたことないだろうし好き嫌いもあるかもしれない。鮭の切り身を買ってきてたはずだからグリルで焼いて、その間に卵焼きでも作っておこうかな」
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準備を終え、冨岡が待っていると教会の方からアメリアの声が聞こえてきた。
「ダメですよ、フィーネ。しっかり顔を洗ってください。今日もお店に出るんですから、可愛くしなきゃですよ」
どうやら寝起きのフィーネに手間取っているらしい。
朝食の匂いと生活感のある声。冨岡の想像する理想の家庭がそこにあった。
「ははっフィーネちゃん、朝弱いんだな」
冨岡は椅子に座って二人が来るのを待つ。
穏やかに始まった今日。必ずこの世界でアメリアとフィーネを幸せにする、と冨岡は再び心に誓った。いや、二人だけではない。源次郎の遺言通り、困っている人を可能な限り救うんだ。
源次郎から受け継いだ優しさと百億円。今はまだ小さな屋台だけ、しかしいつかは子どもたちの未来を作る居場所に。
そのためには一歩ずつなんて言っていられない。地固めをしつつ、一気に進めなければならないのだ。今も苦しんでいる人がいる以上、悠長にはしていられない。
「さて、どうするかな。本来なら実店舗が欲しいところだけど、この教会は印象が悪い。少しずつ印象を良くしようと考えていたけど、さっさとお金を稼いで傭兵を雇わないとアメリアさんたちを守ることもできないしな。何かとっかかりが欲しいところか」
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