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フィーネの才能
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可能な限りフィーネがアメリアの目の届く範囲に居られるように、という冨岡の配慮である。どのような勉強をしているのか、フィーネがどの程度の学力になったのか、アメリアも把握している方がいいだろう。
「じゃあ、まずは算数からだよ」
「さんすう?」
算数という言葉が聞き慣れないのかフィーネが聞き返す。
「えっとね、計算だよ。例えば・・・・・・」
そう言って冨岡はポケットから小分けにされたクッキーを二つ取り出した。
「おかし!」
「そう、フィーネちゃんが好きなお菓子だよ。クッキーがここに二つあります、俺が一つ食べたら、幾つ残るでしょうか?」
「トミオカさんが食べちゃうの?」
フィーネは残念そうに肩を落とす。
「違うよ、たとえ話しだからね。ほら、幾つ残る?」
フィーネの好きなもので計算に興味を持たせようとした冨岡だったが、好きすぎるあまりに逆に集中できないらしい。そんな二人を見ながらハンバーグのタネを形成していたアメリアは優しく微笑む。
「ふふっ、大変そうですね。フィーネ、ダメですよ。トミオカさんが困ってますから、ちゃんと計算してください」
「はーい」
アメリアに注意されたフィーネは唇を尖らせながら、もう一度お菓子を数える。
「えっと、二つあって・・・・・・一つをトミオカさんが食べたら、残ってるのは一つ!」
「正解! すごいじゃないか、フィーネちゃん」
正しい答えを出したフィーネを褒める冨岡。最も簡単な引き算だとしても、これまで教育を受けていなかった五歳のフィーネがしっかりと考え、自分で答えを出したことは冨岡にとっても喜ばしい。
そばに立って作業をしていたアメリアは、まるで授業参観に来ていた親のように誇らしげな表情を浮かべている。
「フィーネすごい?」
「ああ、すごいよ。じゃあ、三つのクッキーの内、一つを食べちゃったらどうなるかな?」
冨岡はさらに問題を出した。
するとフィーネは目の前に物がないのにも関わらず、指を使って数えずに答えを出す。
「えっとね、二つ!」
「おお、すごい。最初は指を使って数えると思ってたんだけど、フィーネちゃんはすごく頭がいいんだね」
冨岡が猛烈に誉めるとアメリアが微笑んで口を開く。
「そうなんです、フィーネは容量が良くて何かを覚えるのがすごく早いんですよ。感覚も鋭いし、運動神経も良くて、魔法に関してもこの年齢にしては理解している方です。私が計算苦手なので、うまく教えられずにそのままだったのですが、上手に教えれば何でも飲み込んでくれますよ」
アメリアの話を聞き、冨岡は『才能』という言葉を思い浮かべた。フィーネには多くの才能が眠っているのかもしれない。もしかすると・・・・・・そう考えて、途中で思考を止めた。その思考の先にあるのは『親から受け継いだ』という言葉。今のフィーネを育てているのはアメリアである。血のつながりの話などわざわざするまでもない。
フィーネが優しく優秀なのはアメリアの育て方によるものだろう。
しかし、止めたはずの思考は冨岡の心の中に残っていた。
一体、フィーネの親は誰なのだろうか。
「トミオカさん?」
考え込んでいた冨岡の顔をフィーネが覗き込む。
「じゃあ、まずは算数からだよ」
「さんすう?」
算数という言葉が聞き慣れないのかフィーネが聞き返す。
「えっとね、計算だよ。例えば・・・・・・」
そう言って冨岡はポケットから小分けにされたクッキーを二つ取り出した。
「おかし!」
「そう、フィーネちゃんが好きなお菓子だよ。クッキーがここに二つあります、俺が一つ食べたら、幾つ残るでしょうか?」
「トミオカさんが食べちゃうの?」
フィーネは残念そうに肩を落とす。
「違うよ、たとえ話しだからね。ほら、幾つ残る?」
フィーネの好きなもので計算に興味を持たせようとした冨岡だったが、好きすぎるあまりに逆に集中できないらしい。そんな二人を見ながらハンバーグのタネを形成していたアメリアは優しく微笑む。
「ふふっ、大変そうですね。フィーネ、ダメですよ。トミオカさんが困ってますから、ちゃんと計算してください」
「はーい」
アメリアに注意されたフィーネは唇を尖らせながら、もう一度お菓子を数える。
「えっと、二つあって・・・・・・一つをトミオカさんが食べたら、残ってるのは一つ!」
「正解! すごいじゃないか、フィーネちゃん」
正しい答えを出したフィーネを褒める冨岡。最も簡単な引き算だとしても、これまで教育を受けていなかった五歳のフィーネがしっかりと考え、自分で答えを出したことは冨岡にとっても喜ばしい。
そばに立って作業をしていたアメリアは、まるで授業参観に来ていた親のように誇らしげな表情を浮かべている。
「フィーネすごい?」
「ああ、すごいよ。じゃあ、三つのクッキーの内、一つを食べちゃったらどうなるかな?」
冨岡はさらに問題を出した。
するとフィーネは目の前に物がないのにも関わらず、指を使って数えずに答えを出す。
「えっとね、二つ!」
「おお、すごい。最初は指を使って数えると思ってたんだけど、フィーネちゃんはすごく頭がいいんだね」
冨岡が猛烈に誉めるとアメリアが微笑んで口を開く。
「そうなんです、フィーネは容量が良くて何かを覚えるのがすごく早いんですよ。感覚も鋭いし、運動神経も良くて、魔法に関してもこの年齢にしては理解している方です。私が計算苦手なので、うまく教えられずにそのままだったのですが、上手に教えれば何でも飲み込んでくれますよ」
アメリアの話を聞き、冨岡は『才能』という言葉を思い浮かべた。フィーネには多くの才能が眠っているのかもしれない。もしかすると・・・・・・そう考えて、途中で思考を止めた。その思考の先にあるのは『親から受け継いだ』という言葉。今のフィーネを育てているのはアメリアである。血のつながりの話などわざわざするまでもない。
フィーネが優しく優秀なのはアメリアの育て方によるものだろう。
しかし、止めたはずの思考は冨岡の心の中に残っていた。
一体、フィーネの親は誰なのだろうか。
「トミオカさん?」
考え込んでいた冨岡の顔をフィーネが覗き込む。
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