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純白の二千万円
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アメリアやフィーネの笑顔、そして現在と未来の幸せを思い描きながら行動に出て三日。ようやく冨岡が理想とする物が揃った。思っていたその日である。
元の世界と繋がる鏡の幅によって、こちらの世界で組み立てるという予想外の作業があったものの、なんとか全てを揃えた冨岡は教会の中庭にアメリアとフィーネを呼んだ。
「アメリアさん、フィーネちゃん、こっちです」
あれから何も聞いていなかったアメリアとフィーネは、期待に胸を膨らませながら中庭に出る。
そこにあったのは、屋台のラーメン屋のようなものだった。木製の屋台に鉄製の小さなキッチンを搭載したもの。さらに簡単に動かせるよう、最新の車輪を取り付けてあった。
キッチンからは外が見えるように大きな窓があり、商品やお金の受け渡しをするためのカウンターがある。
屋台全体を白く塗ることで清潔感を出し、わかりやすいようにハンバーガーのイラストを描いていた。中世ヨーロッパ程度の文化であれば識字率は高くないだろう。視覚的に、直感的に訴えかけることが重要だという冨岡のアイデアだった。
この世界においてこの屋台は明らかに異質なもの。良く言えば目立ち、悪く言えば浮いている。だが、どのような状況であっても目を引く、というのは商売の基本。
いや『この世界において異質』というレベルのものではない。冨岡が元いた世界でもこの屋台は異質なものだろう。長く使えるように超高級な木材を惜しげもなく使用し、使いやすいように有名建築家に依頼。目を引くように有名デザイナーにデザインをしてもらい、最新のキッチンを搭載した。
通常の屋台よりも大きいが、軽く丈夫な木材を使用しており、さらには太陽光の電力で車輪の駆動をアシストする機能までついている。大人であれば一人で動かすことは難しくない。
何故、異質なのか。簡単だ。
これほどの屋台を作る金があれば、普通の店を出せるからである。
想像しうるリヤカー屋台はおよそ百万円以内で購入可能だ。しかし、この屋台には二十倍以上かかっている。
二千万円。冨岡がアメリアやフィーネ、そして異世界での自分に投資した金額だ。
「すごーい!」
屋台を見てすぐ、フィーネは飛び上がるように驚きと喜びを表現する。
素直な感想を述べ、すぐに屋台に駆け寄っていった。
その小さな背中の向こうに屋台を捉えながら、アメリアは口元を覆い驚く。
「な、なんですか、これ。見たこともないほどの白・・・・・・なんて美しさなのでしょうか」
もちろん、この世界にも白は存在する。しかし、白の中でも種類は様々だ。二百色あるかどうかはわからないが、冨岡が持ってきた屋台の白は、混じりっ気のない純粋な白。純白だった。
元の世界と繋がる鏡の幅によって、こちらの世界で組み立てるという予想外の作業があったものの、なんとか全てを揃えた冨岡は教会の中庭にアメリアとフィーネを呼んだ。
「アメリアさん、フィーネちゃん、こっちです」
あれから何も聞いていなかったアメリアとフィーネは、期待に胸を膨らませながら中庭に出る。
そこにあったのは、屋台のラーメン屋のようなものだった。木製の屋台に鉄製の小さなキッチンを搭載したもの。さらに簡単に動かせるよう、最新の車輪を取り付けてあった。
キッチンからは外が見えるように大きな窓があり、商品やお金の受け渡しをするためのカウンターがある。
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何故、異質なのか。簡単だ。
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「すごーい!」
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素直な感想を述べ、すぐに屋台に駆け寄っていった。
その小さな背中の向こうに屋台を捉えながら、アメリアは口元を覆い驚く。
「な、なんですか、これ。見たこともないほどの白・・・・・・なんて美しさなのでしょうか」
もちろん、この世界にも白は存在する。しかし、白の中でも種類は様々だ。二百色あるかどうかはわからないが、冨岡が持ってきた屋台の白は、混じりっ気のない純粋な白。純白だった。
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