百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

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またしても看板の読めない冨岡さん二十五歳

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 またしても看板の読めない冨岡さん二十五歳。
 外からは中が見えず、何が売っているのかは分からなかった。しかし、フィーネが自信満々に言っているのだから貴金属を買い取る店に間違いないだろう。
 意を決して扉を開けると中から声が聞こえてきた。

「おや、いらっしゃい」

 声の方に視線を送ると店の奥に設置された椅子に髪の長い老婆が座っている。
 どこか不気味な雰囲気をまとった老婆だ。
 それほど広くない店の中には怪しい甲冑や古ぼけた剣、歴史を感じるような書物や壺が並んでいる。質屋と呼ぶべきか古物商と呼ぶべきか。ともかく何でも買い取って売っているような店なのだろう。
 そんな雰囲気に飲み込まれそうになりながらも冨岡は老婆に声をかけた。

「あの、すみません」
「ん、何だい? 見ない顔だねぇ」

 老婆は冨岡の顔をまじまじと眺めながらそう答える。その目は自分の心の奥底を覗き込んでいるような気がした。
 しかしその途中で老婆はフィーネに気づき、優しい笑みを浮かべる。

「何だ、アメリアのとこの子じゃないか。じゃあ、あんたはアメリアのところで働いているのかい?」
「あ、いえ、違い・・・・・・ませんね。まぁ、そんな感じです。そっか、アメリアさんのことをご存知なんですね」

 冨岡がそう聞き返すと老婆は頷いた。

「ああ、何度かこの店に来たこともあるし、そもそもアメリアは有名人さ。あの容姿だからね、好いている男も多いだろうよ」

 確かにアメリアは目が眩むような美人。このまちで有名だと言われても驚きはしない。
 納得した冨岡は軽く頷いてから本題に入る。

「なるほど、それは確かに。でも今回お邪魔したのは俺の用事なんです。そのためにフィーネちゃんに案内してもらって」
「そうかい。それで用事ってのは一体何だろうね」

 老婆に問いかけられた冨岡は自分の指から金製の指輪を外して手渡した。

「これなんですけど、どれくらいの値段で買ってもらえるのか聞きたくて」
「ん? 指輪だねぇ。石も付いていないような指輪を・・・・・・はぁ!?」

 指輪を眺めていた老婆は突然大声で驚きを表現する。老婆から吐き出された驚きの声に冨岡とフィーネは怯んでしまい、体を硬直させた。
 そんな冨岡に対して老婆は呆れたような表情を見せる。

「あんた、こんなもんを簡単に渡すんじゃないよ! 不用心にも程があるだろう、馬鹿。まったく・・・・・・物の価値を分かってないってのは罪だよ。はぁ、いいかい? あんたがアメリアの知り合いじゃなかったら、安く買い叩くところだ。この店じゃなかったらそのまま盗まれててもおかしくないよ」
「え? それってどういう・・・・・・」
「零れ星ってやつだろ、これは。どれだけ時間が経っても錆びない神々の生み出した鉄。どこからやってきたのかも分からない代物だ。金と呼ぶ者もいるね。あんたがどこでこれを手に入れたのかは分からないが、値段を付けるとしたら大金貨百枚は下らないんじゃないか」

 大金貨は一枚十万円ほど。つまり一千万円で売れるということだ。

「だ、大金貨百枚ですか!?」
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