百億円で異世界に学園作り〜祖父の遺産で勇者・聖女・魔王の子孫たちを育てます〜

澤檸檬

文字の大きさ
上 下
42 / 498

女神による魔法の説明

しおりを挟む
 ようやく自分がいる場所を理解した冨岡。
 この女神様(仮)が本当に女神様なのであればここはアーシという星のエクスルージュという国のクルスマインという街。
 信じるか信じないかよりも、ここまできて疑ってもあまり意味はない。明日にでも本当かどうか確認すればいいだけである。

「アーシってめちゃめちゃアースに似てますね」

 話を聞いた冨岡がそう零すと女神様(仮)の声は少し面倒そうに答えた。

「仕方ないじゃない。どんな世界を作ろうとも同じような文明が生まれるものよ。似たような名前になっても不思議じゃないでしょ? 受け付けているのは質問だけ、文句は対象外なの。他に質問はある?」
「えーっと、じゃあこの世界にある魔法についてを」

 冨岡がそう続けると女神様(仮)は面倒そうにため息をついてから話をする。

「魔法についてかぁ。元から存在しているものを説明するのは難しくない?」
「えぇ・・・・・・確かにそうですが女神様なんですよね?」
「いいえ、美しすぎる大天使ゴット女神様ですが」
「めんどくさいな! 魔法について教えてくださいよ!」

 女神様(仮)の軽薄な言葉で冨岡は緊張も敬意も失いつつあった。
 どうやら女神様(仮)の方も砕けた態度の方が良かったようで気にせずに話を進める。

「だって魔法は魔法だもの。魔力と魔法式を掛け合わせて発動するものよ。けれど異世界人であるあなたには魔法を使うことはできないわ。魔力を持っていないのだから当然よね。後天的に魔力を得る方法はないわ」

 自分が魔法を使えないことがわかると冨岡は少し残念そうにするが、元々使えなかったものだ。一瞬で立ち直り女神様(仮)に話しかける。

「そっか、分かりました。えっと俺がこの世界にいることや何かをすることは女神様にとって何か不都合ですか?」
「うーん、デメリットもメリットもあるって感じよね。ただ面白いからある程度のことは認めるわよ。悪意を持って世界を滅ぼそうとしない限りこの美しすぎる大天使ゴット女神様は干渉しないわ」

 女神様(仮)の言葉を聞くと冨岡は安心した。これから先も自分はこの世界を滅ぼそうなんて思わないだろう。実質何をするのも自由だということだ。

「だったら大丈夫ですね。来たばかりですが俺はこの世界を気に入っているんです。滅ぼすようなことはしませんよ」
「気に入っているのはこの世界かしら、あのアメリアって子かしら。とにかく嘘をついていないみたいだから信じてあげるわ。それにあなたが持ち込む物にも興味があるしね。一つ条件をつけるとするならあなたが異世界人であることは誰にも話してはダメよ。いい?」

 そう言われた冨岡は頷く。

「わ、分かりました」

 元々自分の素性を全て話すつもりはなかったため問題はない。
 冨岡の答えを聞いた女神様(仮)はこう続ける。

「教えられることはそれくらいね。あなたには彼とは違う物語を描いてもらいたいものね。それじゃあ、お別れよ。バイバーイ」

 驚くほど軽い挨拶をすると女神様(仮)の声は一切聞こえなくなった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...