34 / 498
エクスルージュの通貨と物価
しおりを挟む
冨岡に問いかけられるとアメリアは少し考えてから答える。
「そうですね、食事なしの宿泊で大体銀貨三枚くらいでしょうか」
「素泊まりで銀貨三枚・・・・・・およそ三千円くらいか」
理解するように呟いた冨岡だが、これ以上質問をすると自分がこの世界のことを何も知らないと白状するようなものだと考えた。
しかし、通貨や物価のことを知らなければ行動のしようがない。
冨岡はなんとか聞き出す理由を考えて取り繕った。
「俺のいた国とは随分物価が違うみたいですね。もう少し詳しく聞いてもいいですか?」
「は、はい。国によって違うものなんですね。私はエクスルージュから出たことがないのでよく分かりませんが、なんでも聞いてください」
そう答えるアメリア。その言葉の中には聞き覚えのない単語が混じっていた。冨岡は深く考えずに気になった単語を繰り返す。
「エクスルージュ?」
「何を言っているんですか、トミオカさん。この国の名前ですよ」
言いながらアメリアは地面を指差した。普通、自分が今いる国の名前を知らないはずがない。そんなことは冨岡でも分かる。
自分の失言に慌てた冨岡は即座に言葉を付け足した。
「あ、いや、ちょっとど忘れしていただけです。ほら、色んな国を巡ってきましたから」
苦しい言い訳だと冨岡自身も思う。だが、国外に出たことのないアメリアはそういうものかと納得していた。
「そうだったんですね。確かに国によって文化が違いますから、他国の名前を知らないことも物価や通貨が違っても不思議ではありませんね。私の話を聞いてもらったのですからなんでもお答えしますよ。商人であるトミオカさんにとって情報は重要なものでしょうし」
まさに怪我の功名である。他国のことを知らずに生きてきたアメリアの知識と彼女の優しさが幸いし、怪しまれずになんでも問いかけることが可能になった。
安心した冨岡は機を逃さぬよう質問を投げかける。
「ありがとうございます。なんでも基本が大切ですから、当たり前のことから聞いてしまうんですよ。えっとエクスルージュで使用されている通貨の種類を聞いてもいいですか?」
「当たり前のことから理解しようという姿勢は確かに大切かもしれませんね。分かりました、それでは一番下の貨幣から。この国では小銀貨が最も小さい貨幣です。十枚で銀貨になります。銀貨は十枚で小金貨、小金貨は十枚で金貨、さらに十枚で大金貨ですよ」
アメリアの言葉を聞いた冨岡は先ほどの宿代からおおよその価値を計算した。
銀貨三枚が三千円程度ならば銀貨は千円。銀貨千円を基準とするならば小銀貨は百円だ。小金貨が一万円、金貨が十万円、大金貨が百万円だということも計算できる。
つまりアメリアの背負っている借金は二百万円相当ということだ。
「なるほど・・・・・・二百万円・・・・・・あとは金がどれくらいの価値を持っているのか、市場調査をする必要があるか」
考えながら冨岡は呟く。その様子を見ていたアメリアは言葉の意味がわからずに首を傾げていた。
「そうですね、食事なしの宿泊で大体銀貨三枚くらいでしょうか」
「素泊まりで銀貨三枚・・・・・・およそ三千円くらいか」
理解するように呟いた冨岡だが、これ以上質問をすると自分がこの世界のことを何も知らないと白状するようなものだと考えた。
しかし、通貨や物価のことを知らなければ行動のしようがない。
冨岡はなんとか聞き出す理由を考えて取り繕った。
「俺のいた国とは随分物価が違うみたいですね。もう少し詳しく聞いてもいいですか?」
「は、はい。国によって違うものなんですね。私はエクスルージュから出たことがないのでよく分かりませんが、なんでも聞いてください」
そう答えるアメリア。その言葉の中には聞き覚えのない単語が混じっていた。冨岡は深く考えずに気になった単語を繰り返す。
「エクスルージュ?」
「何を言っているんですか、トミオカさん。この国の名前ですよ」
言いながらアメリアは地面を指差した。普通、自分が今いる国の名前を知らないはずがない。そんなことは冨岡でも分かる。
自分の失言に慌てた冨岡は即座に言葉を付け足した。
「あ、いや、ちょっとど忘れしていただけです。ほら、色んな国を巡ってきましたから」
苦しい言い訳だと冨岡自身も思う。だが、国外に出たことのないアメリアはそういうものかと納得していた。
「そうだったんですね。確かに国によって文化が違いますから、他国の名前を知らないことも物価や通貨が違っても不思議ではありませんね。私の話を聞いてもらったのですからなんでもお答えしますよ。商人であるトミオカさんにとって情報は重要なものでしょうし」
まさに怪我の功名である。他国のことを知らずに生きてきたアメリアの知識と彼女の優しさが幸いし、怪しまれずになんでも問いかけることが可能になった。
安心した冨岡は機を逃さぬよう質問を投げかける。
「ありがとうございます。なんでも基本が大切ですから、当たり前のことから聞いてしまうんですよ。えっとエクスルージュで使用されている通貨の種類を聞いてもいいですか?」
「当たり前のことから理解しようという姿勢は確かに大切かもしれませんね。分かりました、それでは一番下の貨幣から。この国では小銀貨が最も小さい貨幣です。十枚で銀貨になります。銀貨は十枚で小金貨、小金貨は十枚で金貨、さらに十枚で大金貨ですよ」
アメリアの言葉を聞いた冨岡は先ほどの宿代からおおよその価値を計算した。
銀貨三枚が三千円程度ならば銀貨は千円。銀貨千円を基準とするならば小銀貨は百円だ。小金貨が一万円、金貨が十万円、大金貨が百万円だということも計算できる。
つまりアメリアの背負っている借金は二百万円相当ということだ。
「なるほど・・・・・・二百万円・・・・・・あとは金がどれくらいの価値を持っているのか、市場調査をする必要があるか」
考えながら冨岡は呟く。その様子を見ていたアメリアは言葉の意味がわからずに首を傾げていた。
0
お気に入りに追加
317
あなたにおすすめの小説

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる