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スタンガンと串焼き二本
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そんなことを言いながらジリジリと女性に歩み寄っていた。
女性は怯えを感じながらも負けないよう気丈に振る舞っている。
その様子を見ていた冨岡はスタンガンを強く握り、一歩目を踏み出そうとした。しかし、相手は男二人。武器を持っている可能性もある。格闘技経験もない自分がスタンガンだけで立ち向かえるのか。そんな思考がのし掛かりなかなか踏み出せない。
その間にも二人の男は女性に手を伸ばそうとしていた。もう猶予はない。
するとその瞬間、冨岡の頭の中に源次郎の声が響いた。
「困っている人を助けられる人間であってくれ」
遺言にもあった言葉である。
今、助けないでどうするんだ。そう自分に言い聞かせ冨岡は一気に地面を蹴る。
「ちょっと待ったぁ!」
叫びながら男たちに向かっていく冨岡。片手にスタンガン、片手に串焼き二本。
ぱっと見では串焼きの方が殺傷能力が高そうである。
そんな冨岡の声に驚いた男たちは即座に振り向き、困惑の表情を浮かべた。
「な、なんだありゃ」
「妙な服装の弱そうな男が突っ込んできやがる」
彼らからすると冨岡は明らかに弱者である。鍛えてもおらず格闘技経験もないのだから当然だ。
そんな冨岡が明らかに強いであろう自分たちに向かってくる。何一つ合理的ではなかった。
その上、こちらの世界にはそぐわない服装と謎の所持品に串焼き二本。
男たちは冨岡を頭のおかしなやつが向かってきていると判断し対処する。
「訳わかんねぇけど、一発殴ってその辺に捨てとくか」
そう言って男の一人が冨岡を迎え撃つように立ち、拳を放った。
立ちはだかる自分より体の大きな男に対し、真っ向から向き合ったのでは冨岡に勝ち目はない。
「くそ、こうなったら」
冨岡は一か八かスタンガンを持っている右手を伸ばし、スイッチを押した。
あくまでも目的は威嚇。バチバチという凶悪な音と青白い光を見れば恐れてくれるのではないかと考えての行動である。
「これでもくらえ!」
しかし男は冨岡の想像よりも冷静だった。スタンガンを見たこともない謎の物体とし、その上でこちらに向けてきたということは武器であると判断。
咄嗟に拳の目的地を冨岡の顔面からスタンガンへと変更した。
「意味わかんねぇもん使わせるかよ!」
そう言いながらスタンガンを殴ろうとした男。
それは冨岡からすると予期せぬ幸運だった。相手にスタンガンを当てるのは難しいだろうから、脅しで使おうと思っていたのに向こうからスタンガンに触れてくれたのである。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ。
「え?」
自らスタンガンに触れようとした男に対して、何をしているんだろうと思いながら冨岡が声を漏らす。
すると男はそんな冨岡の声をかき消すように叫んだ。
「ぐああああああああああ!」
女性は怯えを感じながらも負けないよう気丈に振る舞っている。
その様子を見ていた冨岡はスタンガンを強く握り、一歩目を踏み出そうとした。しかし、相手は男二人。武器を持っている可能性もある。格闘技経験もない自分がスタンガンだけで立ち向かえるのか。そんな思考がのし掛かりなかなか踏み出せない。
その間にも二人の男は女性に手を伸ばそうとしていた。もう猶予はない。
するとその瞬間、冨岡の頭の中に源次郎の声が響いた。
「困っている人を助けられる人間であってくれ」
遺言にもあった言葉である。
今、助けないでどうするんだ。そう自分に言い聞かせ冨岡は一気に地面を蹴る。
「ちょっと待ったぁ!」
叫びながら男たちに向かっていく冨岡。片手にスタンガン、片手に串焼き二本。
ぱっと見では串焼きの方が殺傷能力が高そうである。
そんな冨岡の声に驚いた男たちは即座に振り向き、困惑の表情を浮かべた。
「な、なんだありゃ」
「妙な服装の弱そうな男が突っ込んできやがる」
彼らからすると冨岡は明らかに弱者である。鍛えてもおらず格闘技経験もないのだから当然だ。
そんな冨岡が明らかに強いであろう自分たちに向かってくる。何一つ合理的ではなかった。
その上、こちらの世界にはそぐわない服装と謎の所持品に串焼き二本。
男たちは冨岡を頭のおかしなやつが向かってきていると判断し対処する。
「訳わかんねぇけど、一発殴ってその辺に捨てとくか」
そう言って男の一人が冨岡を迎え撃つように立ち、拳を放った。
立ちはだかる自分より体の大きな男に対し、真っ向から向き合ったのでは冨岡に勝ち目はない。
「くそ、こうなったら」
冨岡は一か八かスタンガンを持っている右手を伸ばし、スイッチを押した。
あくまでも目的は威嚇。バチバチという凶悪な音と青白い光を見れば恐れてくれるのではないかと考えての行動である。
「これでもくらえ!」
しかし男は冨岡の想像よりも冷静だった。スタンガンを見たこともない謎の物体とし、その上でこちらに向けてきたということは武器であると判断。
咄嗟に拳の目的地を冨岡の顔面からスタンガンへと変更した。
「意味わかんねぇもん使わせるかよ!」
そう言いながらスタンガンを殴ろうとした男。
それは冨岡からすると予期せぬ幸運だった。相手にスタンガンを当てるのは難しいだろうから、脅しで使おうと思っていたのに向こうからスタンガンに触れてくれたのである。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ。
「え?」
自らスタンガンに触れようとした男に対して、何をしているんだろうと思いながら冨岡が声を漏らす。
すると男はそんな冨岡の声をかき消すように叫んだ。
「ぐああああああああああ!」
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