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鍵。
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盆休みだというのに、上司からの電話で起こされ、仕事を頼まれた。会社に行き、取引先にデータを送って欲しいとのこと。
断るわけにもいかないので、家を出て車に乗り、会社に向かう。
大きな交差点に出たところで、私はいつも不安になる。
家の鍵を閉めただろうか、と。
親も兄弟も友人も、私のことを『神経質』だと言うが、特段、几帳面なわけではない。部屋の掃除も週末にしかしないし、机の上を荒らされたとて、大した感情は抱かない。
ただ『家の鍵を閉め忘れる』という一点だけが、どうしても不安で仕方がないのだ。
交差点の信号が青になったところで、私は引き返そうか、と考え始める。いつもなら、会社の始業時間に間に合わなくなる、と諦めるところだが、幸いにも今日は休日出勤だ。
一度引き返したところで、問題はない。今日中にデータを送りさえすればいい。
そう考え、私は車を脇道に向かわせる。いつもは通らない道だ。少し進めばコンビニがあるとカーナビに示されていたので、そこで方向転換すればいい。
そのままコンビニに入ると、店の窓ガラスに様々な広告チラシが貼ってあった。アイドルのコンサートや自動車免許の合宿、自衛官募集の広告まで、雑に貼られたチラシを見ても、私は何も思わない。ほら、神経質じゃないだろう。
だが、そのチラシたちの中に、私の心を掴んだものがあった。
『刑務官募集』
天啓だ、と私は雷に打たれたような気持ちになる。
そうか、その手があった。鍵の閉め忘れ不安症の私にはピッタリだ。
私はコンビニに車を停めて、中に入る。やるべきことは決まっていた。
「強盗だ! 警察を呼べ!」
これでもう、鍵の閉まっていない不安とはおさらば出来る。
断るわけにもいかないので、家を出て車に乗り、会社に向かう。
大きな交差点に出たところで、私はいつも不安になる。
家の鍵を閉めただろうか、と。
親も兄弟も友人も、私のことを『神経質』だと言うが、特段、几帳面なわけではない。部屋の掃除も週末にしかしないし、机の上を荒らされたとて、大した感情は抱かない。
ただ『家の鍵を閉め忘れる』という一点だけが、どうしても不安で仕方がないのだ。
交差点の信号が青になったところで、私は引き返そうか、と考え始める。いつもなら、会社の始業時間に間に合わなくなる、と諦めるところだが、幸いにも今日は休日出勤だ。
一度引き返したところで、問題はない。今日中にデータを送りさえすればいい。
そう考え、私は車を脇道に向かわせる。いつもは通らない道だ。少し進めばコンビニがあるとカーナビに示されていたので、そこで方向転換すればいい。
そのままコンビニに入ると、店の窓ガラスに様々な広告チラシが貼ってあった。アイドルのコンサートや自動車免許の合宿、自衛官募集の広告まで、雑に貼られたチラシを見ても、私は何も思わない。ほら、神経質じゃないだろう。
だが、そのチラシたちの中に、私の心を掴んだものがあった。
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天啓だ、と私は雷に打たれたような気持ちになる。
そうか、その手があった。鍵の閉め忘れ不安症の私にはピッタリだ。
私はコンビニに車を停めて、中に入る。やるべきことは決まっていた。
「強盗だ! 警察を呼べ!」
これでもう、鍵の閉まっていない不安とはおさらば出来る。
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