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終着。
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小説を書き始めて十年。一度大きな賞の最終選考に残ったことはあるものの、結果という結果を出せてはいない。
周りの人間は「その歳でまだ夢を追いかけているのか」と笑う。
「俺の人生なんだから、何をするも俺の自由だろう」
そう言うと、見下したように鼻の奥で奴らは笑った。
「そりゃ、夢を見るのは自由だけどさ。この先どうするんだよ」
この先、夢を叶えて見返すんだよ、お前らを。
強く睨みつけると、決まって「家庭を持って、責任を果たすのが幸せじゃないか」と大人ぶったことを言う。
勝手に人の幸せを決めるな。どうせ夢を諦めた側の人間だろう。そんな人間の言葉など響くはずもない。
俺がそう思っていたのは十年前の話。
手に滲んだ油汚れが取れなくなっていた。
勤めている会社には役者志望の後輩がいる。夢を追いかける姿が眩しくて、十年前の俺のようだ。
そうか。眩しいと目障りなんだ。今の自分を正当化するために吐くのか、この言葉は。
「なぁ、その歳でまだ夢を追いかけているのか」
周りの人間は「その歳でまだ夢を追いかけているのか」と笑う。
「俺の人生なんだから、何をするも俺の自由だろう」
そう言うと、見下したように鼻の奥で奴らは笑った。
「そりゃ、夢を見るのは自由だけどさ。この先どうするんだよ」
この先、夢を叶えて見返すんだよ、お前らを。
強く睨みつけると、決まって「家庭を持って、責任を果たすのが幸せじゃないか」と大人ぶったことを言う。
勝手に人の幸せを決めるな。どうせ夢を諦めた側の人間だろう。そんな人間の言葉など響くはずもない。
俺がそう思っていたのは十年前の話。
手に滲んだ油汚れが取れなくなっていた。
勤めている会社には役者志望の後輩がいる。夢を追いかける姿が眩しくて、十年前の俺のようだ。
そうか。眩しいと目障りなんだ。今の自分を正当化するために吐くのか、この言葉は。
「なぁ、その歳でまだ夢を追いかけているのか」
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