1ページ小説

パセリ

「なぁ、パセリって食べる？」
　友人に聞かれた俺は首を傾げた。
「いや、食べないけど。お前は食べるの？」
「俺も食べない」
　お前も食べないのかよ、と言いそうになってやめる。もしかするとツッコミ待ちかもしれない。思い通りに答えるのは癪だと思ったからだ。
　すると友人は何やら神妙な面持ちで言う。
「すごいよな。パセリって食べ物という認識はあるのに、食べるか食べないかで議論になるんだもんな」
「議論になるかな。毒消しとかって効能も聞くけど、役割としては飾りだろ。他にもあるんじゃないのか？」
「刺身に添えられている花は食用だとしてもそもそも食べ物ではないだろうし、類を見ない存在だろ」
　そう言われればパセリは特別な存在かもしれない。発想を変えるだけでなんでも特別になる。友人はそんなことを教えてくれたのかもしれない。
「まぁ、食べないけど」
　友人一言余計かもしれない。