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一球。
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たった一球に命をかけるのは簡単じゃない。
これまでの時間、血と汗、心と体を犠牲にした結果の一球だ。
失ってきたもの全てが込められている。
たかが、なんて言葉で終わらせられない。額に汗が浮かび、心臓は大きな音を鳴らしていた。
ドクンドクンと血液が体を駆け巡る。沸騰してしまいそうなくらい熱く濃い血液だ。
「この一球で決める」
俺はそう呟き、目の前の相手を睨みつける。
相手は平然といつも通りの表情で球を待っていた。
いつだってそうだ。俺がどれだけ熱くなっても相手は機械的に受け止めている。
分からないだろうな、俺のような者の気持ちは。言葉では熱いと簡単に言い放つ相手だが真剣味は感じられない。
そんな言葉には騙されな異様に俺は最後の一球を放った。
勢いよく飛んだ球は音を立てて真っ暗な穴へと消えていく。
俺の夢が潰えた瞬間だった。
「ああ、また負けた」
喪失感に押しつぶされそうになりながら俺はその場を離れる。
欲望渦巻く、戦いの場。このパチンコ店という場所は命すら失いかねない。
忘れてはいけないぞ、この悲しみを。俺はそう自分に言い聞かせた。
これまでの時間、血と汗、心と体を犠牲にした結果の一球だ。
失ってきたもの全てが込められている。
たかが、なんて言葉で終わらせられない。額に汗が浮かび、心臓は大きな音を鳴らしていた。
ドクンドクンと血液が体を駆け巡る。沸騰してしまいそうなくらい熱く濃い血液だ。
「この一球で決める」
俺はそう呟き、目の前の相手を睨みつける。
相手は平然といつも通りの表情で球を待っていた。
いつだってそうだ。俺がどれだけ熱くなっても相手は機械的に受け止めている。
分からないだろうな、俺のような者の気持ちは。言葉では熱いと簡単に言い放つ相手だが真剣味は感じられない。
そんな言葉には騙されな異様に俺は最後の一球を放った。
勢いよく飛んだ球は音を立てて真っ暗な穴へと消えていく。
俺の夢が潰えた瞬間だった。
「ああ、また負けた」
喪失感に押しつぶされそうになりながら俺はその場を離れる。
欲望渦巻く、戦いの場。このパチンコ店という場所は命すら失いかねない。
忘れてはいけないぞ、この悲しみを。俺はそう自分に言い聞かせた。
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