1ページ小説

折り畳み傘。

｢本日の降水確率は八十パーセントです。お出かけの際は傘をお持ちください｣
　朝の天気予報がそう伝えた。
　私は画面を見ながら身支度を整え、学校へと向かう。
　まだ雨は降っていないが、空には重く厚い雲がかかっていた。どんよりとした空気を感じながら、私は授業を受ける。
　空は曇っていたが、私の心は晴れていた。
　今日も彼に会える。そう思うだけで胸が高鳴り、甘酸っぱい感情が溢れた。
｢うわ、降ってきたよ｣
　窓の外を見ながらそう話す友人。
　ポツポツと雨が降り、地面を濡らしていく。
　そんな様子を見ながら私は緊張を感じていた。これは恵みの雨だ。
　授業が終わっても私は教室で窓の外を眺めながら、時が来るのを待っている。
　鞄の中に隠した折り畳み傘と、心の中に隠した恋心。
　どちらを取り出そうかと。