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3巻
3-3
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その後、これからについての話し合いが行われた。
「じゃあ、これからスロノスに向かうんですか?」
倉野がダンに問いかける。
するとダンは外の様子を眺めてから答えた。
「少しでも早くスロノスに行きたいが、外が暗くなってきてるんだ。明るくなってからのほうがいいと思うが……」
確かにダンの言う通り外は暗くなっている。
少し考えてから倉野は口を開いた。
「確かに危険かもしれないけど、街中で誘拐されてしまってるんだからここも安全とは言えないでしょう。僕が護衛しますから、進みませんか?」
「なるほどな。クラノの言うことにも一理ある。じゃあ、フォンガ車を用意して進むか」
ダンはそう言って、ガロを抱きかかえる。
まだガロは目を覚ましそうにない。
そんなダンの行動を見ていた倉野は立ち上がり、体を伸ばす。
すぐに行こうとは言ったものの、先ほどまで座って葡萄酒を飲んでいた倉野。
準備運動をしてから深呼吸をする。
「よし、いつでも行けますよ」
倉野がそう言うと、ダンは頷き店を出ようとした。
するとアンナがダンに歩み寄る。
「無事に帰ってきてね」
「ああ、約束する」
ダンはそう言って微笑んだ。
だから、目の前でイチャイチャしないでください、と倉野は心の中で呟き苦笑する。
それからダンは店を出てフォンガ車を用意してきた。
どうやら先ほどディルクたちが乗っていたフォンガ車を、待機させていたようである。
そもそも、ディルクの私物のフォンガ車なので、そのまま行けば国軍に押収されるものだった。
ダンは元々それを利用しようと考えていたらしい。
「さぁ、行こうか」
そう言ってダンはフォンガ車に乗り込む。
続いて倉野も乗り込み、フォンガ車は走り始めた。
「無事に帰ってきてね!」
アンナが背後でそう叫んでいる。
走っているフォンガ車の中で倉野は状況を振り返った。
倉野が確認しなければならないことは三つ。
「とある方」とは誰なのか。
急にガロを迎えに来ることになった事情とは何なのか。
なぜガロは誘拐されたのか。
そして倉野はダンに話しかける。
「ダン、いいですか?」
話しかけられたダンは一瞬身構えてから頷いた。
「ああ。アンナたちを巻き込まないために、あの場では聞かないでくれたんだろ?」
そう言ってダンは真剣な顔をする。
事情を知ってしまうと望まなくても巻き込まれてしまう、と考えた倉野は、先ほどの食堂では詳しく聞こうとしなかった。
ダンも倉野の気遣いを察して、後から話そうとしていたらしい。
倉野は頷いてから話を続けた。
「今さら、護衛を断るようなことはしませんから、教えてもらえませんか? とある方とは誰なのか。急にガロくんを迎えに来ることになった事情とは何なのか。なぜガロが誘拐されたのか」
「……クラノなら調べる方法がありそうだもんな。あえて聞いてくれてるんだろう? 俺のことを信じて……わかった、すべてを話すぜ」
ダンはそう言って説明を始めた。
「とある方ってのはイルシュナ最大の商会の会長だ。イルシュナって国は資金力がそのまま権力になるから、実質この国の最高権力者だ」
「それってグレイ商会の会長……確か、ゾアド・グレイですか?」
倉野は記憶をたどりながらそう聞き返す。
ビスタ国でミーナ・グレイの事件について話している時にその名前をレオポルトが口にしていた。
その言葉を聞いたダンは一瞬驚きながらも頷く。
「ああ、そうだ。そこまで知っていたとは正直驚いたぜ……そう、ガロはゾアド会長の隠し子だ」
倉野は話の続きを予測し、言葉にした。
「ゾアド会長がガロくんの父親なら、事情っていうのはミーナ・グレイが殺害されたことによって後継者がいなくなったことですか?」
「なっ……そこまで知ってるのか……その通りだぜ。ゾアド会長は後継者を失ってしまった。そのためガロを呼び戻し、後継者にすることにしたんだ」
そこからさらにダンは説明を始める。
元々ガロはゾアド会長が愛人だったメイドに産ませた子だと言う。
しかし、正妻であるミーナの母がそれを許さず、孤児として孤児院に預けた。
もちろんそれについてはガロは知らずに生きてきたらしい。
そしてゾアドの後継者には当然のようにミーナが選ばれていた。
しかしミーナが先日の事件で命を落とし、グレイ商会は後継者を失う。
グレイ商会ほど大きい組織になれば後継者がいないから終わる、というわけにはいかず、誰かを後継者に指名しなければならない。
このままいくとゾアドの弟がグレイ商会を継ぐことになってしまう。
そこで唯一ゾアドの血を引いているガロを呼び戻すことにしたのだという。
「で、元々俺はバンティラスでガロのいる孤児院に寄付をしていたし、行商人としてグレイ商会と関わっていたんだ。そして俺とガロの関わりを知ったゾアド会長がつい先日、ガロを連れてくるようにと俺に依頼をしてきた。エスエ帝国に行く際にもゾアド会長にはお世話になっていたから、俺はその依頼を引き受けた」
ダンの話を聞き、倉野は疑問をぶつける。
「どうしてダンに依頼を? グレイ商会の人間が迎えに行けばいいんじゃ?」
「いや、そうはいかなかったんだ。さっきもガロが誘拐されただろ? あれはおそらくゾアド会長の弟ガマドの差し金だ。グレイ商会の人間が動くとガマドがそれを察知してしまう。だから俺に依頼してきたらしいぜ。まぁ、結局バレちまってたみたいだがな」
そう言ってダンはため息をついた。
話を聞いた倉野はなるほど、と頷く。
ガロが誘拐され闇に葬られようとしていたのは、グレイ商会会長の座を狙うガマドにとって邪魔な存在であったからだ。
倉野は眠っているガロに視線を送る。
まだ十歳程度の少年だ。そんな少年が大人の都合で捨てられ、また大人の都合でグレイ商会の後継者争いという舞台に勝手に上げられ、その命を狙われた。
どこの世界にも理不尽なことはいくらでもある。
しかし、これからの未来を作っていく子どもの命や権利を奪うことなど許されない。
倉野はゾアドにもガマドにも憤りを感じていた。
「こんなに小さいのに、振り回されてるんですね……」
悲しげに倉野がそう言うとダンはゆっくりと頷く。
「ああ……実は俺、ガロに家族ができるって喜んで引き受けちまったんだ。だが、事情を知るたびに、何がガロの幸せなのかわからなくなっちまった。果たしてグレイ商会に行くことがガロの幸せなのかってな……」
どうやらダンの中にも葛藤があったらしい。
しかし、このまま孤児院にいてもいつかは命を狙われるかもしれない。
それならばゾアドの庇護下にいたほうが安全だろう、と考え行動したという。
しかし、ゾアドの庇護下にいるということは利用されるということ。
ダンはそれをわかっていた。
「だから俺は、最後までガロに付き合おうと思っているんだ。何が起ころうと」
「弱いくせにカッコつけますね」
倉野はそう言ってダンに微笑んだ。
心の中で、この子のために自分もできることをしようと誓う倉野。
今できることといえば、ガロを安全にグレイ商会まで連れていくことだ。
「グレイ商会まで行けばガロくんは安全ですか?」
改めて倉野はダンにそう問いかけた。
今回の目的をはっきりとさせるためでもある。
するとダンは少し考えてから頷く。
「ああ、流石にガマドといえどもグレイ商会内でガロを狙うことはできないだろうよ。グレイ商会の本部までガロを連れていけば何とかなるはずだ」
勝利条件はガロをグレイ商会本部まで連れていくこと。
敗北条件はガロを奪われること。
今の状況をはっきりさせた倉野はゆっくりとガロの頭を撫でる。
この小さな体には争いの種が眠っていた。
イルシュナという国を統べる血が流れていた。
そんなものがガロの人生を弄んでいるのである。
話をしながらもフォンガ車は休みなく走り続けた。
バンティラスからスロノスまでは歩いて半日。
フォンガ車であれば数時間もあれば到着するだろう。
夜のうちにスロノスに着く計算だ。
「夜のうちにスロノスに着ければ夜の闇に紛れてグレイ商会本部まで行けるな」
ダンはそう言って外を眺める。
高層ビルや街灯のないこちらの世界では、月や星の光、せいぜい松明が照らしている程度だ。
夜に特定の相手を見つけるのは難しいだろう。
しかし、バンティラスからスロノスまでの道は一本しかない。
この道中が一番狙われやすいだろうと、倉野もダンも理解していた。
警戒しながらスロノスに向かう倉野たち。
だが、驚くほど何も起きず、気づけばスロノス目前まで来ていた。
「あれがスロノスだ」
ダンが前方を指差してそう言う。
言われた倉野が身を乗り出して前方を確認すると、暗闇の中にうっすらと城壁のようなものが見えた。
イルシュナ最大の街なだけあって、想像以上に大きい。
そしてその大きな街はグレイ商会が統治している。
グレイ商会の大きさも示していた。
もうすぐスロノスに到着するというところでガロが目を覚ます。
「う……うう」
「ガロ、大丈夫か?」
ガロの声に気づいたダンが声をかけた。
するとガロは周囲を見渡し、少し不安そうな表情を浮かべる。
「ダン兄ちゃん? ここはどこ?」
「ああ、俺だ。どこか痛いところはないか?」
ダンはそう言ってガロの手を握った。
手を握られたガロは少し安心したように頷く。
「うん、大丈夫だよ。何で僕はここにいるの?」
「ガロ……」
ダンはゆっくりと深呼吸をした。
それは今からガロに事情を説明するための心の準備だろう。
ガロの目を見ながらダンはゆっくりと口を開いた。
「いいかい、ガロ。よく聞いてくれ」
「うん?」
「今から俺たちはスロノスに行くんだ」
「スロノスに?」
ガロは首を傾げる。
ガロが混乱しないように気を付けながら少しずつ話すダン。
さらに言葉を続けた。
「今から向かうスロノスにはガロの父親がいる」
「え?」
驚いたガロは身を仰け反らせる。
ずっと自分には家族などいないと思っていたのだから無理はない。
すぐには理解できないだろうとわかりながらもダンは話を進める。
「驚くのも無理ないさ。でも聞いてくれ。ガロには父親がいたんだよ。そして今からその人のところに向かうんだ」
「僕に……父さんが?」
「ああ、そうだ。でな、どうしてもガロに会いたいって言うんだ。会ってやってくれないか?」
どうやらダンはガロが命を狙われていることや誘拐されたことを言わないことにしたようだ。
なるほど、と倉野は頷く。
命を狙われていることやグレイ商会の話をしても今のガロは混乱するだけだろう。
今は父親がいたという事実だけでいっぱいいっぱいなはずだ。
困惑しながらガロはダンの手を強く握り返す。
小さな体で、現実を受け止めようとしているのだろう。
さらにダンは言葉を重ねる。
「何かあっても俺がそばにいる。一緒に行ってくれないか?」
何としてもガロをグレイ商会の庇護下に置かなければならない。
そうしなければ再びガロは命を狙われてしまう。
だが、ガロの意思を無視してしまうと、今以上にガロを追い詰めることになってしまうだろう。
一緒にいる、という約束がダンにできる精一杯だった。
ダンの真剣な眼差しに応えるようにガロは頷く。
「……うん。ダン兄ちゃんが一緒にいてくれるなら」
そこにはダンとガロが重ねてきた時間や絆が感じられた。
孤児院に寄付を続けてきたダンはガロを兄弟のように思っているのだろう。
ガロは父親に会う覚悟を決め、ダンはガロと一緒にいることを決めた。
倉野はこの二人を守ると覚悟を決める。
「ところで、この人は誰?」
ガロは倉野のほうを見ながら当然の疑問を口にした。
倉野はガロを怖がらせないように優しい表情をして名乗る。
「僕は倉野。ダンの友人だよ。僕も一緒にガロくんを守るからね」
倉野の言葉を聞き、少し表情が和らぐガロ。
その後、何事もなく倉野たちを乗せたフォンガ車はスロノスに到着した。
夜のうちにバンティラスを出たことが功を奏したのだろうか。
だが、何もないならば好都合である。
スロノスを囲んでいる城壁の目前でフォンガ車を停め、そこからは歩いて向かう。
「じゃあ、行こうか」
ダンはそう言ってガロの手を引く。
倉野はついていくように二人の背後で周囲を警戒していた。
他の街と同様に門のところで手続きをし通り抜けると、スロノスの街が広がっている。
暗くてよくわからないが、それでも倉野が知っているどの街よりも道が広く建物が多いことはわかった。
しばらく歩くと明らかに大きな建物が見える。
まるで城のような形をしており、大きな看板が掲げてあった。
「ここだぜ」
ダンは背後の倉野のほうを向きながらそう言う。
するとガロが不思議そうな表情を浮かべ、ダンに問いかける。
「ここってグレイ商会?」
「ああ、そうだよ。ガロの父親はここにいるんだ」
「ここに父さんが?」
もう驚くことに慣れたのか、聞き返すガロは存外冷静であった。
ダンは頷き、話を続ける。
「ああ。驚くと思うがガロの父親はここの会長だ」
そう伝えるダンだったがガロはよくわかっていない様子だ。
「会長?」
「ここで一番偉い人だよ。ガロはその人の息子なんだ」
そう言われたガロは無表情のままダンの手を強く握る。
いろんな思いが胸の中を駆け巡っているのだろう。
お金持ちで立場もある人間が自分を捨て、約十年間迎えにも来なかった。
悲しみや憤り、まだ少年のガロには形容し難い思いが握る手からダンに伝わる。
手を強く握り返し、ダンは前を向いた。
「行こう、ガロ。納得できないこともいっぱいあるだろうし、わからないこともあるだろうぜ。だけど、進むんだ。ガロを守るためにも進むしかないんだ」
様々な思いの中、ダンはそう言う。
ガロを捨て、自分たちの都合で呼び寄せるゾアドに思うことなどいくらでもある。しかし、ガロを救うにはグレイ商会を頼るしかない。
倉野はそんなダンの背中を眺めながらも周囲を警戒する。
三人はそのままグレイ商会の扉を開き中に入った。
夜間だったが扉は開いており、中はまだ明るい。
入ってすぐは通路になっており、奥に部屋がある。
どうやらまだ仕事をしている人がいるようだ。
「あの、すみませーん」
大きな声でダンがそう言うと、奥の部屋から人が出てくる。
「何ですか? こんな遅くに。もう店はやってないですよ」
奥から出てきた男性はめんどくさそうにそう言った。
残業中に誰かが来ると作業は止まるし余計に時間はかかるし大変だよな、と倉野はこっそり同情する。
しかし、そんなことも言っていられない。
グレイ商会の男性が迷惑そうな顔をしているのにも構わず、ダンは用件を話す。
「ゾアド氏の依頼でこの子を届けに来ました。急ぎの用なのでゾアド氏に取り次いでいただけませんか」
ダンの要求を聞いた男性は疑いの目を向けた。
「会長の依頼ですか? そのような話は聞いていませんが」
「事情あって極秘の行動でしたので」
そう言い返すダン。
しかし男性は納得しない。
「とにかくこんな時間に怪しい人物と会長を会わせるわけにはいきません」
男性の言っていることは正しいのだが、そのような問答に付き合っている時間はない。
すぐにでもゾアドにガロを保護してもらわなければ、ガマドの刺客が襲ってくるかもしれないのだ。
少しずつダンは焦りを露わにする。
「ですから、急ぎで極秘なんですって」
「ですから、私も通すわけにはいかないんですって」
男性にそう言い返され、ダンはどうしようかと考え始める。
背後からその様子を見ていた倉野は小さな声でダンに耳打ちする。
「じゃあ、これからスロノスに向かうんですか?」
倉野がダンに問いかける。
するとダンは外の様子を眺めてから答えた。
「少しでも早くスロノスに行きたいが、外が暗くなってきてるんだ。明るくなってからのほうがいいと思うが……」
確かにダンの言う通り外は暗くなっている。
少し考えてから倉野は口を開いた。
「確かに危険かもしれないけど、街中で誘拐されてしまってるんだからここも安全とは言えないでしょう。僕が護衛しますから、進みませんか?」
「なるほどな。クラノの言うことにも一理ある。じゃあ、フォンガ車を用意して進むか」
ダンはそう言って、ガロを抱きかかえる。
まだガロは目を覚ましそうにない。
そんなダンの行動を見ていた倉野は立ち上がり、体を伸ばす。
すぐに行こうとは言ったものの、先ほどまで座って葡萄酒を飲んでいた倉野。
準備運動をしてから深呼吸をする。
「よし、いつでも行けますよ」
倉野がそう言うと、ダンは頷き店を出ようとした。
するとアンナがダンに歩み寄る。
「無事に帰ってきてね」
「ああ、約束する」
ダンはそう言って微笑んだ。
だから、目の前でイチャイチャしないでください、と倉野は心の中で呟き苦笑する。
それからダンは店を出てフォンガ車を用意してきた。
どうやら先ほどディルクたちが乗っていたフォンガ車を、待機させていたようである。
そもそも、ディルクの私物のフォンガ車なので、そのまま行けば国軍に押収されるものだった。
ダンは元々それを利用しようと考えていたらしい。
「さぁ、行こうか」
そう言ってダンはフォンガ車に乗り込む。
続いて倉野も乗り込み、フォンガ車は走り始めた。
「無事に帰ってきてね!」
アンナが背後でそう叫んでいる。
走っているフォンガ車の中で倉野は状況を振り返った。
倉野が確認しなければならないことは三つ。
「とある方」とは誰なのか。
急にガロを迎えに来ることになった事情とは何なのか。
なぜガロは誘拐されたのか。
そして倉野はダンに話しかける。
「ダン、いいですか?」
話しかけられたダンは一瞬身構えてから頷いた。
「ああ。アンナたちを巻き込まないために、あの場では聞かないでくれたんだろ?」
そう言ってダンは真剣な顔をする。
事情を知ってしまうと望まなくても巻き込まれてしまう、と考えた倉野は、先ほどの食堂では詳しく聞こうとしなかった。
ダンも倉野の気遣いを察して、後から話そうとしていたらしい。
倉野は頷いてから話を続けた。
「今さら、護衛を断るようなことはしませんから、教えてもらえませんか? とある方とは誰なのか。急にガロくんを迎えに来ることになった事情とは何なのか。なぜガロが誘拐されたのか」
「……クラノなら調べる方法がありそうだもんな。あえて聞いてくれてるんだろう? 俺のことを信じて……わかった、すべてを話すぜ」
ダンはそう言って説明を始めた。
「とある方ってのはイルシュナ最大の商会の会長だ。イルシュナって国は資金力がそのまま権力になるから、実質この国の最高権力者だ」
「それってグレイ商会の会長……確か、ゾアド・グレイですか?」
倉野は記憶をたどりながらそう聞き返す。
ビスタ国でミーナ・グレイの事件について話している時にその名前をレオポルトが口にしていた。
その言葉を聞いたダンは一瞬驚きながらも頷く。
「ああ、そうだ。そこまで知っていたとは正直驚いたぜ……そう、ガロはゾアド会長の隠し子だ」
倉野は話の続きを予測し、言葉にした。
「ゾアド会長がガロくんの父親なら、事情っていうのはミーナ・グレイが殺害されたことによって後継者がいなくなったことですか?」
「なっ……そこまで知ってるのか……その通りだぜ。ゾアド会長は後継者を失ってしまった。そのためガロを呼び戻し、後継者にすることにしたんだ」
そこからさらにダンは説明を始める。
元々ガロはゾアド会長が愛人だったメイドに産ませた子だと言う。
しかし、正妻であるミーナの母がそれを許さず、孤児として孤児院に預けた。
もちろんそれについてはガロは知らずに生きてきたらしい。
そしてゾアドの後継者には当然のようにミーナが選ばれていた。
しかしミーナが先日の事件で命を落とし、グレイ商会は後継者を失う。
グレイ商会ほど大きい組織になれば後継者がいないから終わる、というわけにはいかず、誰かを後継者に指名しなければならない。
このままいくとゾアドの弟がグレイ商会を継ぐことになってしまう。
そこで唯一ゾアドの血を引いているガロを呼び戻すことにしたのだという。
「で、元々俺はバンティラスでガロのいる孤児院に寄付をしていたし、行商人としてグレイ商会と関わっていたんだ。そして俺とガロの関わりを知ったゾアド会長がつい先日、ガロを連れてくるようにと俺に依頼をしてきた。エスエ帝国に行く際にもゾアド会長にはお世話になっていたから、俺はその依頼を引き受けた」
ダンの話を聞き、倉野は疑問をぶつける。
「どうしてダンに依頼を? グレイ商会の人間が迎えに行けばいいんじゃ?」
「いや、そうはいかなかったんだ。さっきもガロが誘拐されただろ? あれはおそらくゾアド会長の弟ガマドの差し金だ。グレイ商会の人間が動くとガマドがそれを察知してしまう。だから俺に依頼してきたらしいぜ。まぁ、結局バレちまってたみたいだがな」
そう言ってダンはため息をついた。
話を聞いた倉野はなるほど、と頷く。
ガロが誘拐され闇に葬られようとしていたのは、グレイ商会会長の座を狙うガマドにとって邪魔な存在であったからだ。
倉野は眠っているガロに視線を送る。
まだ十歳程度の少年だ。そんな少年が大人の都合で捨てられ、また大人の都合でグレイ商会の後継者争いという舞台に勝手に上げられ、その命を狙われた。
どこの世界にも理不尽なことはいくらでもある。
しかし、これからの未来を作っていく子どもの命や権利を奪うことなど許されない。
倉野はゾアドにもガマドにも憤りを感じていた。
「こんなに小さいのに、振り回されてるんですね……」
悲しげに倉野がそう言うとダンはゆっくりと頷く。
「ああ……実は俺、ガロに家族ができるって喜んで引き受けちまったんだ。だが、事情を知るたびに、何がガロの幸せなのかわからなくなっちまった。果たしてグレイ商会に行くことがガロの幸せなのかってな……」
どうやらダンの中にも葛藤があったらしい。
しかし、このまま孤児院にいてもいつかは命を狙われるかもしれない。
それならばゾアドの庇護下にいたほうが安全だろう、と考え行動したという。
しかし、ゾアドの庇護下にいるということは利用されるということ。
ダンはそれをわかっていた。
「だから俺は、最後までガロに付き合おうと思っているんだ。何が起ころうと」
「弱いくせにカッコつけますね」
倉野はそう言ってダンに微笑んだ。
心の中で、この子のために自分もできることをしようと誓う倉野。
今できることといえば、ガロを安全にグレイ商会まで連れていくことだ。
「グレイ商会まで行けばガロくんは安全ですか?」
改めて倉野はダンにそう問いかけた。
今回の目的をはっきりとさせるためでもある。
するとダンは少し考えてから頷く。
「ああ、流石にガマドといえどもグレイ商会内でガロを狙うことはできないだろうよ。グレイ商会の本部までガロを連れていけば何とかなるはずだ」
勝利条件はガロをグレイ商会本部まで連れていくこと。
敗北条件はガロを奪われること。
今の状況をはっきりさせた倉野はゆっくりとガロの頭を撫でる。
この小さな体には争いの種が眠っていた。
イルシュナという国を統べる血が流れていた。
そんなものがガロの人生を弄んでいるのである。
話をしながらもフォンガ車は休みなく走り続けた。
バンティラスからスロノスまでは歩いて半日。
フォンガ車であれば数時間もあれば到着するだろう。
夜のうちにスロノスに着く計算だ。
「夜のうちにスロノスに着ければ夜の闇に紛れてグレイ商会本部まで行けるな」
ダンはそう言って外を眺める。
高層ビルや街灯のないこちらの世界では、月や星の光、せいぜい松明が照らしている程度だ。
夜に特定の相手を見つけるのは難しいだろう。
しかし、バンティラスからスロノスまでの道は一本しかない。
この道中が一番狙われやすいだろうと、倉野もダンも理解していた。
警戒しながらスロノスに向かう倉野たち。
だが、驚くほど何も起きず、気づけばスロノス目前まで来ていた。
「あれがスロノスだ」
ダンが前方を指差してそう言う。
言われた倉野が身を乗り出して前方を確認すると、暗闇の中にうっすらと城壁のようなものが見えた。
イルシュナ最大の街なだけあって、想像以上に大きい。
そしてその大きな街はグレイ商会が統治している。
グレイ商会の大きさも示していた。
もうすぐスロノスに到着するというところでガロが目を覚ます。
「う……うう」
「ガロ、大丈夫か?」
ガロの声に気づいたダンが声をかけた。
するとガロは周囲を見渡し、少し不安そうな表情を浮かべる。
「ダン兄ちゃん? ここはどこ?」
「ああ、俺だ。どこか痛いところはないか?」
ダンはそう言ってガロの手を握った。
手を握られたガロは少し安心したように頷く。
「うん、大丈夫だよ。何で僕はここにいるの?」
「ガロ……」
ダンはゆっくりと深呼吸をした。
それは今からガロに事情を説明するための心の準備だろう。
ガロの目を見ながらダンはゆっくりと口を開いた。
「いいかい、ガロ。よく聞いてくれ」
「うん?」
「今から俺たちはスロノスに行くんだ」
「スロノスに?」
ガロは首を傾げる。
ガロが混乱しないように気を付けながら少しずつ話すダン。
さらに言葉を続けた。
「今から向かうスロノスにはガロの父親がいる」
「え?」
驚いたガロは身を仰け反らせる。
ずっと自分には家族などいないと思っていたのだから無理はない。
すぐには理解できないだろうとわかりながらもダンは話を進める。
「驚くのも無理ないさ。でも聞いてくれ。ガロには父親がいたんだよ。そして今からその人のところに向かうんだ」
「僕に……父さんが?」
「ああ、そうだ。でな、どうしてもガロに会いたいって言うんだ。会ってやってくれないか?」
どうやらダンはガロが命を狙われていることや誘拐されたことを言わないことにしたようだ。
なるほど、と倉野は頷く。
命を狙われていることやグレイ商会の話をしても今のガロは混乱するだけだろう。
今は父親がいたという事実だけでいっぱいいっぱいなはずだ。
困惑しながらガロはダンの手を強く握り返す。
小さな体で、現実を受け止めようとしているのだろう。
さらにダンは言葉を重ねる。
「何かあっても俺がそばにいる。一緒に行ってくれないか?」
何としてもガロをグレイ商会の庇護下に置かなければならない。
そうしなければ再びガロは命を狙われてしまう。
だが、ガロの意思を無視してしまうと、今以上にガロを追い詰めることになってしまうだろう。
一緒にいる、という約束がダンにできる精一杯だった。
ダンの真剣な眼差しに応えるようにガロは頷く。
「……うん。ダン兄ちゃんが一緒にいてくれるなら」
そこにはダンとガロが重ねてきた時間や絆が感じられた。
孤児院に寄付を続けてきたダンはガロを兄弟のように思っているのだろう。
ガロは父親に会う覚悟を決め、ダンはガロと一緒にいることを決めた。
倉野はこの二人を守ると覚悟を決める。
「ところで、この人は誰?」
ガロは倉野のほうを見ながら当然の疑問を口にした。
倉野はガロを怖がらせないように優しい表情をして名乗る。
「僕は倉野。ダンの友人だよ。僕も一緒にガロくんを守るからね」
倉野の言葉を聞き、少し表情が和らぐガロ。
その後、何事もなく倉野たちを乗せたフォンガ車はスロノスに到着した。
夜のうちにバンティラスを出たことが功を奏したのだろうか。
だが、何もないならば好都合である。
スロノスを囲んでいる城壁の目前でフォンガ車を停め、そこからは歩いて向かう。
「じゃあ、行こうか」
ダンはそう言ってガロの手を引く。
倉野はついていくように二人の背後で周囲を警戒していた。
他の街と同様に門のところで手続きをし通り抜けると、スロノスの街が広がっている。
暗くてよくわからないが、それでも倉野が知っているどの街よりも道が広く建物が多いことはわかった。
しばらく歩くと明らかに大きな建物が見える。
まるで城のような形をしており、大きな看板が掲げてあった。
「ここだぜ」
ダンは背後の倉野のほうを向きながらそう言う。
するとガロが不思議そうな表情を浮かべ、ダンに問いかける。
「ここってグレイ商会?」
「ああ、そうだよ。ガロの父親はここにいるんだ」
「ここに父さんが?」
もう驚くことに慣れたのか、聞き返すガロは存外冷静であった。
ダンは頷き、話を続ける。
「ああ。驚くと思うがガロの父親はここの会長だ」
そう伝えるダンだったがガロはよくわかっていない様子だ。
「会長?」
「ここで一番偉い人だよ。ガロはその人の息子なんだ」
そう言われたガロは無表情のままダンの手を強く握る。
いろんな思いが胸の中を駆け巡っているのだろう。
お金持ちで立場もある人間が自分を捨て、約十年間迎えにも来なかった。
悲しみや憤り、まだ少年のガロには形容し難い思いが握る手からダンに伝わる。
手を強く握り返し、ダンは前を向いた。
「行こう、ガロ。納得できないこともいっぱいあるだろうし、わからないこともあるだろうぜ。だけど、進むんだ。ガロを守るためにも進むしかないんだ」
様々な思いの中、ダンはそう言う。
ガロを捨て、自分たちの都合で呼び寄せるゾアドに思うことなどいくらでもある。しかし、ガロを救うにはグレイ商会を頼るしかない。
倉野はそんなダンの背中を眺めながらも周囲を警戒する。
三人はそのままグレイ商会の扉を開き中に入った。
夜間だったが扉は開いており、中はまだ明るい。
入ってすぐは通路になっており、奥に部屋がある。
どうやらまだ仕事をしている人がいるようだ。
「あの、すみませーん」
大きな声でダンがそう言うと、奥の部屋から人が出てくる。
「何ですか? こんな遅くに。もう店はやってないですよ」
奥から出てきた男性はめんどくさそうにそう言った。
残業中に誰かが来ると作業は止まるし余計に時間はかかるし大変だよな、と倉野はこっそり同情する。
しかし、そんなことも言っていられない。
グレイ商会の男性が迷惑そうな顔をしているのにも構わず、ダンは用件を話す。
「ゾアド氏の依頼でこの子を届けに来ました。急ぎの用なのでゾアド氏に取り次いでいただけませんか」
ダンの要求を聞いた男性は疑いの目を向けた。
「会長の依頼ですか? そのような話は聞いていませんが」
「事情あって極秘の行動でしたので」
そう言い返すダン。
しかし男性は納得しない。
「とにかくこんな時間に怪しい人物と会長を会わせるわけにはいきません」
男性の言っていることは正しいのだが、そのような問答に付き合っている時間はない。
すぐにでもゾアドにガロを保護してもらわなければ、ガマドの刺客が襲ってくるかもしれないのだ。
少しずつダンは焦りを露わにする。
「ですから、急ぎで極秘なんですって」
「ですから、私も通すわけにはいかないんですって」
男性にそう言い返され、ダンはどうしようかと考え始める。
背後からその様子を見ていた倉野は小さな声でダンに耳打ちする。
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