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倉野とミミー
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相手の攻撃を回避しながら倉野とリオネで打ち合わせた作戦の概要。
まずは、ミミー本人から放たれる矢をリオネが全て弓矢で撃ち落とす。
ミミー本人はスキル『千里眼』にて周囲を確認することが可能だが、残りの四人は何が起きているのか、何をすべきなのかわかっていない。
奴らが攻撃しかねている隙に、倉野がスキル『神速』を発動して、近くの木に縛り付けるのだ。
幸運なことに戦場は森。ちょうどいい蔦などいくらでも生えている。強度に不安を感じるところだが、何重にも巻いておけばある程度耐えうるだろう。
倉野がそう提案すると、リオネは言いにくそうに首を傾げた。
「あの、蔦では火魔法の適性を持っている場合簡単に・・・・・・その、焼き切られるかと。火じゃなく、風魔法でも・・・・・・ミミーたちが放っていた矢には風の付与がされていますから」
倉野が異世界人であるが故の弱点。魔法の存在を加味した作戦立案が苦手なのである。
そこで代案として倉野は、スキル『神腕』の能力を利用することを提案した。
直接殴りつければ相手の命を奪いかねないということで、寸止めをし衝撃波で相手の意識を奪う攻撃である。
その動きを地道に繰り返し、ミミーを孤立させる。
以上がミミーに勝利するための作戦であり、たった今終わらせた作戦だ。
「想像していたよりも華奢な女の子でしたね」
これまで自分を支えていた仲間を失い、混乱しかけているミミーの前に現れた倉野は、あえて余裕そうにそう言い放つ。
スキル『神速』を発動し、単身自分の前に現れた倉野を見たミミーは呼吸が止まり、冷や汗が吹き出した。全幅の信頼を置いていたスキル『千里眼』が通用しない相手であると瞬時に判断し、自分の仲間を戦闘不能にした相手が倉野であると理解する。
「・・・・・・非戦闘員ではなかったということか。貴様が私の部隊を」
ミミーはその可愛らしい容姿に似合う高めの声で、理解した内容を言葉にした。
彼女の『千里眼』には、遥か遠くでこちらに向けて弓を構えるリオネの姿も映っている。
孤立しただけではなく、遠近両方から狙われている状況だ。
「問答はしません。素直に降参してください。僕は貴女を殺したくはない」
倉野がそう述べると、ミミーは分かりやすく奥歯を噛み締める。
「私が女だからか! 殺したくはない、だと。いつでも殺せると主導権を握ったつもりか? 問答をしないと言うのであれば、殺せ! それのみが戦場を終わらせる」
「どうして、死にたがっている人を殺さなければならないんですか。そんな人の死を背負う物好きなんていませんよ」
「私が死にたがっている? ふっ、馬鹿馬鹿しい。数々の戦場で私は死神と呼ばれているんだ。この首を狙っている者がどれほどいると思う。そんな呪いを受けながら私は生き続けている。殺し続けている。私が生きるために!」
そう吠えるミミーに倉野は悲しげな瞳を向けた。
まずは、ミミー本人から放たれる矢をリオネが全て弓矢で撃ち落とす。
ミミー本人はスキル『千里眼』にて周囲を確認することが可能だが、残りの四人は何が起きているのか、何をすべきなのかわかっていない。
奴らが攻撃しかねている隙に、倉野がスキル『神速』を発動して、近くの木に縛り付けるのだ。
幸運なことに戦場は森。ちょうどいい蔦などいくらでも生えている。強度に不安を感じるところだが、何重にも巻いておけばある程度耐えうるだろう。
倉野がそう提案すると、リオネは言いにくそうに首を傾げた。
「あの、蔦では火魔法の適性を持っている場合簡単に・・・・・・その、焼き切られるかと。火じゃなく、風魔法でも・・・・・・ミミーたちが放っていた矢には風の付与がされていますから」
倉野が異世界人であるが故の弱点。魔法の存在を加味した作戦立案が苦手なのである。
そこで代案として倉野は、スキル『神腕』の能力を利用することを提案した。
直接殴りつければ相手の命を奪いかねないということで、寸止めをし衝撃波で相手の意識を奪う攻撃である。
その動きを地道に繰り返し、ミミーを孤立させる。
以上がミミーに勝利するための作戦であり、たった今終わらせた作戦だ。
「想像していたよりも華奢な女の子でしたね」
これまで自分を支えていた仲間を失い、混乱しかけているミミーの前に現れた倉野は、あえて余裕そうにそう言い放つ。
スキル『神速』を発動し、単身自分の前に現れた倉野を見たミミーは呼吸が止まり、冷や汗が吹き出した。全幅の信頼を置いていたスキル『千里眼』が通用しない相手であると瞬時に判断し、自分の仲間を戦闘不能にした相手が倉野であると理解する。
「・・・・・・非戦闘員ではなかったということか。貴様が私の部隊を」
ミミーはその可愛らしい容姿に似合う高めの声で、理解した内容を言葉にした。
彼女の『千里眼』には、遥か遠くでこちらに向けて弓を構えるリオネの姿も映っている。
孤立しただけではなく、遠近両方から狙われている状況だ。
「問答はしません。素直に降参してください。僕は貴女を殺したくはない」
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「私が女だからか! 殺したくはない、だと。いつでも殺せると主導権を握ったつもりか? 問答をしないと言うのであれば、殺せ! それのみが戦場を終わらせる」
「どうして、死にたがっている人を殺さなければならないんですか。そんな人の死を背負う物好きなんていませんよ」
「私が死にたがっている? ふっ、馬鹿馬鹿しい。数々の戦場で私は死神と呼ばれているんだ。この首を狙っている者がどれほどいると思う。そんな呪いを受けながら私は生き続けている。殺し続けている。私が生きるために!」
そう吠えるミミーに倉野は悲しげな瞳を向けた。
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