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連射の意味

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 そんな冗談を呟きながらリオネは矢を放っていた。
 途中、ツクネの魔法によって彼女の怪我や疲れは癒やされているものの、連続で矢を放つのは腕にも指にも負担がかかる。
 腕の筋肉は辛いと叫んでおり、指先は皮が剥け血が滲んでいた。
 しかし、一人で戦っている時のことを思えば、痛みなど気にならない。倉野がいるというだけでこれほど心強いのか、とありがたさを感じている。

「クラノさん、この攻撃はいつまで続けるんですか?」

 リオネが倉野に問いかけた。
 すると、言葉から一瞬遅れて倉野が聞き返す。

「すみません、何か言いましたか?」

 どうやら、倉野はちょうどスキル『神速』で四人のミミーが放った矢を叩き落として戻ってきたところだったらしい。
 それを察したリオネはもう一度問いかける。

「この、偽ミミーへの攻撃って一体いつまで続けるんですか? 大雑把な位置だけで矢を放っても決定打にはなりません。もちろんこれだけの数ですから、運よく偽ミミーを射抜くことができるかもしれませんけど」
「それはないと思いますよ。偽とはいえ、ミミーと共に数々の仕事をこなしてきたはずです。自分に向かってくる矢を回避することは可能でしょう」

 倉野の返答を聞いたリオネは、頭に浮かんできた疑問により一瞬手を止めた。
 
「それじゃあ、この連射は意味ないってことですか?」

 彼女は質問を投げかけてから再び矢を放ち始める。
 倉野の作戦を信じているが、自分が何のために何をしているのかを知らない状態では、集中し難い。
 
「この連射は相手の思考を奪い、撹乱するための陽動です」

 そう答える倉野。

「陽動・・・・・・ですか?」
「ええ、スキル『千里眼』を持つミミーは僕がリオネさんと合流したことを知っています。そうですね、ミミーのスキルを簡単に例えるならテレビの生放送・・・・・・じゃなくて、この場にいるかのように見えるスキル。僕がここに現れてからの全てを見ているミミーの目には、何がどう映っているでしょう?」
「どう、って・・・・・・クラノさんが素早く矢を叩き落として・・・・・・あ!」

 言いながらリオネは気づいた。倉野のスキル『神速』を知らない者が、それに気づくことなどあり得ない、ということに。
 スキル『神速』を発動した倉野を目で追いかけることなど不可能である。
 リオネの気づきに対して倉野は口角を上げた。

「そうです。ミミーからしてみると、僕が登場した瞬間に矢が届かなくなったことしかわからないんです。また、それと同時に偽ミミーの方向にリオネさんが矢を放ち始めた。つまり『僕が魔法か何かで矢を防いでいる』こと『索敵能力に優れているかもしれない』こと『攻撃に関してはリオネさんしかしていない』こと。ミミーが得ている情報はこの三点だけです」
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