714 / 729
連載
共闘! 倉野とリオネ
しおりを挟む
意味がわからずリオネは首を傾げた。
ミミーは一人で五人。普通に考えればこれ以上ないくらいに矛盾している。しかしリオネは矛盾を感じながらも、心の奥底で納得している自分にも気づいた。
もしも、ミミーが五人いたら。もしそうであれば、リオネのスキル『風読み』の範囲内に入らず、彼女の背後から矢を射ることも容易だろう。
元々、背後に『別のミミー』がいれば良いだけだ。
リオネを越える圧倒的な連射も、複数人ならば不可能ではない。
「五人いると考えれば納得できることも多いんじゃないですか?」
倉野はリオネの思考を読み取ったように言う。
リオネは確かにその通りだと思いながらも、その説を覆す情報を言葉にした。
「五人・・・・・・でも、まさか・・・・・・だって、ミミーが放った矢には同じ人間の魔力が籠められていましたよ。他の人間が紛れ込んでいるなんて・・・・・・」
魔力にはそれぞれ波長のようなものがある。可視化されているわけではないが、人の声を聞きその人だ、と認識できるように感覚的に魔力が誰のものか、魔法に慣れた者であれば感じ取れるのだ。
扱いとしては指紋や網膜、顔認証などに近いのかもしれない。
リオネから話を聞き、魔力によって彼女がミミーを一人だと認識していたと知る倉野。それでも彼は意見を変えなかった。
「僕には魔力の違いなんてわからないんですが、もしも声や遺伝子の違いのように個人を認識しているのなら、魔力が似ている人もいるんじゃないですか。例えば、親子や兄弟のように」
「た、確かに親子であれば魔力の質は似ていますが、これは似ているなんてレベルではなく・・・・・・」
そう言いかけるリオネの頭に何かが過ぎる。
他人とは思えないほど顔や声が似ている者。同じ母から同時に生まれた同じ血を受け継ぐ者。
「じゃ、じゃあ、ミミーは五つ子・・・・・・ってことですか?」
答えに辿り着いたリオネに、倉野は強い眼差しを向けた。
「そう、ミミーは五つ子・・・・・・これが世界に名を轟かせる射手、ミミーの正体です。僕がスキル『説明』で調べた時、ミミーを一人だと認識していたので五つ子である情報を得ることはできませんでしたが、先ほど『リオネさんと交戦中であるミミー』を調べた結果、五つ子である情報を・・・・・・すみません、僕のミスです。初めから五つ子だとわかっていれば」
リオネに謝罪する倉野。
五つ子である可能性を考慮していなかったことに罪などあるはずがない。突然、五つ子かもしれない、と考える方が変だろう。
倉野が謝ることなどない、と伝えるためリオネが彼の肩に手を置いた。そのまま「そんなことありませんよ」と言葉にするつもりが、リオネは言葉を失ってしまう。
ボロボロに破れた衣服、傷だらけの拳、荒れた呼吸。それらは倉野がギリギリのところで戦っていたことを物語っていた。
そんな状況であるにも関わらず、自分を気遣ってくれている。その事実にリオネは目頭が熱くなった。
「クラノさん・・・・・・」
今の倉野を見て、リオネが自分の悔しさや意地で動こうなどと思うわけがない。
「私と一緒に戦ってくれますか?」
「ええ、当然です!」
ミミーは一人で五人。普通に考えればこれ以上ないくらいに矛盾している。しかしリオネは矛盾を感じながらも、心の奥底で納得している自分にも気づいた。
もしも、ミミーが五人いたら。もしそうであれば、リオネのスキル『風読み』の範囲内に入らず、彼女の背後から矢を射ることも容易だろう。
元々、背後に『別のミミー』がいれば良いだけだ。
リオネを越える圧倒的な連射も、複数人ならば不可能ではない。
「五人いると考えれば納得できることも多いんじゃないですか?」
倉野はリオネの思考を読み取ったように言う。
リオネは確かにその通りだと思いながらも、その説を覆す情報を言葉にした。
「五人・・・・・・でも、まさか・・・・・・だって、ミミーが放った矢には同じ人間の魔力が籠められていましたよ。他の人間が紛れ込んでいるなんて・・・・・・」
魔力にはそれぞれ波長のようなものがある。可視化されているわけではないが、人の声を聞きその人だ、と認識できるように感覚的に魔力が誰のものか、魔法に慣れた者であれば感じ取れるのだ。
扱いとしては指紋や網膜、顔認証などに近いのかもしれない。
リオネから話を聞き、魔力によって彼女がミミーを一人だと認識していたと知る倉野。それでも彼は意見を変えなかった。
「僕には魔力の違いなんてわからないんですが、もしも声や遺伝子の違いのように個人を認識しているのなら、魔力が似ている人もいるんじゃないですか。例えば、親子や兄弟のように」
「た、確かに親子であれば魔力の質は似ていますが、これは似ているなんてレベルではなく・・・・・・」
そう言いかけるリオネの頭に何かが過ぎる。
他人とは思えないほど顔や声が似ている者。同じ母から同時に生まれた同じ血を受け継ぐ者。
「じゃ、じゃあ、ミミーは五つ子・・・・・・ってことですか?」
答えに辿り着いたリオネに、倉野は強い眼差しを向けた。
「そう、ミミーは五つ子・・・・・・これが世界に名を轟かせる射手、ミミーの正体です。僕がスキル『説明』で調べた時、ミミーを一人だと認識していたので五つ子である情報を得ることはできませんでしたが、先ほど『リオネさんと交戦中であるミミー』を調べた結果、五つ子である情報を・・・・・・すみません、僕のミスです。初めから五つ子だとわかっていれば」
リオネに謝罪する倉野。
五つ子である可能性を考慮していなかったことに罪などあるはずがない。突然、五つ子かもしれない、と考える方が変だろう。
倉野が謝ることなどない、と伝えるためリオネが彼の肩に手を置いた。そのまま「そんなことありませんよ」と言葉にするつもりが、リオネは言葉を失ってしまう。
ボロボロに破れた衣服、傷だらけの拳、荒れた呼吸。それらは倉野がギリギリのところで戦っていたことを物語っていた。
そんな状況であるにも関わらず、自分を気遣ってくれている。その事実にリオネは目頭が熱くなった。
「クラノさん・・・・・・」
今の倉野を見て、リオネが自分の悔しさや意地で動こうなどと思うわけがない。
「私と一緒に戦ってくれますか?」
「ええ、当然です!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,845
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。