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白馬はおらずとも
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まさしく不可避。何をどうしようと防ぎようのない攻撃である。
自分に向かってくる死と敗北の気配に、リオネは表情を硬直させた。その間も頭の中を様々な思考が駆け巡る。
それと同時に同じ数の否定が溢れ出た。
「ダメ・・・・・・何をしても、回避なんて・・・・・・」
諦めたくなどない。けれど、諦める以外の選択肢が思い浮かばなかった。
「くっ・・・・・・けど! やるしかないの!」
何をしようとも無駄だとわかっていながら、リオネは矢を握る。何もしないまま負ければ死んでも死にきれない。
第一波の時のように、ひたすら手持ちの矢を放っていくリオネ。
当然だが、矢の数には限界がある。何本か放ったところで矢が底をつき、彼女は武器を失った。
「矢が・・・・・・でも、それでも!」
リオネは即座に弓を捨て、両手を前に突き出す。
「矢がなくなったのなら、魔法で抵抗するだけよ! ウィンドウ・アロー!」
風の魔力を矢の形に固め、高速で放っていく。
しかし、魔法で矢に対抗できるのなら最初から弓を使う必要などない。矢という本体がない分、威力も飛距離も半減するというデメリットがあった。
逆に言えばリオネもミミーも矢を使うことで威力と飛距離を増している。
つまり、リオネの魔法でミミーの矢を落とすことはできない。彼女自身それをわかっていながら魔法を放っていた。
「それでも・・・・・・それでも、やるしかないのよ!」
一心不乱にリオネは風魔法を放ち続ける。闇に飲み込まれていく自分の魔法が、リオネの虚しさを加速させた。
それでもどこかに希望が残っているかもしれない。リオネの心を支えているのは、そんな細い糸だった。
「くっ、はああああああああ! 撃ち落として! 越えるのよ!」
けれど現実は非情なものである。声の大きさで矢を落とすことも、想いの強さで急にミミーが弱体化することもない。
抗った結果、リオネは『絶対に生き残ることができない』という確信を得た。世界は残酷である。生身で空を飛ぼうとした人間には、生身で空を飛ぶことができないという現実だけを与えるのだ。
リオネはゆっくりと両手を下ろして項垂れる。
出来ることは全て試した。もう、自分に出来ることはない。
「ごめんなさい・・・・・・クラノさん、皆」
ついに諦めの言葉を吐くリオネ。その刹那、リオネは幻聴のような声を聞く。
それは今、一番聞きたい声だった。
「リオネさん! 僕に魔法を!」
死の間際まで、リオネが想い続けた相手。倉野である。
「え、クラノさん?」
リオネは驚きながら、信じられないという表情で顔を上げた。
自分に向かってくる死と敗北の気配に、リオネは表情を硬直させた。その間も頭の中を様々な思考が駆け巡る。
それと同時に同じ数の否定が溢れ出た。
「ダメ・・・・・・何をしても、回避なんて・・・・・・」
諦めたくなどない。けれど、諦める以外の選択肢が思い浮かばなかった。
「くっ・・・・・・けど! やるしかないの!」
何をしようとも無駄だとわかっていながら、リオネは矢を握る。何もしないまま負ければ死んでも死にきれない。
第一波の時のように、ひたすら手持ちの矢を放っていくリオネ。
当然だが、矢の数には限界がある。何本か放ったところで矢が底をつき、彼女は武器を失った。
「矢が・・・・・・でも、それでも!」
リオネは即座に弓を捨て、両手を前に突き出す。
「矢がなくなったのなら、魔法で抵抗するだけよ! ウィンドウ・アロー!」
風の魔力を矢の形に固め、高速で放っていく。
しかし、魔法で矢に対抗できるのなら最初から弓を使う必要などない。矢という本体がない分、威力も飛距離も半減するというデメリットがあった。
逆に言えばリオネもミミーも矢を使うことで威力と飛距離を増している。
つまり、リオネの魔法でミミーの矢を落とすことはできない。彼女自身それをわかっていながら魔法を放っていた。
「それでも・・・・・・それでも、やるしかないのよ!」
一心不乱にリオネは風魔法を放ち続ける。闇に飲み込まれていく自分の魔法が、リオネの虚しさを加速させた。
それでもどこかに希望が残っているかもしれない。リオネの心を支えているのは、そんな細い糸だった。
「くっ、はああああああああ! 撃ち落として! 越えるのよ!」
けれど現実は非情なものである。声の大きさで矢を落とすことも、想いの強さで急にミミーが弱体化することもない。
抗った結果、リオネは『絶対に生き残ることができない』という確信を得た。世界は残酷である。生身で空を飛ぼうとした人間には、生身で空を飛ぶことができないという現実だけを与えるのだ。
リオネはゆっくりと両手を下ろして項垂れる。
出来ることは全て試した。もう、自分に出来ることはない。
「ごめんなさい・・・・・・クラノさん、皆」
ついに諦めの言葉を吐くリオネ。その刹那、リオネは幻聴のような声を聞く。
それは今、一番聞きたい声だった。
「リオネさん! 僕に魔法を!」
死の間際まで、リオネが想い続けた相手。倉野である。
「え、クラノさん?」
リオネは驚きながら、信じられないという表情で顔を上げた。
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