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手抜きと様子見
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「くっ!」
豪雨の中にでもいるのか、と思わせる攻撃の数と速度。
速いだけではなく、一撃一撃がしっかりとした重さを持っていた。相手がレオポルトでなければ既に立っていられないだろう。
血煙の獅子は肉体的な強さに依存して立っているに過ぎなかった。
一度でも攻撃の手を止めればレオポルトに回避の隙を与えてしまう。そんなことにならないよう、ダズウェルは怒涛の連撃を続けながら口を開いた。
「防戦一方とはいえ、その耐久力は認めざるを得んな。だが! 既に勝機は潰えた! その名を世界から消せ、レオポルト・ダッセル!」
「残念ながらワシが負けようと、その結果死のうとワシの名は消えんぞ」
攻撃の嵐を受けているというのにレオポルトの答えは、違和感を覚えるほど余裕そうである。
何かひっかかったダズウェルは『目の前にいるのは世界最強の一人』だと思いなおした。そんな男がこの程度で終わるわけがない。まだ、武器を抜いてすらいないのだ。
抜いているのは武器ではなく手。
もちろん、レオポルトに手を抜いているという認識はない。彼にとっては『確実に勝利』するための様子見だ。
それに気づいたダズウェルはどうしようもない怒りと焦りを覚える。
「その余裕・・・・・・貴様! 吾輩との闘いで手を抜いているというのか! 貴様がそのつもりなら、肉片も残らんようにすり潰してくれよう! 見せてやる、吾輩が至った『魔法闘技』を」
叫びながらダズウェルは左足で冗談蹴りを放った。その攻撃と同時に右半身を引く。
レオポルトはダズウェルの蹴りを腕で受け止めたが、結果的に自分の腕とダズウェルの足、左半身で視界を奪われた。
この状況はダズウェルが狙って作り出したものである。強制的に生んだ死角で魔力を練り上げ、彼の本領である『魔法闘技』の準備を整えた。
目には見えずとも魔力を感じ取ったレオポルトは明らかに表情の色を変える。
「ついに来たか、お前さんの本気を見れる瞬間が」
「肉を散らせて骨砕く! 後悔するがいい!」
ダズウェルは左足を引くとともに、固く握った右の拳をレオポルトに向けて叩き込んだ。ただの拳ではない、練り込まれた炎を纏った拳である。
一見すればただの燃える拳。もちろん痛い上に熱いのだからダメージ自体は増える。だが、驚くほどの技ではなかった。
とはいえ、魔法を防ぐには魔法が必要。
レオポルトは冷静に防御魔法を発動した。
「ストーン・ガード!」
そう唱えたレオポルトは右手を突き出し、石の壁を生成する。拳を受け止める程度の大きさで、壁というよりも盾と説明した方が正しい。
豪雨の中にでもいるのか、と思わせる攻撃の数と速度。
速いだけではなく、一撃一撃がしっかりとした重さを持っていた。相手がレオポルトでなければ既に立っていられないだろう。
血煙の獅子は肉体的な強さに依存して立っているに過ぎなかった。
一度でも攻撃の手を止めればレオポルトに回避の隙を与えてしまう。そんなことにならないよう、ダズウェルは怒涛の連撃を続けながら口を開いた。
「防戦一方とはいえ、その耐久力は認めざるを得んな。だが! 既に勝機は潰えた! その名を世界から消せ、レオポルト・ダッセル!」
「残念ながらワシが負けようと、その結果死のうとワシの名は消えんぞ」
攻撃の嵐を受けているというのにレオポルトの答えは、違和感を覚えるほど余裕そうである。
何かひっかかったダズウェルは『目の前にいるのは世界最強の一人』だと思いなおした。そんな男がこの程度で終わるわけがない。まだ、武器を抜いてすらいないのだ。
抜いているのは武器ではなく手。
もちろん、レオポルトに手を抜いているという認識はない。彼にとっては『確実に勝利』するための様子見だ。
それに気づいたダズウェルはどうしようもない怒りと焦りを覚える。
「その余裕・・・・・・貴様! 吾輩との闘いで手を抜いているというのか! 貴様がそのつもりなら、肉片も残らんようにすり潰してくれよう! 見せてやる、吾輩が至った『魔法闘技』を」
叫びながらダズウェルは左足で冗談蹴りを放った。その攻撃と同時に右半身を引く。
レオポルトはダズウェルの蹴りを腕で受け止めたが、結果的に自分の腕とダズウェルの足、左半身で視界を奪われた。
この状況はダズウェルが狙って作り出したものである。強制的に生んだ死角で魔力を練り上げ、彼の本領である『魔法闘技』の準備を整えた。
目には見えずとも魔力を感じ取ったレオポルトは明らかに表情の色を変える。
「ついに来たか、お前さんの本気を見れる瞬間が」
「肉を散らせて骨砕く! 後悔するがいい!」
ダズウェルは左足を引くとともに、固く握った右の拳をレオポルトに向けて叩き込んだ。ただの拳ではない、練り込まれた炎を纏った拳である。
一見すればただの燃える拳。もちろん痛い上に熱いのだからダメージ自体は増える。だが、驚くほどの技ではなかった。
とはいえ、魔法を防ぐには魔法が必要。
レオポルトは冷静に防御魔法を発動した。
「ストーン・ガード!」
そう唱えたレオポルトは右手を突き出し、石の壁を生成する。拳を受け止める程度の大きさで、壁というよりも盾と説明した方が正しい。
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