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連載

連撃

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 拳と拳、純粋な力がぶつかり合いそれぞれ衝撃で後退する。
 肉体的な強さは獣人であるレオポルトの方が高いらしく、若干だがダズウェルの方が体勢を崩した。
 その隙を見逃さずレオポルトは、伸ばしたゴムが一気に縮むかのようにダズウェルとの距離を詰める。

「この程度で体がブレるとは修練が足りんのではないのか?」

 あえて煽るような言い方をするレオポルト。
 戦いの中では一瞬の油断が勝敗を分ける。相手の心を揺さぶる言葉は効果的なことが多い。特に自分が劣勢であると感じた瞬間には効くものだ。
 しかし、ダズウェルは寸分も自分が劣勢であるとは思っていない。
 むしろ『自分には成長の余地がある』と狂気じみた笑みを浮かべた。

「ようやく面白くなってきたではないか! さぁ、全てをぶつけてこい、レオポルト・ダッセル!」

 レオポルトの突進に向き合いながらダズウェルが吠える。その言葉の直後レオポルトが蹴りを放った。
 軸足が地面を抉るような鋭い蹴りは、ダズウェルの顎に襲い掛かる。
 すると彼はその鋭い蹴りに合わせて体を回し、まるで流水のように回避した。これまで見せてきた動きを剛とするならば柔の動きである。
 まったく手ごたえがなかったことで一瞬、動きを止めるレオポルト。

「何だ、その動きは」
「肉体的には獣に劣る人間が上回るにはどうすればいいと思う? そう、考え学び鍛錬することだ。吾輩は水の動きすらをも我が物とした!」

 ダズウェルはその回転力を活かし、そのまま回し蹴りをレオポルトに叩き込んだ。
 蹴りを回避されたばかりのレオポルトに成す術はなく、そのまま攻撃を受ける。

「ぐふっ!」

 腹部に決めれた低めの回し蹴りは体表だけではなく、内臓を揺らし想像以上にダメージを与える。
 レオポルトは後方に弾かれつつ、腹部を押さえた。

「お前さんの動きは・・・・・・読もうとすればするほど、見えなくなるな。ああ・・・・・・厄介だ」
「ついに弱音を吐いたな、レオポルト・ダッセル。だが、攻め手を緩めるつもりはない!」

 蹴りを受け、動きを止めてしまったレオポルトに対し、ダズウェルは追撃を開始する。
 獣のように飛び掛かり拳を放ったかと思えば、風のように距離を置き、再び炎のように揺らめきながら、舞い散る花びらのような動きで蹴りを放った。
 一度ダズウェルの攻撃が始まってしまっては、回避の隙など存在しない。
 防御するので精一杯だが、それでも度々防御をすり抜けるダズウェルの攻撃でレオポルトに蓄積するダメージは増えていった。
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