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風の絆、愛の呼び声
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ビゼラード自身、自分の性質に翻弄され魔力を使い切った状態であるため、音には敏感に反応し素早く振り返った。
割れたガラスの破片を見るに、外から何かが入ってきたのだろう。しかし、その『何か』の正体はわからない。無機物なのか有機物なのか、その影を捉えることもできなかったのだ。
「何が・・・・・・」
外から石でも投げ込まれたのだろうか、と油断した瞬間ビゼラードは左腹部に強い衝撃を受ける。
「ぐふっ!」
防御意識など持っていなかった彼は体勢を崩し、地面に膝をついた。
「なんなんだ」
衝撃によって揺れる視界の中、ビゼラードが見たのは毛に纏われた腕一本分くらいの大きさの『何か』だった。
「ま、魔物?」
小さな体の中に、見合わないほど大きな魔力を秘めた生命体。その魔物は後ろ足で立ち上がるとビゼラードやレインを確認する。
「ククー!」
愛らしい高音を放つその魔物は風魔法で浮かび上がると、レインのすぐそばに着地した。
「ククク」
何かを話しかけているようにも見え、ビゼラードは自分の発言の馬鹿馬鹿しさを理解しながらも疑問を口にする。
「まさか、その魔物はあなたの仲間? いや、まさか、そんな小さな魔物が・・・・・・」
どう見ても戦力になりそうではない魔物。人間でも魔物でも体の大きさは強さと大いに関係する。小型の魔物である『何か』はビゼラードに言い表せぬ違和感を与えた。
そんなことを考えているうちに『何か』はレインの頬に顔を近づけ、目尻を舐める。
そこでようやく自分に何かをされたと気づいたレインが霞む目で無理をして『何か』を確認した。
「き、君は・・・・・・ツクネ?」
「ククー!」
そう、レインの死の瞬間に現れたのは倉野の相棒、ツクネである。
ツクネは風魔法によって弾丸のように飛ぶことができる。
レインは自分の危機に気づき、駆けつけてくれたのか、とツクネに手を伸ばした。だが事実は危機を察知したわけではない。
フェレッタであるツクネは愛の化身。人の心に非常に敏感な生物である。それゆえにこの戦場で最も強い『愛』に反応するのは当然であった。
レインがノエルを想う心、レインがクラノに託す心。種類は違えどそれは紛れもなく愛だった。
「ツク・・・・・・ネ。どうしてここに? 君だけでも逃げるんだ。できるなら俺の状態をみんなに伝えてくれ。すまなかった、と」
言いながらレインが最後の力を振り絞りツクネを撫でると、ツクネは首を横に振る。
「クク!」
「大切なことは自分で伝えろってことかい? 案外厳しいんだね、君は。見ての通り俺はこのザマだよ」
「クー!」
「大丈夫だって? ははっ、俺が後悔せず逝けるように気を遣っているのかな」
なんとなくツクネの言葉を理解するレイン。しかし、ツクネは何かを諦めるような表情を浮かべてはいなかった。
「クー・・・・・・クク!」
そこでツクネは溜め込んでいた魔力を解放する。
割れたガラスの破片を見るに、外から何かが入ってきたのだろう。しかし、その『何か』の正体はわからない。無機物なのか有機物なのか、その影を捉えることもできなかったのだ。
「何が・・・・・・」
外から石でも投げ込まれたのだろうか、と油断した瞬間ビゼラードは左腹部に強い衝撃を受ける。
「ぐふっ!」
防御意識など持っていなかった彼は体勢を崩し、地面に膝をついた。
「なんなんだ」
衝撃によって揺れる視界の中、ビゼラードが見たのは毛に纏われた腕一本分くらいの大きさの『何か』だった。
「ま、魔物?」
小さな体の中に、見合わないほど大きな魔力を秘めた生命体。その魔物は後ろ足で立ち上がるとビゼラードやレインを確認する。
「ククー!」
愛らしい高音を放つその魔物は風魔法で浮かび上がると、レインのすぐそばに着地した。
「ククク」
何かを話しかけているようにも見え、ビゼラードは自分の発言の馬鹿馬鹿しさを理解しながらも疑問を口にする。
「まさか、その魔物はあなたの仲間? いや、まさか、そんな小さな魔物が・・・・・・」
どう見ても戦力になりそうではない魔物。人間でも魔物でも体の大きさは強さと大いに関係する。小型の魔物である『何か』はビゼラードに言い表せぬ違和感を与えた。
そんなことを考えているうちに『何か』はレインの頬に顔を近づけ、目尻を舐める。
そこでようやく自分に何かをされたと気づいたレインが霞む目で無理をして『何か』を確認した。
「き、君は・・・・・・ツクネ?」
「ククー!」
そう、レインの死の瞬間に現れたのは倉野の相棒、ツクネである。
ツクネは風魔法によって弾丸のように飛ぶことができる。
レインは自分の危機に気づき、駆けつけてくれたのか、とツクネに手を伸ばした。だが事実は危機を察知したわけではない。
フェレッタであるツクネは愛の化身。人の心に非常に敏感な生物である。それゆえにこの戦場で最も強い『愛』に反応するのは当然であった。
レインがノエルを想う心、レインがクラノに託す心。種類は違えどそれは紛れもなく愛だった。
「ツク・・・・・・ネ。どうしてここに? 君だけでも逃げるんだ。できるなら俺の状態をみんなに伝えてくれ。すまなかった、と」
言いながらレインが最後の力を振り絞りツクネを撫でると、ツクネは首を横に振る。
「クク!」
「大切なことは自分で伝えろってことかい? 案外厳しいんだね、君は。見ての通り俺はこのザマだよ」
「クー!」
「大丈夫だって? ははっ、俺が後悔せず逝けるように気を遣っているのかな」
なんとなくツクネの言葉を理解するレイン。しかし、ツクネは何かを諦めるような表情を浮かべてはいなかった。
「クー・・・・・・クク!」
そこでツクネは溜め込んでいた魔力を解放する。
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