異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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もう一人の仲間

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 その中でも四十二番を提案したレイン。倉野としても異論はない。ただ四十二番が『死に』とも読め、縁起が悪い番号だな、と思うだけだ。
 百を超える作戦を書き留めた羊皮紙。バレンドット入国前に持て余していた時間で様々なシュミレーションを繰り返し書き上げた作戦書だ。
 その中でもバレンドットの協力、ヴェルフェールの正体が敵ではない、エクレールがノエルを救う気がある、という条件に当てはまるのは六つ。四十二番はそのうちの一つだった。

「僕も四十二番の案に賛成です。他の作戦では不測の事態に対応できませんし、保険はかけておくべきですね」

 倉野が自分の意見を述べると、リオネは少し考えてから頷く。

「なるほど、保険。クラノさんの言う保険とはツクネちゃんのことですね?」

 彼女の言う通りだった。作戦四十二番が他の六つとは違うところ、それは倉野とツクネが別行動をとるという点である。

「そうです」

 倉野は答えながら、鞄の中ですやすやと眠るツクネを眺めた。
 本当ならばツクネと別行動を取りたくはない。もしもスキルが通用しない相手が現れた場合、魔法を使って倉野を守れるのはツクネだけだ。もちろん、手段として考えているわけではない。何よりツクネは大切な相棒で、家族だ。離れたくないのは当然である。
 それでも今回は何が起きるかわからない上に、何が起きても守らなければならないものがあるのだ。何をしてでもノエルと、ノエルの守りたいバレンドットを守る。そのための別行動だった。

「ツクネは人間の心に敏感です。おそらく僕が違和感を覚えてスキル『説明』で見抜くよりも早い。その能力を活かしてツクネには何か起きた時の対処をしてもらいます」

 倉野はそう言ってツクネを抱き上げる。眠っていたツクネは倉野の手に起こされ、眠たそうな目で見上げる。
 どうしたの? とでも言いたそうな顔に倉野が話しかけた。

「ごめんな、ツクネ。起きてくれるか?」
「クー?」

 前足で器用に顔を擦りながら倉野の話を聞くツクネ。
 既に立案した作戦だとはいえ、ツクネの意思を尊重しなければならない。無理に命懸けの戦いに巻き込むわけにはいかなかった。そう考え、倉野はツクネに問いかける。

「なぁ、ツクネ」
「クク」
「僕たちに力を貸してくれるかい? ノエルさんやこの国を救うためにお前の力を貸して欲しいんだ」
「クー!」

 寝起きだというのにツクネは元気一杯に飛び跳ねる。当然だ、と言わんばかりに倉野の右手にまとわりついた。

「ははっ、ありがとう、ツクネ。これで始められるよ、作戦四十二番を」
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