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一時的な同盟
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即座に倉野はヴェルフェールの背後を取る。
誰も動いていないのだから、容易いことだ。しかし、これで負けを認めてくれるのか、と心配になりヴェルフェールから剣を奪う。
「これなら大丈夫だろう」
そう呟いてから倉野は背後からヴェルフェールの首に剣を突き立て、スキル『神速』を解除した。
「は?」
エクレールの目には倉野が消え、何故かヴェルフェールの剣を持ち勝利を掴んだように見えただろう。ヴェルフェールに至っては何も見えておらず、倉野が消えただけ。
しかし、自分の首筋に突きつけられた冷たい刃の気配だけはしっかりと感じていた。
「まさか・・・・・・この一瞬で一体何が?」
自分の肩越しに倉野を見ながらヴェルフェールはつぶやく。負けるはずなどない、とたかを括っていた。だが、油断はない。全力で斬りかかりながらも、倉野を傷つけるわけにはいかない状況だった。だからこそミスがないよう神経を研ぎ澄ませていたのだ。
そんなヴェルフェールを煽るようにレオポルトが口を開く。
「力の隔たりが大きすぎると何が起きたのかわからんもんでしょう」
「ちょっと、レオポルトさん」
見ていられなくなり、倉野が言葉を遮った。
だが、ヴェルフェールは軽く笑い飛ばす。
「はっはっは、言ってくれますなレオポルト殿。ああ・・・・・・何も見えませんでした。何が起きたのかわかりませんでしたとも。殺す気はなかったにせよ、俺は全力でした。このレベルであればこの国最強のサウザンドといえど、一太刀浴びせられるかどうか・・・・・・どうです、国王様。これならば先ほどの話も納得できましょう」
「幹部クラスの相手を任せる、という話か。ふむ、軍を預かるお前が言うのだ、間違い無いだろう。だが、なるほどな。レオポルト、お前の言葉の意味は理解した。自らが先陣を切る、命を懸ける・・・・・・元々、このつもりで言っていたのだろう。獅子ではなく狸だったか」
呆れた表情で言うエクレール。それはどこか納得しているかのようにも見えた。
レオポルトは笑みを浮かべて言い返す。
「せめて狐と言ってもらいたいですな。誓いに嘘はないでしょう。この国の平和のために命を懸けますよ、間違いなく」
「・・・・・・決して口車に乗せられたわけでも、力に屈するわけでもないとだけ言っておこう。だが、現状最も勝率が高いのはお前たちの策というわけだ。いいだろう、全て承認する。細かな打ち合わせは軍議で行うとしよう」
長く続いた謁見だったが、ようやくここに倉野たちとバレンドットの一時的な同盟が成った。
向かう先はゼット商会との全面戦争。総力戦だ。
誰も動いていないのだから、容易いことだ。しかし、これで負けを認めてくれるのか、と心配になりヴェルフェールから剣を奪う。
「これなら大丈夫だろう」
そう呟いてから倉野は背後からヴェルフェールの首に剣を突き立て、スキル『神速』を解除した。
「は?」
エクレールの目には倉野が消え、何故かヴェルフェールの剣を持ち勝利を掴んだように見えただろう。ヴェルフェールに至っては何も見えておらず、倉野が消えただけ。
しかし、自分の首筋に突きつけられた冷たい刃の気配だけはしっかりと感じていた。
「まさか・・・・・・この一瞬で一体何が?」
自分の肩越しに倉野を見ながらヴェルフェールはつぶやく。負けるはずなどない、とたかを括っていた。だが、油断はない。全力で斬りかかりながらも、倉野を傷つけるわけにはいかない状況だった。だからこそミスがないよう神経を研ぎ澄ませていたのだ。
そんなヴェルフェールを煽るようにレオポルトが口を開く。
「力の隔たりが大きすぎると何が起きたのかわからんもんでしょう」
「ちょっと、レオポルトさん」
見ていられなくなり、倉野が言葉を遮った。
だが、ヴェルフェールは軽く笑い飛ばす。
「はっはっは、言ってくれますなレオポルト殿。ああ・・・・・・何も見えませんでした。何が起きたのかわかりませんでしたとも。殺す気はなかったにせよ、俺は全力でした。このレベルであればこの国最強のサウザンドといえど、一太刀浴びせられるかどうか・・・・・・どうです、国王様。これならば先ほどの話も納得できましょう」
「幹部クラスの相手を任せる、という話か。ふむ、軍を預かるお前が言うのだ、間違い無いだろう。だが、なるほどな。レオポルト、お前の言葉の意味は理解した。自らが先陣を切る、命を懸ける・・・・・・元々、このつもりで言っていたのだろう。獅子ではなく狸だったか」
呆れた表情で言うエクレール。それはどこか納得しているかのようにも見えた。
レオポルトは笑みを浮かべて言い返す。
「せめて狐と言ってもらいたいですな。誓いに嘘はないでしょう。この国の平和のために命を懸けますよ、間違いなく」
「・・・・・・決して口車に乗せられたわけでも、力に屈するわけでもないとだけ言っておこう。だが、現状最も勝率が高いのはお前たちの策というわけだ。いいだろう、全て承認する。細かな打ち合わせは軍議で行うとしよう」
長く続いた謁見だったが、ようやくここに倉野たちとバレンドットの一時的な同盟が成った。
向かう先はゼット商会との全面戦争。総力戦だ。
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