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逃避型籠城戦
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「お察しの通りです、エクレール王。そして『ドラゴンの逆鱗』を所持しているのはエクレール王もご存じの男」
「カシス・・・・・・いや、お前たちはデュワール・オレンジと呼んでいるんだったか」
レオポルトの言葉を聞いたエクレールは渋い表情を浮かべた。
国外の森に身を潜めるウィローに話した情報は届いているのだろう。
「既にエクレール王の耳まで届いておりましたか、その通りです。デュワールは『ドラゴンの逆鱗』の存在によってバレンドットを滅ぼす、と脅しノエルを連れ去りました。ノエルはこの国のために命懸けで敵の懐へと飛び込んだというわけです」
「ノエルが・・・・・・か。いや、今はそんな話をしている場合ではない。もしも『ドラゴンの逆鱗』が本当に存在するのであれば、どう戦おうとも王座は奪われることになる・・・・・・」
本来、エクレールはノエルやクリステラルドといった自分の血を受け継ぐ子を犠牲にしてでも、最小限の犠牲にとどめゼット商会を討とうとしていた。
いつでも城を捨て、逃げながらえる選択が出来る国王。それは自分の保身などではない。彼はこの国の平和を守ることだけを考えているのだ。
情けない王と侮蔑されてでも、国と民を守る。
エクレールが想定していた戦いを短く説明するならば『逃避型籠城戦』だろうか。短い言葉の中で矛盾しているが、バレンドットの中を逃げ回りながらゼット商会が疲弊するのを待つ戦い方である。
ゼット商会がどれだけ準備をしていても、武器や食糧は無限に存在しない。しかし、エクレールはこの国の王。逃げ回ればいくらでも補給することができるだろう。
それを繰り返し、ゼット商会が弱るまで待つつもりだった。
だが、相手が『ドラゴンの逆鱗』を持っているのなら、通用しない。
この国の全てを人質に取られたことを意味している。
エクレールが頭の中で、そのように整理しているとレオポルトは厳しい視線を向けた。
「ワシらは『そんな話』をしに来たのです。この国まで」
レオポルトが言うと、エクレールは苛立っているかのような声色で聞き返す。
「そんな話?」
「先ほど、エクレール王が話すまでもないと流した話です」
「ああ、ノエルのことか。もう一度言おう、そんな話をしている場合ではない。まずはお前たちの話が本当であるという証拠を見せろ。それが本当であれば至急に」
再びノエルの話を流そうとするエクレール。二度目ともなればレオポルトも冷静ではいられなかったらしく、声を荒げる。
「エクレール王!」
「カシス・・・・・・いや、お前たちはデュワール・オレンジと呼んでいるんだったか」
レオポルトの言葉を聞いたエクレールは渋い表情を浮かべた。
国外の森に身を潜めるウィローに話した情報は届いているのだろう。
「既にエクレール王の耳まで届いておりましたか、その通りです。デュワールは『ドラゴンの逆鱗』の存在によってバレンドットを滅ぼす、と脅しノエルを連れ去りました。ノエルはこの国のために命懸けで敵の懐へと飛び込んだというわけです」
「ノエルが・・・・・・か。いや、今はそんな話をしている場合ではない。もしも『ドラゴンの逆鱗』が本当に存在するのであれば、どう戦おうとも王座は奪われることになる・・・・・・」
本来、エクレールはノエルやクリステラルドといった自分の血を受け継ぐ子を犠牲にしてでも、最小限の犠牲にとどめゼット商会を討とうとしていた。
いつでも城を捨て、逃げながらえる選択が出来る国王。それは自分の保身などではない。彼はこの国の平和を守ることだけを考えているのだ。
情けない王と侮蔑されてでも、国と民を守る。
エクレールが想定していた戦いを短く説明するならば『逃避型籠城戦』だろうか。短い言葉の中で矛盾しているが、バレンドットの中を逃げ回りながらゼット商会が疲弊するのを待つ戦い方である。
ゼット商会がどれだけ準備をしていても、武器や食糧は無限に存在しない。しかし、エクレールはこの国の王。逃げ回ればいくらでも補給することができるだろう。
それを繰り返し、ゼット商会が弱るまで待つつもりだった。
だが、相手が『ドラゴンの逆鱗』を持っているのなら、通用しない。
この国の全てを人質に取られたことを意味している。
エクレールが頭の中で、そのように整理しているとレオポルトは厳しい視線を向けた。
「ワシらは『そんな話』をしに来たのです。この国まで」
レオポルトが言うと、エクレールは苛立っているかのような声色で聞き返す。
「そんな話?」
「先ほど、エクレール王が話すまでもないと流した話です」
「ああ、ノエルのことか。もう一度言おう、そんな話をしている場合ではない。まずはお前たちの話が本当であるという証拠を見せろ。それが本当であれば至急に」
再びノエルの話を流そうとするエクレール。二度目ともなればレオポルトも冷静ではいられなかったらしく、声を荒げる。
「エクレール王!」
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