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情報のルート

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 反国王派の象徴としてこれほどふさわしい者もいないだろう。王の血を継ぎ、国王を憎むゾルディ。
 さらにゾルディは国王エクレールだけではなく、バレンドット自体を恨んでいた。母の死はこの世界の理不尽のよるもの。バレンドットという国のせいで死んだのだ、と恨みを抱いている。
 エクレールもその前の国王を恨み、国を変えたのだが彼はこの国を愛していた。
 それがゾルディとエクレールの違いなのだろう。
 今、バレンドットにいる反国王派は国自体に不満を抱いていた。国自体を大きく変えたいと思っているゾルディは担ぎあげるのにちょうど良かったのだろう。
 国に不満を持つ者の徒党。それがゼット商会だった。

「なるほど。ゾルディとゼット商会の関係はわかった。君たちはどこでその話を知ったんだい? 国を出てから調べるのは大変だっただろう」

 レインが問いかけると、ウィローは首を横に振る。

「いや、逆だ。国を出てから、バレンドットの中に居ては見えないものが見えた。バレンドットの中・・・・・・いや、親衛隊という立場では接触できなかった者にも話を聞くことができてな」
「法や道徳に縛られず荒っぽい手段も選べたってわけかい?」

 レインが口を挟むとウィローは不敵に口角をあげた。
 倉野たちがこの森でウィローたちに襲われた時、彼らは迷わず命を狙ってきた。目的のためならば、何でもする、という状態にあるのだろう。
 それは、国を出たからこそ、追い詰められたからこそ出来たことだ。

「ああ、裏社会や闇の傭兵に詳しいブローカーをこの森で捕らえ、洗いざらい離してもらったよ。驚くほど簡単にな。それがゼット商会の爪の甘さだろう。手を広げるためにあらゆる者に声をかけていた。故に少し剣を突きつければ吐くような者も現れる」
「少し・・・・・ね」

 レインはそう呟いてから、背後のレオポルトに視線を送る。他に聞きたいことはあるか、という視線を受け取ったレオポルトは、もう相手に怯えはないだろう、と判断して口とを開いた。

「お前さんたちはどうやってバレンドット国内との連絡をとっている? 外で情報を集めようが、伝えられなければ意味はなかろう。バレンドット国内の情報もここにいては得られまい」
「ヴェルフェール元帥だ。元帥から部下が送られてくる。俺たちは集めた情報を伝え、バレンドットの情報をもらっているんだ」

 ウィローたちの情報の流れを確認したレオポルトは顔をしかめる。
 そんな彼の表情に気づいた倉野は首を傾げた。

「どうしたんですか、レオポルトさん。何か気になることでも?」
「ん? ああ、ちょっとな」

 言いながらレオポルトは通常の会話ではウィローたちに聞こえるだろうと、倉野に耳打ちする。

「情報が全て、そのヴェルフェールという元帥に集まっている。ウィローたちからすると絶対の信頼をおける相手なのだろうが、その危険性が頭をよぎってな」
「危険性、ですか?」
「ああ、全てを支配することができるだろう」
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