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反国王派の象徴

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 ヴェルフェールの言葉も国王の考えもすぐさま飲み込めたわけではない。
 しかし、どう抗っても起きてしまったことは消せないだろう。その指示を受け入れざるを得なかった。
 
 こうしてウィロー率いるバレンドット国王親衛隊は、国境近い森の中に潜んでいたのだった。
 ここにいれば、バレンドットに向かう怪しい人物を監視することができる。過酷な森での生活を送りながら、自らの正義に従いバレンドットに尽くしているのだ。
 こうしてウィローはこの森で倉野たちと出会った。
 ウィローの話を聞いたレインは一瞬黙っていたものの、すぐに自分の意見を口にする。

「国での立場を失ってまでも、騎士道に殉じる君たちは尊敬に値するよ。君たちがここにいる理由はわかった。だが、最初の話と繋がらないじゃないか。国王の息子を名乗るゾルディ・プルテックとは何者だったんだい?」

 レインに問いかけられると、ウィローは即座に返答した。

「ゾルディ・プルテックこそ、俺たち親衛隊が追っていたゼット紹介の協力者だ。奴は国王様への恨みを反乱という形で晴らそうとしている。元々、ゾルディは母親、セルティア・プルテックが倒れ働けなくなったことをきっかけに、非合法な仕事を始めていた。裏社会との関係が薄かったゼット商会からすれば、都合が良かったのだろう」
「確かにゾルディには反乱を起こす動機がある。しかし、ゼット商会には何の得があるんだい? 意味もなくゾルディに加担しているわけじゃないだろう」
「ああ、ゼット商会もまた違う角度から、国王様を恨んでいたのだ。バレンドットを安定させるために国王様が発令した職業法がある。ゼット商会の廃業にはその法が関わっていた。増えすぎた業者を管理する法だ。それによってゼット商会は仕事内容を全て管理されることとなり、窮屈に感じていたのだろう。もちろん国王様は救済措置を考えておられたのだが、目先の利益だけを追っていたゼット商会は自壊していった、と。そのためゼット商会はゾルディと手を組んだ」

 ウィローはそう説明した。
 国に対しての恨み、という共通点でゾルディとゼット商会が繋がっていることは納得できる。
 しかし、恨みだけでこれほど大きな事件を起こし反乱を企むことができるだろうか。あまりにもリスクが大きすぎる。

「・・・・・・ここまで奴らを突き動かしているものは何なんだい?」

 疑問を抱いたレインが問いかけると、ウィローは少し考えてからこう答えた。

「元々バレンドットには反国王派がいる。前国王の横暴による苦しみを忘れられぬ者がいるのだ。それを終わらせたのが国王様だと分かっていても、未だ苦しみから抜け出せずにいる。そういう者にとって、国王様の血を受け継ぎ、国王様を恨んでいるゾルディは反乱の象徴となり得るだろう」
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