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バレンドットと反乱
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「元バレンドット軍の国王親衛隊が何故、隣国の森で俺たちを襲うんだい?」
相手の言葉だけを淡々と受け止めながらレインは尋問を進めた。
するとウィローは過去の屈辱を思い出すかのように説明を始める。
「・・・・・・俺たちはこの森で暮らしている。そうしてバレンドットに向かおうとしている怪しい人間を尾行し、必要に応じて排除していた。陸路でバレンドットに入国するにはこの森を通らざるを得ない。もちろん、全ての人間を尾行するわけではないが武装をしていたり大人数だったり・・・・・・バレンドットに害なす可能性があれば尾行対象とする」
「それで俺たちを怪しいと思ったわけかな?」
「ああ、明らかに戦闘慣れしている獣人と武装した男女。護衛対象のような非戦闘員。重要人物の護衛任務だと推測できる。尾行する理由としては十分だ。その上、何故か森に戻ってきた・・・・・・他国の密偵か、戦争を引き起こす武器商人か。どちらにせよ排除すべきと判断した」
ここでウィローが説明したのは起承転結でいう『転結』の部分だ。怪しい人間を排除している理由やバレンドット軍ではないのにバレンドットの為に行動している事情は含まれてない。
その辺の話も追求したいという気持ちを抑えてレインは口を開く。話す順序にこちらの都合を押し付ければ必要な情報が抜け落ちる可能性があると経験で知っているのだ。
「先に説明しておくが俺たちにバレンドットへの敵意はないよ。今のところは・・・・・だけどね。むしろ、バレンドットに降りかかる危険を排除しようしていると言ってもいい」
レインの言葉を聞いたウィローは顔色を変える。
「バレンドットに降りかかる危険だと・・・・・・まさか、反乱のことを」
そこまで話してから慌てて口を閉じた。しまったという表情を浮かべ、斜め右下を眺める。彼にとって大きな失言だったようだ。
もちろんレインはそれを聞き逃さない。『反乱』という言葉に対して意味よりも一歩先に進んだ質問を投げかけた。
「なるほど、知っていたのか。それでは聞こう。君たちは『反乱』をよしとしているのかい?」
「そんなわけがあるか! 国のために人生の全てを懸けた国王を排除し、再び戦乱の世を作り出そうとしている反乱が正しい道理などない!」
レインの問いかけに対し、己の感情を剥き出しにするウィロー。
その感情が嘘かどうかくらい分かる。生殺与奪の権を握られた状態で吼えたそれはウィローの中にある譲れないものだった。
彼は心から反乱に対して嫌悪を抱いている。
「そうか・・・・・・それさえ分かればもう必要ない」
言いながらレインは剣を抜き振り上げた。ウィローに身構える隙など与えずに振り下ろされた剣は、吹き抜ける風のように目にも見えぬ速さで切り裂く。
相手の言葉だけを淡々と受け止めながらレインは尋問を進めた。
するとウィローは過去の屈辱を思い出すかのように説明を始める。
「・・・・・・俺たちはこの森で暮らしている。そうしてバレンドットに向かおうとしている怪しい人間を尾行し、必要に応じて排除していた。陸路でバレンドットに入国するにはこの森を通らざるを得ない。もちろん、全ての人間を尾行するわけではないが武装をしていたり大人数だったり・・・・・・バレンドットに害なす可能性があれば尾行対象とする」
「それで俺たちを怪しいと思ったわけかな?」
「ああ、明らかに戦闘慣れしている獣人と武装した男女。護衛対象のような非戦闘員。重要人物の護衛任務だと推測できる。尾行する理由としては十分だ。その上、何故か森に戻ってきた・・・・・・他国の密偵か、戦争を引き起こす武器商人か。どちらにせよ排除すべきと判断した」
ここでウィローが説明したのは起承転結でいう『転結』の部分だ。怪しい人間を排除している理由やバレンドット軍ではないのにバレンドットの為に行動している事情は含まれてない。
その辺の話も追求したいという気持ちを抑えてレインは口を開く。話す順序にこちらの都合を押し付ければ必要な情報が抜け落ちる可能性があると経験で知っているのだ。
「先に説明しておくが俺たちにバレンドットへの敵意はないよ。今のところは・・・・・だけどね。むしろ、バレンドットに降りかかる危険を排除しようしていると言ってもいい」
レインの言葉を聞いたウィローは顔色を変える。
「バレンドットに降りかかる危険だと・・・・・・まさか、反乱のことを」
そこまで話してから慌てて口を閉じた。しまったという表情を浮かべ、斜め右下を眺める。彼にとって大きな失言だったようだ。
もちろんレインはそれを聞き逃さない。『反乱』という言葉に対して意味よりも一歩先に進んだ質問を投げかけた。
「なるほど、知っていたのか。それでは聞こう。君たちは『反乱』をよしとしているのかい?」
「そんなわけがあるか! 国のために人生の全てを懸けた国王を排除し、再び戦乱の世を作り出そうとしている反乱が正しい道理などない!」
レインの問いかけに対し、己の感情を剥き出しにするウィロー。
その感情が嘘かどうかくらい分かる。生殺与奪の権を握られた状態で吼えたそれはウィローの中にある譲れないものだった。
彼は心から反乱に対して嫌悪を抱いている。
「そうか・・・・・・それさえ分かればもう必要ない」
言いながらレインは剣を抜き振り上げた。ウィローに身構える隙など与えずに振り下ろされた剣は、吹き抜ける風のように目にも見えぬ速さで切り裂く。
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