異世界で俺だけレベルが上がらない！ だけど努力したら最強になれるらしいです？

連載

優しくない優男の尋問

　レオポルトに問いかけられた倉野はスキル『探知』で確認しながら頷く。

「はい、僕たちを取り囲んでいた人間はこの十人で全部です。この人たちが何者なのかは本人たちから聞こうと思って調べていません」
「ふむ、その方がいいだろうな。ともかくこの喧しさを何とかしなければならん」

　倉野の言葉を聞いたレオポルトはそう言ってから縛られている男たちに近づいた。
　すると男たちは現状も理解できないまま無防備になり、その上で距離を詰められたことに恐怖を感じ怯え始める。

「な、なんだ」
「来るな、獣人」
「一体何が起きてるんだ」

　それぞれの疑問を口にする男たちの言葉など受け付けずレオポルトが睨みつけた。

「お前さんたちの殺意は相当なものだった。姿を見せず、必殺の一撃を放つ。戦場においてはこれ以上ないほどの計略だ。そのまま成功していればワシらは大切な仲間を失っていただろう。殺すつもりなどなかったという言い訳は最早通用せん。相手に対して殺意を持つということは殺される覚悟を決めているということだ。そうでないとは言わせんぞ。これからお前さんたちは何をされようが全ては勝敗が決めたこと。敗者としての役目を全うせよ」

　敢えて非情に力強く放った言葉は縛られている男たちの自我を削り取る。自分たちが敗者であるという事実。そして自分たちと目の前にいる敵との間には何が起きているのかすら理解できないほどの実力差が存在するという事実。何をしようと逃れられないだろうという恐怖が突きつけられた。
　ようやく静かになった男たちを前にしてレオポルトが倉野たちに問いかける。

「これでようやく尋問ができるな。さて、ここからはワシではなく他の者が前に出た方が良かろう。誰に代ろうか」

　今、男たちはレオポルトに対して圧倒的な恐怖を感じている状態だ。そんな相手に対して饒舌に話すことなどできないだろう。
　尋問役に適しているのは威圧感が少なく、男たちの話を理解できる程度の知識を持っている人間。
　適役なのは自分だろうと判断したのはレインだった。

「じゃあ、俺が代ろう。もちろん俺相手に話せないのであればいつでも後ろに控えた獅子が吠え始めるだろうね。それを理解した上で・・・・・・いや理解してなくても尋問は始まる。さっさと理解したほうが自分たちの為だとだけ忠告しておこうか」

　言いながらレインは自分の剣に手をかける。
　既に戦意を失った男たちは黙ってレインの言動を見守っていた。
　伝説のドラゴンに優男と呼ばれていたレインの優しくはない尋問が始まる。