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神速と神腕
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待ち侘びている時間はまるで永遠。いつまでも緊張感が続くかのように思われる。
しかし、どのような時もことが起きるのは突然だ。
倉野のスキル『探知』の画面に突如として赤い点が表示される。
一瞬、見間違いかと思ってしまった倉野だったが慌てて全員に声をかけた。
「き、来ました! ノエルさんです!」
やはり軍人と冒険者は流石と言うべきだろう。倉野の声を聞いたレオポルト、レイン、リオネは瞬時に立ち上がり木陰から前方を確認した。
するとそこにはバレンドットに繋がる橋へと向かうフォンガ車が見える。
「クラノ、あれか?」
フォンガ車を指差しながらレオポルトが確認した。倉野もスキル『探知』の画面と見比べながら再確認してから頷く。
「はい、あのフォンガ車の中にノエルさんが」
倉野の答えを聞くと次はレインが口を開いた。
「ってことはあの中にデュワール・オレンジもいるんだろうね」
その言葉からはどことなく憎しみのようなものが感じられる。
レオポルトはそんなレインの心情を察したのか単独で飛び出さないように彼の肩を叩いて言葉を続けた。
「レインよ、飛び出してもフォンガ車相手では追いつけん。大切なのは出会い頭に殴りつけることではない。最終的にデュワール・オレンジを後悔させることだ。ワシらの仲間に手を出したこと・・・・・・苦しめたことを圧倒的な戦力差をもって後悔させてやろうじゃないか」
そう言ってからレオポルトは倉野に視線を送る。
この中でフォンガ車の速度に追いつけるのは倉野だけ。もちろん、倉野もそれを分かっており、レオポルトからの指示を待っていた。
「レオポルトさん」
「ああ、中にはノエルがいるのだろう? ノエルならばお前さんの気配にも慣れている。近づけば何が起きているか理解するだろう。驚くのはデュワールだけだ。フォンガ車を傷つけない程度に止めてくれ」
「はい!」
レオポルトの指示を受けた倉野は動き続けるフォンガ車に視線を合わせ、思い切り酸素を吸い込む。
呼吸を整えた倉野は一気に動き出した。
「スキル『神速』発動!」
スキル『神速』を発動した倉野は神の如き速度を得る。そして相対的に周囲の時間が止まっているかのように感じるのだ。
漫画やアニメであるような『遅すぎて止まって見えるぜ』状態そのものである。
止まった時間の中で倉野はノエルたちが乗っているフォンガ車に駆け寄った。
そしてフォンガと車を繋ぐ木製の器具に狙いをつける。
「スキル『神腕』発動」
そう呟いた倉野は全力で振りかぶり、右手で木製の器具を打ち抜いた。
破壊音を伴い、木製の器具は木片へと変貌する。
しかし、どのような時もことが起きるのは突然だ。
倉野のスキル『探知』の画面に突如として赤い点が表示される。
一瞬、見間違いかと思ってしまった倉野だったが慌てて全員に声をかけた。
「き、来ました! ノエルさんです!」
やはり軍人と冒険者は流石と言うべきだろう。倉野の声を聞いたレオポルト、レイン、リオネは瞬時に立ち上がり木陰から前方を確認した。
するとそこにはバレンドットに繋がる橋へと向かうフォンガ車が見える。
「クラノ、あれか?」
フォンガ車を指差しながらレオポルトが確認した。倉野もスキル『探知』の画面と見比べながら再確認してから頷く。
「はい、あのフォンガ車の中にノエルさんが」
倉野の答えを聞くと次はレインが口を開いた。
「ってことはあの中にデュワール・オレンジもいるんだろうね」
その言葉からはどことなく憎しみのようなものが感じられる。
レオポルトはそんなレインの心情を察したのか単独で飛び出さないように彼の肩を叩いて言葉を続けた。
「レインよ、飛び出してもフォンガ車相手では追いつけん。大切なのは出会い頭に殴りつけることではない。最終的にデュワール・オレンジを後悔させることだ。ワシらの仲間に手を出したこと・・・・・・苦しめたことを圧倒的な戦力差をもって後悔させてやろうじゃないか」
そう言ってからレオポルトは倉野に視線を送る。
この中でフォンガ車の速度に追いつけるのは倉野だけ。もちろん、倉野もそれを分かっており、レオポルトからの指示を待っていた。
「レオポルトさん」
「ああ、中にはノエルがいるのだろう? ノエルならばお前さんの気配にも慣れている。近づけば何が起きているか理解するだろう。驚くのはデュワールだけだ。フォンガ車を傷つけない程度に止めてくれ」
「はい!」
レオポルトの指示を受けた倉野は動き続けるフォンガ車に視線を合わせ、思い切り酸素を吸い込む。
呼吸を整えた倉野は一気に動き出した。
「スキル『神速』発動!」
スキル『神速』を発動した倉野は神の如き速度を得る。そして相対的に周囲の時間が止まっているかのように感じるのだ。
漫画やアニメであるような『遅すぎて止まって見えるぜ』状態そのものである。
止まった時間の中で倉野はノエルたちが乗っているフォンガ車に駆け寄った。
そしてフォンガと車を繋ぐ木製の器具に狙いをつける。
「スキル『神腕』発動」
そう呟いた倉野は全力で振りかぶり、右手で木製の器具を打ち抜いた。
破壊音を伴い、木製の器具は木片へと変貌する。
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