異世界で俺だけレベルが上がらない！ だけど努力したら最強になれるらしいです？

連載

ジアージョの夜

「ではそれで予約してくれないか」
　
　レインは受付の女性に依頼し、ホロフジスタン行きの飛行船を予約。
　乗るべき飛行船を確認した倉野たちはそのまま女性に宿を紹介してもらい、ジアージョの街中へと移動する。
　どのみち明日の早朝までは動けないのだから少しでも体を休めようという計画だ。
　幸いグランダー伯爵から貰った資金や許可証があるため急遽宿を取るのも難しくはない。
　宿に到着するとレオポルトの部屋に集まり明日以降の行動を確認する。

「さて、これで行動自体は決まったな」

　レオポルトがそう話すと確認するようにレインが答えた。

「ああ、ノエルは現在飛行船でエクスルージュに向かっている。そこから陸路でバレンドットに・・・・・・おそらくデュワール・オレンジの事情だろうが、そのおかげで先回りすることができるかもしれない。俺たちはバレンドットと橋で繋がっているホロフジスタンに飛行船で向かい待ち伏せる」
「その通りだ。しかし、それが間に合うかどうかクラノに調べてもらいたいのだが」

　そう言いながらレオポルトが倉野に視線を送る。
　もちろん断るわけもなく倉野はスキル『説明』を発動した。対象は『明日早朝の飛行船でホロフジスタンに向かった場合、ノエル・マスタングに追いつけるかどうか』である。
　そしていつも通り表示された画面には『バレンドットとホロフジスタンを繋ぐ橋で待ち伏せれば可能』だと書かれていた。
　倉野の答えを聞いたレインは希望を持った表情を浮かべる。

「よかった・・・・・・バレンドットまでに追いつけるのか」

　レインの言葉を聞いたリオネは疑問を抱いて首を傾げた。

「バレンドットまでに・・・・・・あの、ノエルさんがバレンドットに入ったら何か不都合なことでもあるのでしょうか？」

　リオネの疑問を聞きレオポルトが口を開く。

「長らく離れているとはいえ、ノエルはバレンドット王家の血筋だ。国に入れば他国の人間では手出しできなくなるかもしれない。もちろん強行突破という手もあるが今後の関係を考えれば選びたくないだろう。つまりノエルがバレンドットに入る前に連れ戻すのが最善というわけだ」

　説明を聞き納得したリオネが頷くとその夜の話し合いは終わった。
　その後、各々が自分の部屋に戻り体を休める。倉野に至っては仮死状態から蘇ったばかりで疲労が残っていた。
　ベッドに入った倉野はそのまま一瞬で眠りに落ちる。