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連載
目的と手段
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ジアージョに到着するとフォンガ車は一番目立つ塔の下で停車し、倉野たちは慌てて飛行船の乗船受付を探す。。
どうやら塔の中で受付も行っているらしく、最初に見つけたリオネが塔を指差した。
「乗船受付は塔の中で行われている様です。もしかするとエクスルージュ行きもあるかもしれません」
「ああ、そうだな。とにかく話を聞いてみよう」
レオポルトが指揮を取り全員で塔へと向かう。
塔の入り口は木製の扉になっており、扉の上に説明書きの様なものが貼り付けてあった。リオネはそれを発見したのだろう。
扉を開けて中に入ると外から見るよりも大きい印象を受ける空間が広がっており、受付カウンターと飛行船を待つための椅子が並べてあった。
簡単に言えば中世ヨーロッパ風の小さな空港という感じである。用途に違いはないのだからそう見えて当然だ。
最も情報を欲しがっているレインが受付に駆け寄り、カウンターの向こうに座っていた女性に話しかける。
「すまない、話を聞きたいんだが」
レインが話しかけている途中に倉野たちも合流し、背後で話を聞いていた。
受付の女性は少し驚きながらも丁寧に対応する。
「あ、はい。えっと乗船のお手続きでしょうか?」
「いや、そうじゃないんだ。エクスルージュ行きの飛行船について聞きたい。少し前に離陸したエクスルージュ行きの飛行船があっただろう?」
「はい、ございましたが」
「その飛行船にノエル・マスタングという女性は乗っていなかったかい?」
レインが問いかけると受付の女性は少し困った表情でこう答えた。
「申し訳ありません。お客様の情報を他の方に話すわけにはいきませんのでお答えできません」
受付の女性からそう言われたレインは奥歯を噛み締めて再び問いかけようとする。そんな行動を察したレオポルトがレインの肩を掴んで制止した。
「待て、レイン。既にノエルが飛行船に乗っていることはわかっているだろう。落ち着くんだ。今、聞くべきことはエクスルージュ行きの飛行船があるかどうか・・・・・・いつ出発できるかという話だろう」
レオポルトに諭されたレインは少し冷静になり頷く。
「あ、ああ、そうだね。すまない・・・・・・すまなかったね。次のエクスルージュ行きがいつになるかを教えてくれるかい?」
改めて受付の女性に問いかけるレイン。すると女性は手元にあった資料をパラパラと捲って確認してから答えた。
「えっと、エクスルージュ行きでございますね。一番早いものですと十日後ですよ。ご予約なさいますか?」
「十日後・・・・・・」
答えを聞いたレインは明らかに肩を落とす。ノエルの出発から十日も遅れれば状況も大きく変わってしまうはずだ。十日後はあまりにも遅すぎる。
しかし、そんな時でもレオポルトは冷静に話を進めた。
「肩を落とすな、レイン。大切なのは手段ではなく目的だ。いついかなる時もそこを間違えてはならん。ワシらの目的はエクスルージュに向かうことではない。最速でバレンドットへ到着できれば良いのだろう。落ち着いて考えろ。いつものお前さんならわかるはずだぞ」
どうやら塔の中で受付も行っているらしく、最初に見つけたリオネが塔を指差した。
「乗船受付は塔の中で行われている様です。もしかするとエクスルージュ行きもあるかもしれません」
「ああ、そうだな。とにかく話を聞いてみよう」
レオポルトが指揮を取り全員で塔へと向かう。
塔の入り口は木製の扉になっており、扉の上に説明書きの様なものが貼り付けてあった。リオネはそれを発見したのだろう。
扉を開けて中に入ると外から見るよりも大きい印象を受ける空間が広がっており、受付カウンターと飛行船を待つための椅子が並べてあった。
簡単に言えば中世ヨーロッパ風の小さな空港という感じである。用途に違いはないのだからそう見えて当然だ。
最も情報を欲しがっているレインが受付に駆け寄り、カウンターの向こうに座っていた女性に話しかける。
「すまない、話を聞きたいんだが」
レインが話しかけている途中に倉野たちも合流し、背後で話を聞いていた。
受付の女性は少し驚きながらも丁寧に対応する。
「あ、はい。えっと乗船のお手続きでしょうか?」
「いや、そうじゃないんだ。エクスルージュ行きの飛行船について聞きたい。少し前に離陸したエクスルージュ行きの飛行船があっただろう?」
「はい、ございましたが」
「その飛行船にノエル・マスタングという女性は乗っていなかったかい?」
レインが問いかけると受付の女性は少し困った表情でこう答えた。
「申し訳ありません。お客様の情報を他の方に話すわけにはいきませんのでお答えできません」
受付の女性からそう言われたレインは奥歯を噛み締めて再び問いかけようとする。そんな行動を察したレオポルトがレインの肩を掴んで制止した。
「待て、レイン。既にノエルが飛行船に乗っていることはわかっているだろう。落ち着くんだ。今、聞くべきことはエクスルージュ行きの飛行船があるかどうか・・・・・・いつ出発できるかという話だろう」
レオポルトに諭されたレインは少し冷静になり頷く。
「あ、ああ、そうだね。すまない・・・・・・すまなかったね。次のエクスルージュ行きがいつになるかを教えてくれるかい?」
改めて受付の女性に問いかけるレイン。すると女性は手元にあった資料をパラパラと捲って確認してから答えた。
「えっと、エクスルージュ行きでございますね。一番早いものですと十日後ですよ。ご予約なさいますか?」
「十日後・・・・・・」
答えを聞いたレインは明らかに肩を落とす。ノエルの出発から十日も遅れれば状況も大きく変わってしまうはずだ。十日後はあまりにも遅すぎる。
しかし、そんな時でもレオポルトは冷静に話を進めた。
「肩を落とすな、レイン。大切なのは手段ではなく目的だ。いついかなる時もそこを間違えてはならん。ワシらの目的はエクスルージュに向かうことではない。最速でバレンドットへ到着できれば良いのだろう。落ち着いて考えろ。いつものお前さんならわかるはずだぞ」
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