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後悔先に立たず

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 言いにくそうにするレオポルト。彼はノエルがジアージョに止まっている理由を考え、その後の動きを想定してしまったのだ。
 同じようにレインもその先を読み言葉にする。

「ああ、伯爵の説明から考えるのであればノエルの目的は飛行船だろうね。どこに向かうのか・・・・・・いや、ある程度の想像はつくが。そうだクラノ、ノエルがどこに向かおうとしているかは分からないかい?」

 レインに問いかけられた倉野は黙って頷き、再びスキル『説明』を発動させた。対象は『ノエルの目的地』である。
 いつも通り画面が表示され、ノエルの行き先を示した。

「ノエルさんの行き先はエクスルージュという国です。そこから陸路でバレンドットへ向かう・・・・・・目的地を指示しているのはデュワール・オレンジ。どうやら同行しているみたいです。二人でバレンドットへ・・・・・・」

 倉野が読み上げるとレオポルトはため息をつく。

「はぁ、二人揃って故郷バレンドットへ戻るつもりか。そこから考えうるのは最悪のシナリオばかりだな」

 レオポルトの言葉を聞いたリオネは意味がわからず首を傾げた。

「最悪のシナリオ・・・・・・ですか?」
「ああ、デュワール・オレンジは各国の情勢について詳しい上にそれを利用してエスエ帝国に対して助言をしていた。おそらくエスエ帝国の内情についてはかなり深いところまで知っているだろう。世界有数の大国エスエ帝国だ・・・・・・その情報を持って故郷に帰る理由など想像に難くない」

 そうレオポルトが説明するとリオネは一つの答えに到達する。

「まさか、密偵?」
「そうだろうな。情報を持って帰るタイミングを測っていたのだろう。たまたまクラノがいることを知ったデュワールはお前さんの始末を決行するタイミングで帰国を決めた。ノエルを残したままではすぐに犯人が分かり、ノエルがいなくなれば知人だと知られているデュワールに疑いの目が向く。クラノの始末と帰国を同時に決行するのは理に適っていると言えるだろうな」

 進み続けるフォンガ車の中でレオポルトはデュワールの計画を暴いた。彼の想像通り、デュワールはバレンドットの密偵である。しかし、それはバレンドット王の指示ではない。
 何故、この瞬間にデュワールの背景や計画の全貌を調べなかったのか。まだ意識を取り戻したばかりの倉野はただレオポルトの話を聞いていたが、今スキル『説明』を発動しなかったことをノエルたちに追いついてから後悔することになる。
 そんなことは分かるわけもなく倉野たちを乗せたフォンガ車はジアージョに向けて進んだ。いつだって後悔は先に立たず、時間を巻き戻すことはできない。
 話が終わると倉野の顔に疲労が見えたのでしばらく各々休むこととなった。
 それぞれが感情を抱えたまま進むとリオネが窓から何かを見つけて全員に話しかける。

「あ、飛行船です。地面からすぐ近くを飛んでいるみたいですね」
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