543 / 729
連載
後悔先に立たず
しおりを挟む
言いにくそうにするレオポルト。彼はノエルがジアージョに止まっている理由を考え、その後の動きを想定してしまったのだ。
同じようにレインもその先を読み言葉にする。
「ああ、伯爵の説明から考えるのであればノエルの目的は飛行船だろうね。どこに向かうのか・・・・・・いや、ある程度の想像はつくが。そうだクラノ、ノエルがどこに向かおうとしているかは分からないかい?」
レインに問いかけられた倉野は黙って頷き、再びスキル『説明』を発動させた。対象は『ノエルの目的地』である。
いつも通り画面が表示され、ノエルの行き先を示した。
「ノエルさんの行き先はエクスルージュという国です。そこから陸路でバレンドットへ向かう・・・・・・目的地を指示しているのはデュワール・オレンジ。どうやら同行しているみたいです。二人でバレンドットへ・・・・・・」
倉野が読み上げるとレオポルトはため息をつく。
「はぁ、二人揃って故郷バレンドットへ戻るつもりか。そこから考えうるのは最悪のシナリオばかりだな」
レオポルトの言葉を聞いたリオネは意味がわからず首を傾げた。
「最悪のシナリオ・・・・・・ですか?」
「ああ、デュワール・オレンジは各国の情勢について詳しい上にそれを利用してエスエ帝国に対して助言をしていた。おそらくエスエ帝国の内情についてはかなり深いところまで知っているだろう。世界有数の大国エスエ帝国だ・・・・・・その情報を持って故郷に帰る理由など想像に難くない」
そうレオポルトが説明するとリオネは一つの答えに到達する。
「まさか、密偵?」
「そうだろうな。情報を持って帰るタイミングを測っていたのだろう。たまたまクラノがいることを知ったデュワールはお前さんの始末を決行するタイミングで帰国を決めた。ノエルを残したままではすぐに犯人が分かり、ノエルがいなくなれば知人だと知られているデュワールに疑いの目が向く。クラノの始末と帰国を同時に決行するのは理に適っていると言えるだろうな」
進み続けるフォンガ車の中でレオポルトはデュワールの計画を暴いた。彼の想像通り、デュワールはバレンドットの密偵である。しかし、それはバレンドット王の指示ではない。
何故、この瞬間にデュワールの背景や計画の全貌を調べなかったのか。まだ意識を取り戻したばかりの倉野はただレオポルトの話を聞いていたが、今スキル『説明』を発動しなかったことをノエルたちに追いついてから後悔することになる。
そんなことは分かるわけもなく倉野たちを乗せたフォンガ車はジアージョに向けて進んだ。いつだって後悔は先に立たず、時間を巻き戻すことはできない。
話が終わると倉野の顔に疲労が見えたのでしばらく各々休むこととなった。
それぞれが感情を抱えたまま進むとリオネが窓から何かを見つけて全員に話しかける。
「あ、飛行船です。地面からすぐ近くを飛んでいるみたいですね」
同じようにレインもその先を読み言葉にする。
「ああ、伯爵の説明から考えるのであればノエルの目的は飛行船だろうね。どこに向かうのか・・・・・・いや、ある程度の想像はつくが。そうだクラノ、ノエルがどこに向かおうとしているかは分からないかい?」
レインに問いかけられた倉野は黙って頷き、再びスキル『説明』を発動させた。対象は『ノエルの目的地』である。
いつも通り画面が表示され、ノエルの行き先を示した。
「ノエルさんの行き先はエクスルージュという国です。そこから陸路でバレンドットへ向かう・・・・・・目的地を指示しているのはデュワール・オレンジ。どうやら同行しているみたいです。二人でバレンドットへ・・・・・・」
倉野が読み上げるとレオポルトはため息をつく。
「はぁ、二人揃って故郷バレンドットへ戻るつもりか。そこから考えうるのは最悪のシナリオばかりだな」
レオポルトの言葉を聞いたリオネは意味がわからず首を傾げた。
「最悪のシナリオ・・・・・・ですか?」
「ああ、デュワール・オレンジは各国の情勢について詳しい上にそれを利用してエスエ帝国に対して助言をしていた。おそらくエスエ帝国の内情についてはかなり深いところまで知っているだろう。世界有数の大国エスエ帝国だ・・・・・・その情報を持って故郷に帰る理由など想像に難くない」
そうレオポルトが説明するとリオネは一つの答えに到達する。
「まさか、密偵?」
「そうだろうな。情報を持って帰るタイミングを測っていたのだろう。たまたまクラノがいることを知ったデュワールはお前さんの始末を決行するタイミングで帰国を決めた。ノエルを残したままではすぐに犯人が分かり、ノエルがいなくなれば知人だと知られているデュワールに疑いの目が向く。クラノの始末と帰国を同時に決行するのは理に適っていると言えるだろうな」
進み続けるフォンガ車の中でレオポルトはデュワールの計画を暴いた。彼の想像通り、デュワールはバレンドットの密偵である。しかし、それはバレンドット王の指示ではない。
何故、この瞬間にデュワールの背景や計画の全貌を調べなかったのか。まだ意識を取り戻したばかりの倉野はただレオポルトの話を聞いていたが、今スキル『説明』を発動しなかったことをノエルたちに追いついてから後悔することになる。
そんなことは分かるわけもなく倉野たちを乗せたフォンガ車はジアージョに向けて進んだ。いつだって後悔は先に立たず、時間を巻き戻すことはできない。
話が終わると倉野の顔に疲労が見えたのでしばらく各々休むこととなった。
それぞれが感情を抱えたまま進むとリオネが窓から何かを見つけて全員に話しかける。
「あ、飛行船です。地面からすぐ近くを飛んでいるみたいですね」
0
お気に入りに追加
2,845
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。