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思いを乗せてジアージョへ

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 シラムを待っている間に各々は自分の旅支度をして屋敷の外に向かった。
 倉野もレオポルトに肩を借り、ツクネ入りの鞄を持って外に出ると既にシラムが大型のフォンガ車を用意して待っている。
 少しでも早く追いかけなければ、と考え慌てて乗り込む倉野、レオポルト、レイン、リオネ。四人なのにも関わらず大型のフォンガ車を用意しているのは、帰ってくる時ノエルを乗せ五人になっていることを考えてのことだった。
 四人が乗り終えるとグランダー伯爵が声をかける。

「道中使うこともあるかもしれません。どうかこれをお持ちください」

 そう言って伯爵はレオポルトに大きめの布袋を手渡した。
 ジャラジャラと音を立てる重そうな布袋。明らかに硬貨の音である。
 この場で待つしかできない伯爵の心遣いだった。
 レオポルトが頭を下げ感謝を伝えるとさらに伯爵は一枚の羊皮紙を差し出す。
 倉野には読めない文字で何かが書かれており、文字の下には装飾された十字架のようなマークが入っていた。
 受け取ったレオポルトは文字を読み、再び感謝する。

「これは通行証・・・・・・いや、グランダー伯爵家の許可証ですか。ありがとうございます」
「ええ、それがあれば貴族街を速やかに抜けることができますし、あらゆる街に審査なしで入ることができます。また、どのような場面においても伯爵位を持っているのと同じように扱われますから、他者の協力を得ることも可能でしょう」

 伯爵はそう言ってから強い眼差しでレオポルトに全てを託した。
 託されたレオポルトは早々に会話を切り上げる。

「それでは行ってきます」
「どうか、よろしくお願いします」

 レオポルトの言葉に答える伯爵と祈るように見守るレイチェル。少し離れてシラムはフォンガに指示を出していた。
 目的地はノエルのいるジアージョ。倉野たちを乗せたフォンガ車は走り出す。
 仲間を救うという思いを乗せたフォンガ車は貴族街から庶民街へ。そして帝都からも出て南へと向かう。
 その車内でレオポルトが倉野に再び確認した。

「クラノ、今もノエルはジアージョにいるのか? もしかしたら移動をしているかもしれん。もう一度調べてくれないか」
「はい、僕もそう思っていました。確認しますね。スキル『説明』発動、対象はノエルさんの現在地」

 倉野がスキルを発動すると説明画面が表示され、先ほどと全く同じような言葉が映し出される。
 ノエルの居場所はジアージョから変わっていないようだ。

「まだジアージョにいるみたいです」

 倉野の言葉を聞いたレオポルトは少し考えてから口を開く。

「そうか・・・・・・居場所が変わっていない分、追いかけやすくはあるがジアージョに留まっているというのは・・・・・・」
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