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伯爵家への侵入者
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その言葉が何を意味しているのかはすぐにわかった。
倉野たちがアンゼロスに行っている間、伯爵チームとレオポルトチームに分かれ行動していたように、今回もノエルを追いかける組と皇帝陛下からの返事を待つ組に別れ同時進行で対応するという話である。
即座に理解したレインが率先して手を上げた。
「俺はノエルを追いかけたい。どうしてもこの目で、この耳で確かめなければならないと思うんだ」
レインの言葉を聞いたレオポルトは強く頷く。
「ああ、そうするべきだ。ノエルと話さなけえればならないのはお前さんだろう。もちろん、ここにいる全ての者がノエルの言葉を聞きたいと思っている。しかし、お前さんが一番強い気持ちを持っているはずだ」
「ありがとう、レオポルトさん」
レオポルトに言われ、感謝を述べるレイン。
二人の会話を聞いていたグランダー伯爵は少し悩んでから口を開いた。
「確かにレイン殿は行くべきでしょう。能力的にクラノ殿も同行してもらわなければならない。反対に皇帝陛下への謁見は私と代表者がいれば問題ないはずです。ですので、ノエル殿を追いかけたいと思っている方は追いかけてください。一人だけ残っていただければ構いません」
伯爵はそう言いながら全員の顔を見渡す。
おそらく全員がノエルを追いかけたいという気持ちを持っているはずだ。しかし、『ピース・リンク』のためには誰かが残らなければならない。
それは伯爵でもレイチェルでもない者、エスエ帝国に所属していない者が残る必要がある。
互いに相手の気持ちを読み取るように顔を見合わせた。
少しの沈黙の後、レオポルトが口を開く。
「・・・・・・わかった、ワシが残ろう。『ピース・リンク』への理解が深いのはワシだろうからな。ノエルのことは他の者に託そう」
彼もノエルの話を直接聞きたいはずだ。しかし、他の者の気持ちを尊重して彼はそう名乗り出た。
それによって今後の組み分けが決まったか、と思った瞬間。
突然廊下から声が聞こえてくる。
「困ります。お待ちください!」
どうやらグランダー伯爵邸に務める従者の声らしい。自分の部下の声だと察したシラムが部屋の扉を開け、注意しようとした。
「どうしたのです。現在取り込んでおりますから、少し静かに」
そこまで口にしたところでシラムは驚き言葉を失う。
部屋の中からは驚愕し困惑するシラムの表情だけが見えており、何があったのだろうと全員の注意がそちらに逸れた。
すると、何者かがシラムの肩をポンと叩いてから部屋に入ってくる。
「ウィッスウィッス。どうしたんすか皆さん。しけた顔して」
驚くほど砕けた軽い口調とそれにそぐわない豪華で重厚感のある服装。そして堂々と伯爵家に入って来れるだけの権力。
そう、現れたのはアミュレット・ヴィエ・エスエール。エスエ帝国皇帝その人であった。
倉野たちがアンゼロスに行っている間、伯爵チームとレオポルトチームに分かれ行動していたように、今回もノエルを追いかける組と皇帝陛下からの返事を待つ組に別れ同時進行で対応するという話である。
即座に理解したレインが率先して手を上げた。
「俺はノエルを追いかけたい。どうしてもこの目で、この耳で確かめなければならないと思うんだ」
レインの言葉を聞いたレオポルトは強く頷く。
「ああ、そうするべきだ。ノエルと話さなけえればならないのはお前さんだろう。もちろん、ここにいる全ての者がノエルの言葉を聞きたいと思っている。しかし、お前さんが一番強い気持ちを持っているはずだ」
「ありがとう、レオポルトさん」
レオポルトに言われ、感謝を述べるレイン。
二人の会話を聞いていたグランダー伯爵は少し悩んでから口を開いた。
「確かにレイン殿は行くべきでしょう。能力的にクラノ殿も同行してもらわなければならない。反対に皇帝陛下への謁見は私と代表者がいれば問題ないはずです。ですので、ノエル殿を追いかけたいと思っている方は追いかけてください。一人だけ残っていただければ構いません」
伯爵はそう言いながら全員の顔を見渡す。
おそらく全員がノエルを追いかけたいという気持ちを持っているはずだ。しかし、『ピース・リンク』のためには誰かが残らなければならない。
それは伯爵でもレイチェルでもない者、エスエ帝国に所属していない者が残る必要がある。
互いに相手の気持ちを読み取るように顔を見合わせた。
少しの沈黙の後、レオポルトが口を開く。
「・・・・・・わかった、ワシが残ろう。『ピース・リンク』への理解が深いのはワシだろうからな。ノエルのことは他の者に託そう」
彼もノエルの話を直接聞きたいはずだ。しかし、他の者の気持ちを尊重して彼はそう名乗り出た。
それによって今後の組み分けが決まったか、と思った瞬間。
突然廊下から声が聞こえてくる。
「困ります。お待ちください!」
どうやらグランダー伯爵邸に務める従者の声らしい。自分の部下の声だと察したシラムが部屋の扉を開け、注意しようとした。
「どうしたのです。現在取り込んでおりますから、少し静かに」
そこまで口にしたところでシラムは驚き言葉を失う。
部屋の中からは驚愕し困惑するシラムの表情だけが見えており、何があったのだろうと全員の注意がそちらに逸れた。
すると、何者かがシラムの肩をポンと叩いてから部屋に入ってくる。
「ウィッスウィッス。どうしたんすか皆さん。しけた顔して」
驚くほど砕けた軽い口調とそれにそぐわない豪華で重厚感のある服装。そして堂々と伯爵家に入って来れるだけの権力。
そう、現れたのはアミュレット・ヴィエ・エスエール。エスエ帝国皇帝その人であった。
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