異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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レインの証言

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 最初にレオポルトが向かったのはレインの部屋である。
 倉野への感情は強いもののレイチェルやノエルよりも冷静に見れる男。
 昨夜の状況やそれぞれの関係性を聞くには最適だろう。
 自分の知らない情報を得ようとレオポルトはレインを訪ねた。
 ちょうどノエルと別れて自室に戻ろうとしていたらしく、部屋に入ろうとしているレインを見つける。彼の悲しげな表情が倉野が表すのは関係性。
 レオポルトは片手でツクネを抱きながらレインを呼びかけた。

「レイン」
「ん? どうしたんだい、レオポルトさん」

 扉を開けようとしながらレインが聞き返すとレオポルトは真面目な表情でこう続ける。

「少し話したいことがある。こんな時に申し訳ないがこんな時だからこそ話さなければならないことだ」

 その声色からレオポルトが本気であると判断したレインは黙って頷いてから、扉を開けて部屋へと招き入れた。
 レオポルトの醸し出している雰囲気から只事ではないと感じ、レインは椅子を二つ用意し座る。
 同じように椅子に座ったレオポルトはツクネを膝に置いて話し始めた。

「レイン。お前さんは昨夜何をしていた?」

 切り出された話が唐突すぎたため一瞬戸惑うレインだが、これまでに培った推測力で質問の意味を導き出す。

「昨夜・・・・・・まさかレオポルトさんはクラノの死について調べているのかい?」
「・・・・・・ああ、そうだ。お前さんに隠し事は出来なさそうだな。クラノの死についてどうしても気になる点がある。奴の死を受け入れるためにはどうしても調べなければならん。こいつのためにもな」

 そう言いながらレオポルトはツクネを撫でた。
 ツクネは満足そうにレオポルトの手に頭を擦り付けると体を丸め、そのまま話を聞いている。
 レオポルトの言葉を聞いたレインはもう一度考えてからその真意を探った。

「死を受け入れるために調べること・・・・・・確かにクラノの死は突然すぎた。気になることがあって当然。しかし、そこから俺に昨夜の行動に繋がる・・・・・・まさか、レオポルトさんはクラノの死を他殺だと考えているのかい?」
「そこまで読むとは、オランディも優秀な騎士を育てているな。ああ、そうだ」
「いや、クラノの遺体を確認したが目立った外傷などなかったはずだよ。他殺だと判断するには情報が足りないんじゃないかい? それを調べるために調査を・・・・・・だが、昨夜の行動を確認する意味が・・・・・・」

 レインはそこまで言ってからレオポルトの真意に辿り着き、言葉を続ける。

「まさか、俺たちの中にクラノを殺した者がいると思っているのか? そんな馬鹿なことがあるわけ」

 再び言葉を止めるレイン。その目に映ったレオポルトの表情は真剣そのものだった。
 その様子から話が冗談や嘘ではないと理解したレインは一瞬黙ってから再び口を開く。

「・・・・・・昨夜は祝宴の後そのまま眠ったよ。アンゼロスから帰ってきたばかりで疲れていたしね」
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