異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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一変する状況

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 シラムや従者たち、グランダー伯爵の後は次々と起き出し、朝食のために大広間へと集まる。
 大広間に最初に現れたのはレインだった。
 オランディ国軍の騎士である彼は早く起きることが体に染み付いている。
 いつも座っている椅子に座り黙って待っているとレオポルトが大広間にやってきた。

「おお、早いなレイン」

 昨夜の酒が残っているのかレオポルトはまだ眠そうである。
 そんなレオポルトの様子を見たレインは小さく笑みを浮かべて答えた。

「この時間に起きるのは癖みたいなものさ。軍所属の職業病ってやつかな」
「そうかもしれんな。どれだけ深酒をしても朝は目覚めてしまう、軍を離れて行動していても習慣は抜けん」

 そう言いながらレオポルトもいつもの椅子に座る。
 彼もまたレインと同じようにビスタ国の軍に所属していた。早起きは数多ある軍人あるあるの一つなのかもしれない。
 早朝の穏やかでゆったりした時間を楽しんでいるとシラムが入ってきて挨拶をする。

「おはようございます。レオポルト様、レイン様」

 二人からの返事を聞くとシラムは用意していた茶を淹れてから大広間を出た。
 シラムと入れ違いでやってきたのはレイチェルとノエルである。
 どうやら廊下で会い、一緒にやってきたらしい。
 伯爵令嬢であるレイチェルとバレンドット王女であるノエル。性格や歩んできた人生は違えど、どこかで気が合うらしく二人の会話はいつも楽しそうだ。

「でね、それが巨大な魔物の排泄物だったわけなの」
「ふふっ、もうノエル様ったら」
「危うく全滅するかと思ったわよ」

 二人の会話を聞いていたレオポルトは顔を引き攣らせて話しかける。

「いや、何の話をしているんだ。こんな朝に聞こえてくるわけない話のような気がしたぞ」

 レオポルトに話しかけられたノエルは少し考えてから頷く。

「え、ああ。そうね、朝から魔物討伐の話なんて少し血生臭いわよね」
「ああ、違うぞ。その後の単語が問題だったんだが・・・・・・」
「確かに全滅って言葉も血生臭いわね」

 納得したように頷きながらいつもの椅子に座るノエル。
 しかしレオポルトは首を横に振った。

「違うな」

 二人のやり取りを聞いていたレイチェルも自分の席に座りながら微笑む。

「ふふっ、皆様がいると毎日お祭りのようです。なんて楽しい朝なんでしょう」
「レイチェル嬢が段々俺たちに染まってきているようだね。良いのか悪いのかわからないな」

 呆れたように呟くレイン。
 現在抱えている大きな問題はなく仲間にも恵まれている。誰もが幸せな朝だと感じていた。
 しかし、その幸せは長く続かない。
 不安な表情を浮かべて大広間に入ってきたリオネの言葉から状況は一変した。

「あの・・・・・・すみません」

 挨拶よりも先にリオネはそう全員に語りかける。
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