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いついかなる時も

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 レオポルトの真意を知った倉野は自分の行動を顧みる。
 確かに無責任な行動であり、流されていたかもしれない。
 それに気づいた倉野は少し俯いて言葉を返した。

「・・・・・・そうですね。レオポルトさんの言う通りです」
「勘違いするなよ。ワシはお前さんを責めているわけではない。ただ、考えを促したかっただけだ。こんなことを言っているワシは過去に何度も過ちを犯してきた、だからこそお前さんには間違えてほしくない」

 倉野があまりにも深く反省しているようだったのでレオポルトは優しくそう付け足す。
 レオポルトの言葉を聞いた倉野は気遣われていることを察して微笑んだ。

「ありがとうございます。ちゃんと決断してから行動しようと思います」
「ああ、お前さんが決断の上で行動するのならば野暮なことは言わんさ」

 そう言ってレオポルトは倉野の方を叩く。
 レオポルトにとっては軽く叩いたつもりが、倉野にとってはよろめき倒れそうになるほどの衝撃だ。

「うわっと」

 よろめく倉野を支えながらレオポルトは笑いそうになる。

「おいおい、軽くしか叩いておらんぞ」
「疲れてるんですよ」
「はっはっは、いつ襲われるか分からんからな。いついかなる時も気合を入れておかんといかんぞ」
「身内に襲われるとは思いませんよ、まったく」

 口を尖らせて文句を言う倉野だったが、レオポルトの優しさを感じ表情が緩んでしまった。
 そのまま倉野とレオポルトが屋敷の中に入るとグランダー伯爵とノエルが並んで立っているのが見える。その背後に先に入って行ったリオネ、レイン、レイチェル、シラムも立っていた。

「ご苦労様でしたね。さぁ、食事にしましょうか」
「遅かったわね。大変だったんでしょう?」

 本当の家族のように出迎えてくれる全員に感謝しながら倉野は再び微笑む。

「ただいま戻りました。ご心配おかけしてすみません」

 迎え入れられた倉野はぽっかりと心に空いた穴の中を暖かなものが埋めていくように感じた。
 自分は独りじゃないと再確認できた瞬間である。
 そのまま全員は再開を喜びながら大広間に向かった。
 いつも通り大きな机を囲んで座るとシラムだけが部屋から出ていく。

「食事の準備をして参ります。しばしお待ちください」

 そう言い残しシラムが去るとグランダー伯爵が口を開いた。

「さて、おおよその話はアンゼロスから報告が届いています。そのおかげで皆さんの状況は知っていましたよ。大変でしたね」

 倉野たちを労うように言う伯爵。
 確かに大変だったな、と倉野やレイン、リオネは苦笑いを浮かべる。
 その表情から苦労を察した伯爵はさらに言葉を続けた。

「もちろん皇帝陛下もアンゼロスで起きた悲劇に大変心を痛めておられます。復興の資金提供、人材派遣も決定していますよ。グランダー家も可能な限り協力しましょう」

 伯爵は自分がアンゼロスについての話をすることで倉野たちから説明する手間を省いてやる。疲れているだろうと慮っての発言だった。
 気遣いに気づいた倉野は礼を言う。

「ありがとうございます。それならアンゼロスの方々も少しは安心してくれるはずです。ですが・・・・・・」

 何か言いづらそうにする倉野。
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