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オネット、アルダリンと別れを済ませ預けていたフォンガ車に乗った倉野たち三人は帝都に向け走り出す。
アンゼロスでの出来事は誰にとっても簡単に忘れられるものではない。特に倉野にとって大きな別れと痛みを伴っている。
しかし、ここで俯き立ち止まることなど許されなかった。イスベルグとの誓いが倉野を奮い立たせる。
フォンガ車で進み始めてすぐ、レインが倉野たちに話しかけた。
「クラノ、リオネ。現状の確認をしよう。アンゼロスの状況を考えればオネットさんたちの前で俺たちだけの状況報告に時間を割くわけには行かなかったからね。クラノは三日間眠っていたし、その間、俺とリオネも基本別行動だった。ここで認識を統一しておいた方がレオポルトさんやグランダー伯爵への報告がスムーズになると思わないかい?」
倉野もリオネもレインの意見に賛同し頷く。
「そうですね、僕も眠っていた間の状況を知りたいです」
「私もです」
二人の答えを聞いたレインは優しく微笑み話を続けた。
「まずは俺から報告しよう。俺は瓦礫の撤去作業に参加しつつ、帝都への報告業務にも同席していた」
「帝都への報告ですか?」
倉野が聞き返すとレインは相槌程度に頷き、言葉を続ける。
「ああ、当然だがアンゼロスにも衛兵はいる。そのうちの一人が厄災の復活とその後を報告するために帝都へ向かったのさ。伝令役の衛兵は倉野が眠り始めた直後にはアンゼロスを出たはずだよ。俺は帝都にいる伯爵と懇意だと名乗り出ることでどのような情報が帝都に伝わるかを確認していたのさ。その上で俺たちが巻き込まれていることをグランダー伯爵に伝えるように依頼しておいたよ」
なるほど、と倉野は頷いた。
グランダー伯爵やレオポルトたちは倉野たちが何をしているのか詳細は知らない。伝えておくことで三日以上も帰ってこないという不安を和らげることができるだろう。
オランディ国軍に所属しているレインにとって報告という作業は体に刻み込まれているのかもしれない。
彼のおかげで無用な心配をかけずに済んだと倉野は少し心が軽くなる。
レインの報告が終わり、続いてリオネが口を開いた。
「私は基本的にアルダリンさんに同行して復興の資金集めを手伝っていました。必要な情報ではないと思うのですが、厄災の亡骸を驚くような高値で即購入したいという話があったことは聞いています。少し怪しい話だったのでアルダリンさんが少し時間をかけて精査すると仰ってました」
「怪しい話ってどういうことだい?」
レインが問いかけるとリオネは少し首を傾けて言葉を続ける。
「どうやら素材ではなく、亡骸を丸ごと譲ってほしいという話だったそうです。それも国家予算と匹敵するような値段だったそうですよ」
「国家予算!? アンゼロス復興にとってはありがたい話だが丸ごととなるとアルダリンさんが怪しむのも無理はないな」
そう言ってレインは頷いた。
確かに買取金額が大きければ大きいほどどうしてもデザストルの亡骸が必要だという意思が見え、その裏に何かあるのではないかと勘繰ってしまう。
倉野も納得し頷いていると思い出したかのようにレインが口を開いた。
「あ、そうだ。そういえば、クラノは亡骸の一部だとわかるものを欲していただろう? オネットさんに伝えておいたが受け取れたかい?」
アンゼロスでの出来事は誰にとっても簡単に忘れられるものではない。特に倉野にとって大きな別れと痛みを伴っている。
しかし、ここで俯き立ち止まることなど許されなかった。イスベルグとの誓いが倉野を奮い立たせる。
フォンガ車で進み始めてすぐ、レインが倉野たちに話しかけた。
「クラノ、リオネ。現状の確認をしよう。アンゼロスの状況を考えればオネットさんたちの前で俺たちだけの状況報告に時間を割くわけには行かなかったからね。クラノは三日間眠っていたし、その間、俺とリオネも基本別行動だった。ここで認識を統一しておいた方がレオポルトさんやグランダー伯爵への報告がスムーズになると思わないかい?」
倉野もリオネもレインの意見に賛同し頷く。
「そうですね、僕も眠っていた間の状況を知りたいです」
「私もです」
二人の答えを聞いたレインは優しく微笑み話を続けた。
「まずは俺から報告しよう。俺は瓦礫の撤去作業に参加しつつ、帝都への報告業務にも同席していた」
「帝都への報告ですか?」
倉野が聞き返すとレインは相槌程度に頷き、言葉を続ける。
「ああ、当然だがアンゼロスにも衛兵はいる。そのうちの一人が厄災の復活とその後を報告するために帝都へ向かったのさ。伝令役の衛兵は倉野が眠り始めた直後にはアンゼロスを出たはずだよ。俺は帝都にいる伯爵と懇意だと名乗り出ることでどのような情報が帝都に伝わるかを確認していたのさ。その上で俺たちが巻き込まれていることをグランダー伯爵に伝えるように依頼しておいたよ」
なるほど、と倉野は頷いた。
グランダー伯爵やレオポルトたちは倉野たちが何をしているのか詳細は知らない。伝えておくことで三日以上も帰ってこないという不安を和らげることができるだろう。
オランディ国軍に所属しているレインにとって報告という作業は体に刻み込まれているのかもしれない。
彼のおかげで無用な心配をかけずに済んだと倉野は少し心が軽くなる。
レインの報告が終わり、続いてリオネが口を開いた。
「私は基本的にアルダリンさんに同行して復興の資金集めを手伝っていました。必要な情報ではないと思うのですが、厄災の亡骸を驚くような高値で即購入したいという話があったことは聞いています。少し怪しい話だったのでアルダリンさんが少し時間をかけて精査すると仰ってました」
「怪しい話ってどういうことだい?」
レインが問いかけるとリオネは少し首を傾けて言葉を続ける。
「どうやら素材ではなく、亡骸を丸ごと譲ってほしいという話だったそうです。それも国家予算と匹敵するような値段だったそうですよ」
「国家予算!? アンゼロス復興にとってはありがたい話だが丸ごととなるとアルダリンさんが怪しむのも無理はないな」
そう言ってレインは頷いた。
確かに買取金額が大きければ大きいほどどうしてもデザストルの亡骸が必要だという意思が見え、その裏に何かあるのではないかと勘繰ってしまう。
倉野も納得し頷いていると思い出したかのようにレインが口を開いた。
「あ、そうだ。そういえば、クラノは亡骸の一部だとわかるものを欲していただろう? オネットさんに伝えておいたが受け取れたかい?」
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