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全員集合の昼食

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 リオネから問いかけられたオネットは軽く頷いた。

「そうですね・・・・・・」

 その言い方にはどこか含みがあるように感じる。
 倉野はその違和感に気づき首を傾げた。しかしそれを言葉にする前に、レインとアルダリンが食堂に入ってくる。

「いやぁ、お腹が空きましたな」
「本当ですね。しかし復興には時間がかかりそうだ」

 二人とも煤に塗れ、顔には疲労が浮かんでいた。
 デザストルとの戦闘の被害は魔法が存在する世界でも簡単には復興できないらしい。魔法は何でも願いを叶えてくれるものではないのだと倉野は改めて認識した。

「お帰りなさい」

 倉野がレインとアルダリンに声をかけると二人はオネットから渡された布で顔の煤を拭いながら頷く。

「ただいま戻りましたぞ。お目覚めでしたか、クラノさん」
「良かったよ。死んだように眠っていたからな、クラノは」

 少し茶化すような声色でレインがそう言うとリオネがプクッと頬を膨らませた。

「もう、レインさんったら不謹慎ですよ」
「すまない、冗談さ」

 レインが答えるとリオネは少し照れたように俯く。

「あ、すみません、私、その」
「ははっ、リオネはクラノのことになると驚くほど真っ直ぐだからな」

 そう言いながらレインは椅子に座り、アルダリンも同じように座った。
 ようやく全員が食堂に集まり話を進めることができる。
 だがその前に三日間眠っていた倉野と働いていたレインたちの胃袋を満たさなければ、とオネットが用意していた食事を運んできた。
 硬いパンに干し肉と酸味のある野菜を挟んだ豪華とは言えない食事だったが、空腹を満たすには十分である。
 食事を終えるとオネットの用意した茶を飲みながら、倉野は話を切り出した。

「えっと、それで今のアンゼロスはどうなっているのか聞いてもいいですか?」

 倉野が問いかけると代表して現場に出ていたレインが答える。

「そうだな、先ほども聞いていたと思うが復興にはまだまだ時間がかかりそうだ。しかし、クラノが厄災の亡骸を譲ってくれたことで金銭面はなんとかなりそうだ。それに関してはアルダリンさんに任せているよ」

 話を振られたアルダリンは少し驚いた表情を浮かべてから言葉を引き継いだ。

「ほ? そうですな。あれほど大きく硬いドラゴンの素材は過去には出回っていませんから、相当の値段になることは間違い無いでしょう。もちろんノーベンバー商会が利益を取ることはありませんのでご安心を」
「そういうことさ」

 最後にはレインが話を締める。
 それを聞いていた倉野は茶を飲みながら話をまとめた。

「つまり復興のための資金はなんとかなりそうですけど、被害が大きいのと人手が足りないので中々進まないってことですね」

 問いかけ気味に言葉を終えた倉野。
 すると次はオネットが頷き話し始める。

「ええ、そうです。人手に関しては資金が集まれば雇うこともできるので時間の問題ですよ。しかし、復興とは建物や道を元に戻すことではない。人々が元通りの生活を始めることです」
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