451 / 729
連載
温泉地で湧く興味
しおりを挟む
存外素直に謝られたレインは肩透かしを食らったように呆気に取られながら首を横に振る。
「い、いえ。話す相手が信頼に足るか、オネットさんなりの試験だったのでしょうから」
「わかってくれるならよかったよ。さて、それでは話の続きを聞こうか」
オネットはそう言ってから話を聞くためにどっしりと深く座り直した。
レインはそんなオネットに対して気合を入れ直してから説明する。
「ピース・リンクは我々が立ち上げた世界平和を目的とする機関です。ピース・リンクはどこの国にも属さずに干渉されない」
「ほう、干渉されない・・・・・・か。それが叶うのならば自由に動ける理想的な組織ですね。だが、レインさんはオランディの騎士でしょう。オランディから干渉されないなんてことがあり得ますか?」
当然の疑問だ。
しかし、その疑問に対する確固たる答えをレインは持っている。
「国としてピース・リンクの行動に干渉しないことはオランディ国王がその命をかけて誓約しています。その上で資金や物資の援助も確約をいただいております。もちろん世界連盟への加盟も」
「どうしてでしょう。オランディがそこまでしてピース・リンクを支持する理由がどこにあると?」
「・・・・・・オランディはつい最近まで崩壊の危機に瀕していました。水面下で様々な思惑が交錯し、ついには内乱にまで発展しかけていた。しかし、ある男が命をかけてオランディを救ってくれたのです」
そう答えるレインの言葉にオネットが興味を示し身を乗り出した。
「英雄の登場というわけですね。なるほど、その口ぶりだと英雄はオランディの関係者ではない・・・・・・その出来事で恩を感じたオランディ国王はピース・リンクへの支持を決定した、というところでしょうか」
レインの言葉から推測したオネットはそう語る。
彼の推測はおおむね正解。だが、大きく違う点がある。
「大体その通りです。ただ、オランディ国王が我々への支持を決定したのは受けた恩を返すためだけではありません。王もまた平和を求め、オランディを救った彼ならば世界へ平和をもたらすと信じているからです。信じる価値が彼にはある」
そう言いながらレインは倉野に視線を送った。彼の話を聞いていた倉野は照れ臭そうに下唇を噛む。
そんな二人の様子を見ていたオネットはレインと同じように倉野に視線を送ってからなるほどと頷いた。
「彼・・・・・・か。なるほどな。確かにどのような組織であっても大切なのは所属している人です。それが国であろうが街であろうが商会であろうが変わらない。ふむふむ、より興味が湧きました。ピース・リンク、世界連盟についてもう少し話を聞かせてください」
そう言ってからオネットは茶を一口飲む。彼の表情は今までの作ったような笑顔から、自然な微笑みに変わっていた。
「い、いえ。話す相手が信頼に足るか、オネットさんなりの試験だったのでしょうから」
「わかってくれるならよかったよ。さて、それでは話の続きを聞こうか」
オネットはそう言ってから話を聞くためにどっしりと深く座り直した。
レインはそんなオネットに対して気合を入れ直してから説明する。
「ピース・リンクは我々が立ち上げた世界平和を目的とする機関です。ピース・リンクはどこの国にも属さずに干渉されない」
「ほう、干渉されない・・・・・・か。それが叶うのならば自由に動ける理想的な組織ですね。だが、レインさんはオランディの騎士でしょう。オランディから干渉されないなんてことがあり得ますか?」
当然の疑問だ。
しかし、その疑問に対する確固たる答えをレインは持っている。
「国としてピース・リンクの行動に干渉しないことはオランディ国王がその命をかけて誓約しています。その上で資金や物資の援助も確約をいただいております。もちろん世界連盟への加盟も」
「どうしてでしょう。オランディがそこまでしてピース・リンクを支持する理由がどこにあると?」
「・・・・・・オランディはつい最近まで崩壊の危機に瀕していました。水面下で様々な思惑が交錯し、ついには内乱にまで発展しかけていた。しかし、ある男が命をかけてオランディを救ってくれたのです」
そう答えるレインの言葉にオネットが興味を示し身を乗り出した。
「英雄の登場というわけですね。なるほど、その口ぶりだと英雄はオランディの関係者ではない・・・・・・その出来事で恩を感じたオランディ国王はピース・リンクへの支持を決定した、というところでしょうか」
レインの言葉から推測したオネットはそう語る。
彼の推測はおおむね正解。だが、大きく違う点がある。
「大体その通りです。ただ、オランディ国王が我々への支持を決定したのは受けた恩を返すためだけではありません。王もまた平和を求め、オランディを救った彼ならば世界へ平和をもたらすと信じているからです。信じる価値が彼にはある」
そう言いながらレインは倉野に視線を送った。彼の話を聞いていた倉野は照れ臭そうに下唇を噛む。
そんな二人の様子を見ていたオネットはレインと同じように倉野に視線を送ってからなるほどと頷いた。
「彼・・・・・・か。なるほどな。確かにどのような組織であっても大切なのは所属している人です。それが国であろうが街であろうが商会であろうが変わらない。ふむふむ、より興味が湧きました。ピース・リンク、世界連盟についてもう少し話を聞かせてください」
そう言ってからオネットは茶を一口飲む。彼の表情は今までの作ったような笑顔から、自然な微笑みに変わっていた。
0
お気に入りに追加
2,851
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。