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論(戦)術

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「これくらい誰にでもできるさ。脳みそをうまく活用していればね。だが、残念なことに世の中には脳みそをアクセサリーの一つだと思っている人間が多い。世界中にある面白いことを見逃すなんて死んでいるのと同じだろう?」

 言葉の節々から変人の片鱗を見せるオネット。
 挨拶を終えたところでアルダリンが戻ってきたので全員分の茶を用意する。用意が終わりアルダリンが椅子に座ると同時にオネットが本題を問いかけたきた。

「さて、面白い話があるのだろう? 概要はアルダリンから聞いたが改めて当人たちから聞きたい。最初から説明をしてくれるかな?」

 オネットに問いかけられると代表してレインが頷く。

「わかりました。まずは我々の目的からお話しします」
「ああ、頼むよ。できれば自分に時間の無駄だと思わせないでくれ」

 おそらく悪気のない言葉なのだろう。だが、確実にプレッシャーを感じさせる言葉だった。
 そんなオネットをアルダリンが嗜める。

「おいおい、オネット。それでは萎縮してしまいますぞ」
「そうかな、面白い話ができるという自信があれば問題ないだろう。それに彼はこれくらいで折れるようなか細い小枝じゃあないさ。だろう?」

 優しい笑みを浮かべながらオネットはレインに問いかけた。
 レインは言葉の重圧に飲み込まれないように頷く。

「もちろんですよ。必ず興味を持っていただけると思っています」
「期待しているよ。さぁ、続けてくれ」
「はい。まず最初に我々の目的はオネットさんをピース・リンクに勧誘し、共に活動していただくことです」

 そうレインが説明するとオネットは事前に話を聞いていながらあえて疑問を投げかける。

「ピース・リンク? 自分は言いましたよね。改めて聞きたい、と。言葉の意味を理解していますか。そういった中身の話も含め最初から説明してほしいということです」
「すみません、簡潔にと思い結論から述べさせていただいたのですが」
「なるほど。それでは、足りませんでしたね。相手の気持ちになって話すということが。戦いであれば真っ先に大将を狙うのが効率的でしょう。騎士であるレインさんがそのような順序立てをするのは仕方がないことです。さて、それを踏まえて話しましょうか」

 笑顔ながらもオネットのその言葉には確かな圧を感じた。
 そんな会話にアルダリンが割って入る。

「オネット、やりたい事はわかりますが、彼らは私の知人です。どうか少しは遠慮してください」
「やりたい事?」

 アルダリンの言葉を聞いたリオネが首を傾げながら呟いた。
 するとアルダリンは視線でオネットを牽制しつつ説明する。

「レインさんの話し方には何の問題もなかったという事ですぞ。オネットは一度上から否定することで会話の主導権を掴もうとしただけです。もちろん、ピース・リンクの話から始まっていれば結論から話せと言っていた・・・・・・そうでしょう?」

 自分のやり方を見抜かれていたオネットはため息をついて笑みを崩した。

「そうやって生きてきたんですから仕方ないだろ。まぁいいや。すまなかったね、レインさん」
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