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再会ノーベンバー

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 改めて倉野が『説明』で確認するとその屋敷で間違っていなかったので三人はまっすぐ向かう。
 屋敷と言っても帝都の貴族街のような唖然とするほど大きくもなく、無駄な豪華さもない。普通の家よりも少し大きな二階建てという感じだった。
 ただ屋根だけが派手な紫色をしている。
 その代わりに広い庭があり綺麗に手入れされた芝生が雰囲気の良い景観を作り出していた。

「ここで間違いないみたいです」

 再度『説明』にて事実を確認した倉野が二人にそう伝える。
 倉野の言葉を聞いたレインは庭の入口で呼び出しの鈴を探した。
 だが、特にそれらしいものはなかったので諦めて声をかける。

「オネット・マッティーノ氏はおられるだろうか!」

 庭の入口でレインが叫ぶが返事はない。
 
「・・・・・・不在ってことかな?」

 レインがそう倉野に問いかけた。だが『説明』で確認したのはオネットの住居ではなく現在位置。間違いなくここにいるはずである。

「うーん、ここにいるはずなんですけどね」

 不思議そうに返答する倉野。
 しかし考えていても仕方がない。次はリオネが呼びかけてみる。

「オネットさん、いらっしゃいませんか! アルダリンさんの知人でリオネと申します! お話したいことがございます」

 それでも返答がなく、眠っているのかもしれないと諦めかけた時、ドタドタと足音が聞こえてきた。

「誰か出てきますよ」

 倉野がそう言う。
 足音はどんどんと近づき、屋敷の扉が勢いよく開いて誰かが出てきた。
 オネット・マッティーノだろうか、と身構えたが見えたのは倉野とリオネがよく知っている彼の顔である。

「ア、アルダリンさん!」

 思わずリオネが彼の名前を呼んだ。
 考えてみれば当たり前のこと。倉野たちはアルダリンの行方を追いかけるようにオネットに会いにきたのだから彼がいるのは当然だ。
 アルダリンは少し嬉しそうな表情で腹を揺らしながら倉野たちに近づき口を開く。

「どうしてリオネさんやクラノさんがここに・・・・・・と、そちらの方はその装い・・・・・・私と同郷の騎士でしょうかな?」

 息を整えながらアルダリンがそう問いかけた。アルダリンもオランディ出身であるためレインの服装から何者かわかるのだろう。
 最初に質問に答えたのはレインだった。

「はい、オランディ国軍近衛騎士団長レイン・ネヴァーと申します。あなたがノーベンバー商会代表の?」
「ほっほっほ、アルダリン・ノーベンバーと申しますぞ。もしや私を追いかけてこのアンゼロスまで来られたのですかな」

 そう問いかけるアルダリン。
 一番の目的はオネットだったがアルダリンと別れの挨拶を交わせていない倉野は強く頷く。

「そうですよ、感謝を伝えることもできなかったんですから」
「何をおっしゃいますやら。私こそ別れの挨拶もせずに申し訳ない。どうしても急がなくてはならない事情がありましてな」
「ええ、聞いています。オネットさんの居場所がわかったからなんですよね。そしてここがオネットさんの屋敷。ここにいると言うことはお会いできたんですね」
「はい。募る話がありまして、数日ここで寝泊まりをしています。おや、ここがオネットの屋敷だと言いましたかな? それに私がここにいるとよくわかりまし・・・・・・ああ、クラノさんの。なるほどですな」

 アルダリンは自己解決してから優しい笑みを浮かべた。
 その上で倉野たちの本来の目的を察する。

「ということは目的は私だけではなくオネットにも?」
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