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円環の循環
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「どこかおかしい・・・・・・ですか?」
倉野が聞き返すとイスベルグはさらに言葉を続ける。
「お前の中でなんとなく話は聞いていたからな。この場所の概要は知っている。端的に言えば人間を癒す土地なのだろう? そういう場所には人間の痛みや悲しみ、苦しみが持ち込まれるのだ。そして癒す手段として湯を使っているということは膨大な熱・・・・・・エネルギーが存在する。そしてこの集落は巨大な円環だ」
「円環・・・・・・さっき言ってたやつですね。それがイスベルグさんの感じているおかしさに繋がっていると?」
「少しわかりにくかったか。ではお前に合わせて少しだけ言葉の知能指数を下げてやろう」
「え、今、ディスられました?」
「いいから聞け、クラノ。膨大なエネルギーを円環にて循環させる代表的なものが存在するだろう。お前も知っているはずだ」
意味深に言い放つイスベルグだったが倉野に心当たりはない。
円形になっていて膨大なエネルギーを循環させているもの・・・・・・なんとか思いついたものは流れるプールくらいだったが、そんなはずはないと倉野は頭から消し去る。
「すみません、何も思い当たらないのですが」
倉野が正直に伝えるとイスベルグは仕方ないと言わんばかりに答えを出した。
「魔法式だ」
「魔法式って魔石を作るときに書き込むアレですよね。魔法式って円なんですか?」
魔法式ならば倉野も何度か触れたことがある。
魔法を使うときに必要な要素の一つ。魔法式に魔力を流し込むことで魔法という現象が発生するのだと倉野は教えられていた。
教えたのはイスベルグである。だが、魔法式が円環の形をしていることは知らなかった。
「魔法式・・・・・・遠い昔は魔法陣と呼ばれていたものだ。もっとも余計な図形や無駄が多く、簡略化した結果、現在は魔法式と呼ばれている」
そこまで聞いた倉野はようやくイスベルグの言葉を理解する。
「えっとつまり、このアンゼロス全体が巨大な魔法式ってことですか?」
「いや、一概にそうは言えん。ただ構造が似ているというだけだ。何か起きるかもしれないし、何も起きないかもしれない。だが、何か起きてもおかしくないという状況だと心に留めておけ・・・・・・そういう話だ」
イスベルグがそう締めくくると同時にリオネが倉野に声をかけた。
「クラノさん・・・・・・クラノさん?」
「あ、はい!」
イスベルグとの会話に夢中になっていた倉野は驚いたように返答する。
するとリオネは右前方を指差してから言葉を続けた。
「あれが南門周辺の居住区ですよ。オネットさんの屋敷は紫色の屋根でしたよね」
そう言ってから彼女はそちらに足を向けて建ち並んでいる家の屋根に注視する。
同じようにレインも紫色の屋根を探していた。少し遅れて倉野も捜索に加わる。
その結果、少し進んだところに目立つ鮮やかな紫をレインが発見した。
「あ、アレじゃないかい? 背の高い屋敷の右隣に紫が見えるよ」
倉野が聞き返すとイスベルグはさらに言葉を続ける。
「お前の中でなんとなく話は聞いていたからな。この場所の概要は知っている。端的に言えば人間を癒す土地なのだろう? そういう場所には人間の痛みや悲しみ、苦しみが持ち込まれるのだ。そして癒す手段として湯を使っているということは膨大な熱・・・・・・エネルギーが存在する。そしてこの集落は巨大な円環だ」
「円環・・・・・・さっき言ってたやつですね。それがイスベルグさんの感じているおかしさに繋がっていると?」
「少しわかりにくかったか。ではお前に合わせて少しだけ言葉の知能指数を下げてやろう」
「え、今、ディスられました?」
「いいから聞け、クラノ。膨大なエネルギーを円環にて循環させる代表的なものが存在するだろう。お前も知っているはずだ」
意味深に言い放つイスベルグだったが倉野に心当たりはない。
円形になっていて膨大なエネルギーを循環させているもの・・・・・・なんとか思いついたものは流れるプールくらいだったが、そんなはずはないと倉野は頭から消し去る。
「すみません、何も思い当たらないのですが」
倉野が正直に伝えるとイスベルグは仕方ないと言わんばかりに答えを出した。
「魔法式だ」
「魔法式って魔石を作るときに書き込むアレですよね。魔法式って円なんですか?」
魔法式ならば倉野も何度か触れたことがある。
魔法を使うときに必要な要素の一つ。魔法式に魔力を流し込むことで魔法という現象が発生するのだと倉野は教えられていた。
教えたのはイスベルグである。だが、魔法式が円環の形をしていることは知らなかった。
「魔法式・・・・・・遠い昔は魔法陣と呼ばれていたものだ。もっとも余計な図形や無駄が多く、簡略化した結果、現在は魔法式と呼ばれている」
そこまで聞いた倉野はようやくイスベルグの言葉を理解する。
「えっとつまり、このアンゼロス全体が巨大な魔法式ってことですか?」
「いや、一概にそうは言えん。ただ構造が似ているというだけだ。何か起きるかもしれないし、何も起きないかもしれない。だが、何か起きてもおかしくないという状況だと心に留めておけ・・・・・・そういう話だ」
イスベルグがそう締めくくると同時にリオネが倉野に声をかけた。
「クラノさん・・・・・・クラノさん?」
「あ、はい!」
イスベルグとの会話に夢中になっていた倉野は驚いたように返答する。
するとリオネは右前方を指差してから言葉を続けた。
「あれが南門周辺の居住区ですよ。オネットさんの屋敷は紫色の屋根でしたよね」
そう言ってから彼女はそちらに足を向けて建ち並んでいる家の屋根に注視する。
同じようにレインも紫色の屋根を探していた。少し遅れて倉野も捜索に加わる。
その結果、少し進んだところに目立つ鮮やかな紫をレインが発見した。
「あ、アレじゃないかい? 背の高い屋敷の右隣に紫が見えるよ」
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