異世界で俺だけレベルが上がらない！ だけど努力したら最強になれるらしいです？

連載

Division of roles

　世界連盟の本格的な内容、加盟国が守るべき規律。世界各国を回るためにはどのようなルートがいいのか。国同士の力関係を精査した上での順番。
　決めなければならないことは多い。しかし、全て完璧な状態で固まっていなければ話を進めることなどできないだろう。
　他にも資金や必要物資などの調達も不可欠だ。
　レオポルトの提案とはいくつかの班に分かれて行動するというものである。

「世界連盟の根幹に関わるような部分はワシが指揮を取ろう。よいか、クラノ」

　そう問いかけられた倉野は勢いのまま頷いた。

「あ、はい。そうですね。各国の情勢や法に明るいのはレオポルトさんだと思うので出来ることならお任せしたいです」
「・・・・・・信頼だと受け取るがな。お前さんはもう少し警戒するべきだぞ。世界連盟の根幹に関わると言っているだろう。この中身次第で世界の方向性が変わるかもしれん。いや、変えるためのピース・リンクだ。その総統だという自覚を持て」

　呆れたように言い放つレオポルトに倉野は首を傾げて言い返す。

「万が一にも億が一にもレオポルトさんが間違うことがあるとして、それを見抜けなかったのなら僕の目が節穴だってことです。運命を共にするってそういうことじゃないですか？　っていうか、僕が総統なんですか？」
「お前さんときたら・・・・・・やれやれ、これでは裏切るわけにはいかんな」

　小さく笑みを浮かべ答えるレオポルトにノエルが声をかけた。

「裏切る気なんてこれっぽっちもないくせに。わざとそんなこと言ってクラノに総統としての意識を持たせようなんて無駄よ。今更、自分が総統だって気づくような男なのよ、クラノは。そもそも自分が一番だと主張するような男に世界平和なんて任せられるわけないってレオポルトさんもわかってるでしょう？　どこか抜けてるところは私たちで埋めるしかないのよ」
「ああ、そうだな」

　満足そうな表情を浮かべるレオポルト。
　その後レオポルトが王女であったノエルを指名し、世界連盟の規律などの準備は二人が請け負うことになった。
　続いて資金や必要物資の準備はグランダー伯爵を筆頭にレイチェル、シラムが三人で担当する。伯爵が直接出資するのではエスエ帝国の干渉が強くなりすぎるらしく、何かしらの手を打つようだ。
　先ほどまでの議題。アルダリンを追いかけ、オネットと交渉するのは倉野、レイン、リオネである。
　ピース・リンクを代表する倉野とオランディの騎士として世界情勢にも多少詳しいレイン。さらにアルダリンとの関係が最も濃いリオネが選ばれたのだ。
　役割分担が決まると即座にそれぞれの行動に移った。

「エスエ帝国からの返答は数日以内にあると考えていい。準備不足でやり直しというわけにはいかんからな。各々が全力を尽くそう」

　レオポルトの言葉で各班に分かれた倉野たち。