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剣より弁

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「ここから先、俺たちピース・リンクは各国をまわって世界連盟への加盟を交渉する。その認識で間違っていないかい?」
「ああ、その通りだ。あくまでもそれは手段だがな」

 レインの問いかけに答えるレオポルト。それを聞いた上で再びレインが口を開く。

「だとすると、明らかに足りていないものが見えてくる」

 そう語る彼にノエルが言葉を返した。

「そりゃ、何もかも足りていないわよ。各国をまわるんだったら莫大な資金も必要だし、交渉の場を設けるためのツテも必要よね。あとは世界連盟内での規律。加盟国同士どのように支え合うのか、どのように争いを防ぐのか。後付けにならないように明確なルールを作り書面にする必要があるわね」

 ノエルの言う通り立ち上げたばかりのピース・リンクには足りないことだらけである。一つ一つ足りないものを洗い出し、解決していく必要があった。
 だが、レインの言っていることは物質的な話ではない。

「いや、俺の言い方が悪かった。物ではなく者、人員の話さ」

 レインがそう訂正するとノエルは首を傾げる。

「人? 確かに人数が多いとできることは増えるし、機関として持つ力も大きくなるわ。けど、あんまり多くなっても管理ができなかったり統率が取れなくなったりするじゃない。しばらくは少数精鋭って形でいるのがいいと思うわ」

 そうノエルが言うとレオポルトが口を挟んだ。

「ああ、ノエル・マスタングの言う通りだな。無闇に人を増やせばその分リスクも高くなる・・・・・・が、レイン・ネヴァーの言っていることはそういう話じゃないんじゃないか?」

 ノエルとレイン、二人の考えを理解した上でレオポルトはそう問いかける。
 問いかけられたレインは肯定を表すように頷き、話を続けた。

「ああ、俺も無闇に人を増やすことには反対だよ。少数精鋭って考え方にも同意する。その上で今いるメンバーを改めて考えてみたのさ。いいかい? どう足掻いても俺たちは戦闘集団にしか見えない」

 真実をその場にいる全員に突きつけるレイン。彼に言う通り、ピース・リンクに所属する倉野、レオポルト、レイン、ノエル、リオネは全員が戦闘に特化していた。
 異世界人のため世界の常識や各国の関係性を知らない倉野。
 ビスタ国の特命全権大使として文官のような仕事をしていたが、戦闘においてその真価を発揮するレオポルト。
 オランディの騎士として幼い頃から剣を振り続けてきたレイン。
 傭兵として戦うことで生きてきたノエル。
 冒険者として魔物を狩り生活してきたリオネ。
 もちろん、グランダー伯爵やレイチェルも協力すると言ってくれているが実際に交渉するのはピース・リンクに所属しているメンバーだ。
 
「俺たちは各国に戦いを仕掛けにいくんじゃないだろう? だったら、戦闘ではなく交渉ごとに特化した人間が必要なんじゃないかと思うのさ」

 レインは自分の言葉をそう締めくくる。
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