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雷帝の起源8 現在へ
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「ぐっ・・・・・・血迷ったかエクレール!」
左胸を刺されたシュレッケンは血と同時に言葉を吐き出した。
溢れ出す血と滴る汗。誰がどう見ても致命傷である。
シュレッケンが侍らせていた女たちは突然のことに驚き怯え、壁に背をつけて固まっていた。
あと数秒でこの世から去るであろうシュレッケンに対して、これまでの怒りを全てぶつけるように睨みつけるエクレール。
「血迷ってなどいない! 正気に戻っただけだ! 貴様をここに座らせていてはならん。全ての苦しみをここで断ち切る!」
叫びながらエクレールはシュレッケンの左胸から剣を引き抜き、薙ぎ払うように血に塗れた剣を振った。
その刃はシュレッケンの首を捉え、肉を斬り骨を断つ。
斬られたシュレッケンの首は勢いのまま跳ね飛び、地面に転がった。シュレッケンの顔は最後に浮かべていた表情のままである。怒りと驚きと恐怖、これまで神のように振る舞ってきた男は最も人間らしい表情でこの世を去った。
エクレールによるシュレッケンの殺害。その事実はあっという間に国内外に広がる。だが、それほど大きな影響を与えることはなかった。
実質、王としての役割を担っていたのはエクレールである。シュレッケンが死のうが国民には関係がなかった。それどころか、シュレッケンの無茶な要望がなくなり喜んだ者も数多く存在する。
そのままエクレールはバレンドットの王を継承し、命にかえても国を導くと誓った。シュレッケンの邪悪な欲望によって戦争まで引き起こしてしまった責任を取り、国民に尽くす。それがエクレールの贖罪だった。
彼は自ら率先して戦場に立った。
彼は自分の財を投げ打って国民を豊かにした。
彼はどこまでも兵を愛した。
彼はどこまでも国民を愛した。
彼はどこまでも自分を憎んだ。自分に流れる血を恨んだ。あの男と同じ血を、汚れた欲望の血を。
そして彼は自らの子どもたちを愛さないと決めた。シュレッケンの血を受け継いでいる子どもたちを愛すわけにはいかなかった。
子どもたちを愛する時間があれば戦場を駆け巡り、子どもたちに食べさせる食糧があるならば国民に配る。子どもたちを抱きしめる時間があるのならば、国民に微笑みかけた。
全てを捨てて国に尽くす。その全ての中に子どもたちが含まれていただけだ。
同じようにシュレッケンの血と罪を受け継いでいるのであれば国に尽くすべき、そう考えたエクレールは自分の子どもを利用し周囲の国との友好関係を築いていく。全ては極東戦争を終わらせるためだ。
シュレッケンが死んだとしても極東戦争は終わらない。だからこそエクレールは自分の子どもたちを利用して和平を申し込んだ。いわゆる政略結婚である。
「お前たちの意志など関係ない。私を含め王族の血肉は全て国のもの、国民のものだ。自由などない。それを受け入れられぬならば、この国から去れ」
幼い頃からノエルはエクレールにそう言われてきた。呪いのように頭の中に残り続けているのだという。
これがノエルの父、エクレール・マスタングの半生。雷帝の歩んだ茨の道だった。
左胸を刺されたシュレッケンは血と同時に言葉を吐き出した。
溢れ出す血と滴る汗。誰がどう見ても致命傷である。
シュレッケンが侍らせていた女たちは突然のことに驚き怯え、壁に背をつけて固まっていた。
あと数秒でこの世から去るであろうシュレッケンに対して、これまでの怒りを全てぶつけるように睨みつけるエクレール。
「血迷ってなどいない! 正気に戻っただけだ! 貴様をここに座らせていてはならん。全ての苦しみをここで断ち切る!」
叫びながらエクレールはシュレッケンの左胸から剣を引き抜き、薙ぎ払うように血に塗れた剣を振った。
その刃はシュレッケンの首を捉え、肉を斬り骨を断つ。
斬られたシュレッケンの首は勢いのまま跳ね飛び、地面に転がった。シュレッケンの顔は最後に浮かべていた表情のままである。怒りと驚きと恐怖、これまで神のように振る舞ってきた男は最も人間らしい表情でこの世を去った。
エクレールによるシュレッケンの殺害。その事実はあっという間に国内外に広がる。だが、それほど大きな影響を与えることはなかった。
実質、王としての役割を担っていたのはエクレールである。シュレッケンが死のうが国民には関係がなかった。それどころか、シュレッケンの無茶な要望がなくなり喜んだ者も数多く存在する。
そのままエクレールはバレンドットの王を継承し、命にかえても国を導くと誓った。シュレッケンの邪悪な欲望によって戦争まで引き起こしてしまった責任を取り、国民に尽くす。それがエクレールの贖罪だった。
彼は自ら率先して戦場に立った。
彼は自分の財を投げ打って国民を豊かにした。
彼はどこまでも兵を愛した。
彼はどこまでも国民を愛した。
彼はどこまでも自分を憎んだ。自分に流れる血を恨んだ。あの男と同じ血を、汚れた欲望の血を。
そして彼は自らの子どもたちを愛さないと決めた。シュレッケンの血を受け継いでいる子どもたちを愛すわけにはいかなかった。
子どもたちを愛する時間があれば戦場を駆け巡り、子どもたちに食べさせる食糧があるならば国民に配る。子どもたちを抱きしめる時間があるのならば、国民に微笑みかけた。
全てを捨てて国に尽くす。その全ての中に子どもたちが含まれていただけだ。
同じようにシュレッケンの血と罪を受け継いでいるのであれば国に尽くすべき、そう考えたエクレールは自分の子どもを利用し周囲の国との友好関係を築いていく。全ては極東戦争を終わらせるためだ。
シュレッケンが死んだとしても極東戦争は終わらない。だからこそエクレールは自分の子どもたちを利用して和平を申し込んだ。いわゆる政略結婚である。
「お前たちの意志など関係ない。私を含め王族の血肉は全て国のもの、国民のものだ。自由などない。それを受け入れられぬならば、この国から去れ」
幼い頃からノエルはエクレールにそう言われてきた。呪いのように頭の中に残り続けているのだという。
これがノエルの父、エクレール・マスタングの半生。雷帝の歩んだ茨の道だった。
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